【大紀元日本12月22日】中国広東省政府が20日に明らかにしたところによると、同省内の北江流域に、精錬工場から有害物質である重金属カドミウムが大量に排出され、下流の韶関市、清遠市、英徳市などの住民約100万人の飲料水が汚染の危機にさらされ、一部地域では一時給水を中止したという。現地政府は上流のダムの水を大量に放出する方法で、汚染物を希釈するなどの対策を考えているという。
中国国内のメディアによると、15日広東省の環境保護部門が北江の水を検査した結果、カドミウム濃度が基準の10倍になっていることが判明したという。その後の調べで、カドミウムの流出源は株式上場する金属メーカーで国有企業の深セン市中金嶺南有色金属(広東省)の子会社・インジウム生産工場であることを突き止めた。しかし同企業の関係者はメディアに対し、「12日の設備修理中にカドミウムを含む一部の廃棄物が北江に流されただけであり、偶発的な事故に過ぎない」とし、現地域で数多くの同業者が操業し、最終責任は自社であるとはまだ判断しかねないと発言している。
重金属であるカドミウムは、毒性が非常に強く、摂取すると人間の肝臓や、腎臓、骨組織などの疾病を引き起こしてしまう。
広東省環境保護局は18日に同工場に対し、汚水排出口の閉鎖や操業を中止し、内部整理するよう命じた。
広東省政府は19日、事故調査チームを結成し、英徳市に派遣した。北江下流の韶関市や、清遠市、英徳市の住民に対し、汚染水源を飲用しないように通達し、韶関市は20日の昼間に水道供給を停止した。一方、対策として、上流のダムに貯めてある 約7000万立方メートルの水を流す方法で、汚染物の濃度を下げようとしている。英徳市の水道会社の責任者によると、同市は48時間以内に長嶺ダムの水を引水するように進めている。完了すればダム水を市民に供給できるという。
広東省監察局や、環境保護局は連携で事故責任調査チームを立ち上げ、関係企業と責任者の法律責任を追及する姿勢を示している。
経済の急激な発展に伴い、中国各地では企業の違法操業により、毒物が河川に流される重度の汚染事件が相次ぎ発生している。11月には黒龍江省で化学工場から有毒物質ベンゼンが大量に松花江に流され、下流のハルピン市など複数の都市では水道供給が止められ、隣国のロシアまで影響を受けた。専門家の間では、「政府による監督管理機能が十分に作動していないため、中国の経済発展は自然環境を破壊する上に成り立っている」との批判の声が上がっている。
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