中国の有名知識人、中共文化の海外輸出を語る

2006/02/18
更新: 2006/02/18

【大紀元日本2月18日】中共政権はこのほど、500人規模の公演団を組織して、「中国文化オーストラリア公演」の名義でオーストラリアを巡回公演し、シドニーでは華人の新年祝賀パレードに参加、ダーリン・ハーバーで花火を打ち上げた。今回のオーストラリア公演の費用は1億人民元を超えると、現在オーストラリアに亡命中の中共前シドニー領事館領事陳用林氏はみている。学術講演のためシドニー滞在中の中国時勢を鋭く批判することで知られている若手作家・余傑氏と王怡氏が、シドニーで講演を行った際に、今回の中共のオーストラリア公演を見ての感想と見解を語り、中共は膨大な費用を掛け海外で文化工作の意図に関して、西側諸国で定着した虐殺者としてのイメージを「聖人君子」に変えようとし、中共政権の落ち目を挽回するためであるという。余傑氏はまた、海外社会は、中共の宣伝術を打ち破り、中共政権と中国、そして中共政権が作り出した文化と中国文化をはっきり見分ける必要があると指摘した。

納税者として心が痛む

当日ちょうどシドニーに着いた余傑氏は、華人新年祝賀パレードを見学し、複雑な思いであったという。余氏は「今回の公演で中共は1億人民元以上使っているそうだ。私は、中国で生活している公民であり納税者で、自分の払った税金が彼らにほしいままに使われているのを見て、非常に心が痛む」と語った。

「中国文化オーストラリア公演」は、中共の対外宣伝活動の典型的な一例にすぎない

余傑氏は、中共が今回のシドニー華人新年祝賀パレードに莫大な人力と物力を投入したが、これは中共の対外宣伝活動の典型的な一例にすぎないと考えている。余氏は、2年前フランスに行ったとき、中共が今回のオーストラリア公演に劣らないほどの巨額を中仏文化年の活動に投じたのを目にした。そのときは、巨大な赤い布であの有名なエッフェル塔を包み込み、これをいわゆるパフォーマンス・アートと称していたが、正に血の滴る赤裸々なパフォーマンス・アートであった。余氏は「赤が今日の世界で何を意味するかというのは明らかで、それを見て思わず、89年の天安門広場での大虐殺と学生や無辜の市民の鮮血を思い起こした」と語った。

余傑氏は、1989年の天安門虐殺事件後、多くの中国人学生や知識人がパリに亡命し、まさにその年に行われたフランス革命200周年記念式典で、シャンゼリゼ通りを行進した先頭グループが、中国から亡命してきた学生や知識人であったのを思い起こした。しかし、わずか17年後、フランスは、中共政府に赤い布でフランスの象徴であるエッフェル塔を覆うことを許した。もちろん、このような劇的な変化にはいくつか原因がある。一つには、中国経済の成長であり、フランスのような国にとって、中共との貿易や経済利益は第一である。もう一つには、ここ十数年来、中共の対外広報活動とイメージ作りが少しずつ強化され、開拓されていったということである。

中共は巨額を投じて、イメージ作りを図る

余傑氏によると、毛沢東時代では、毛が西側諸国が自分たちをどう見ているかということなど全く意に介さなかったため、当時の中共は対外的にこういった宣伝やイメージ作りを行わなかった。ところが、ここ十数年、中共は巨額を投じて、西側諸国で定着した虐殺者としてのイメージを上品で礼儀正しい聖人君子に変えようとしている。その中では、近頃解任された国務院対外宣伝弁公室主任・趙啓正氏の働きが大きい。趙氏は、表面的には中共体制内の進歩派であり、流暢な英語を操って、西側各国の政府関係者や民間人と話をし、困難な問題に直面したときもユーモアを交えて交渉できた。これまでの中共の固い役人のイメージとは全く異なっていた。まさに、こういった有能な役人が対外宣伝弁公室に入ったことにより、中共のイメージ作りはかなり成功し、普通の西側諸国の人々はその誘惑とペテンに引っかかってしまうのである。余氏は、今回の華人パレードでそのことを痛切に実感したそうである。

中共の宣伝術を打ち破り、中共と中国、そして中共と中国文化をはっきり区別しなければならない

余傑氏は、中共はたいへん巧妙に、その専制と政治体制を中国文化や自然地理と融合させていると考えている。中共は決して毛沢東の像も五星紅旗も持ち出さず、パンダ、平和の鳩、様々な中国的な舞踏やサーカスなどによって自らを飾り立てている。それによって、西側諸国の普通の人々はごまかされているのだが、余氏のような知識人は、中共のこういった宣伝術を見破り、中共と中国、そして中共と中国文化をきちんと区別することができ、またそうすることが自らの重要な使命だとも考えている。

中仏文化年のとき、フランス政府は、フランス在住の華人作家でノーベル文学賞受賞者の高行健氏を作家討論会に招くことにしていたが、中共の横槍で取りやめになったというスキャンダルがあったが、余傑氏は今回その内幕を披露した。余氏によると、当時中仏文化年の重要な活動の一つが、中国の作家を招いてサイン会を開き、講演をしてもらうことであり、中国国内から20人あまりの有名な作家が訪仏した。主催者側はもともと、その席に高行健氏も招くつもりであったが、高氏が中共に批判的な態度をとっていることから、中共がフランス文化部に圧力をかけ、その結果、フランスは屈辱的に中共の要求を受け入れて、高氏を招待しなかったのである。余傑氏は、この点に関しては、オーストラリア政府はフランス政府より随分ましだと考えている。

中共に、「民主を推進するには度量がなく、独裁を行なうにも度胸がない」

陳用林氏は、中国には今、一日の収入が1ドルに満たない貧困状態にある人が1億5千万人もいるのに、中共が文化輸出のために巨額を惜しまないのは、主にその落ち目を挽回するためであると考えているが、それに対して、王怡氏は、別の角度から自らの見解を示した。王氏は、それは中共が、民主を行うための度量がないが、独裁をするにも十分な度胸が持っていない弱気の現れだと考えている。

シドニーのカトリック教社会クラブで講演する王怡氏(大紀元)

王氏は、今回の華人パレードで、法輪功グループと中共政府グループが一緒にいる場面を見て、西側諸国の選挙戦で候補者が1対1で討論する場面を思い出したという。王氏によると、それは中共がたとえ独裁をするにも十分な度胸を持っていない弱きの現れであるという。だからこそ、中共は、世界中でこれほど多くの時間と代価を払って、中共文化の海外輸出を繰り広げる一方で、法輪功のパレードグループと並んでパレードをしなければならないのである。中共は16年も前に民主改革の勇気をなくし、16年後の今日、ファシズムを推し進める勇気もなくした。一言で言うなら、中共は「民主を推進するには度量がなく、独裁を行なうにも度胸がない」ということである。