中国:エイズ感染者が激増、ずさんな血液管理が原因

2005/12/04
更新: 2005/12/04

【大紀元日本12月4日】中国のエイズ感染は非常に深刻な状況である。中国衛生部の副部長・王隴徳氏は11月28日、「今年9月末まで、中国で新たに13万5千人以上がエイズに感染し、去年の感染者数に比べ50%増加した。雲南省や、河南省、新疆ウィグル自治区、広西省、広東省など5つの地区の感染者が最も多く、全国の感染者数の77%を占めている」と公表した。中国でエイズが急速に拡大する原因の1つは、中国医療のずさんな血液管理であり、多くの人が病院で輸血を受ける時にエイズに感染している。米国VOAが伝えた。

深刻なエイズ感染情況

世界保健機構(WHO)は、エイズが中国で急速に広がっていると警告し、2010年までに中国のエイズ感染者数は1000万人を超えると予測している。

中国当局の発表では、2003年末までの全国のエイズ感染者は約84万人だという。

しかし専門家らは、医療体制の不備などが原因で、中国当局が把握しているエイズ患者の数は全体の15%にすぎないという厳しい見方を示した。民間支援団体の責任者・胡佳氏とエイズ治療のボランティアを長年続けてきた医者・高耀潔氏は「河南省だけでも約100万人のエイズ感染者がおり、全国の感染者数は600万人に達する可能性がある」と見ている。

中国衛生部部長・王隴徳氏も「経済発展や政治責任などの理由で、各地方政府はエイズ感染の実情を隠ぺいする傾向が見られ、医療検査体制の拡大にも消極的であるため、実際のエイズ感染者数は政府の統計より遥かに多い」と認め、中国におけるエイズ感染予防の難しさを明らかにした。

医療現場でのずさんな血液管理による輸血感染が多発

情報によると、違法な売血による感染者が全体の23%を占め、それに伴って2次被害が発生し、多くの人は病院での輸血で感染した。そのほか約40%の人は麻薬常用者で、9%の人が性交渉により感染したという。

90年代、中国中部の河南省などの貧困農村地区では、血液売買が盛んだった。農民たちは生活のために自分の血液を売り続けたが、不衛生な採血方法により、多くの人がエイズに感染した。それに加え、売人と血液を購入する病院側の間で医者が中間マージンをとるため、経済利益が最優先され、採血された血液は検査もされずにそのまま患者に輸血されていた。その結果2次被害が多発し、多くの人が病院の輸血でエイズに感染した。

AFP通信はある輸血感染者の事例を報道した。被害者は1995年、病院で長女を出産した時に輸血を受けて感染し、その後長女のエイズが発症したのをきっかけに、次女も感染していることが分かった。去年長女が亡くなり、現在4歳の次女の健康状態もよくないという。同じ病院で出産した多くの女性が輸血感染していることがその後の調査で明らかとなった。

もう1人の男性エイズ感染者の事例では、1998年に男性の妻が河北省の大病院で娘を出産した際に輸血感染し、その後彼も妻から感染した。2000年に妻が死去し、現在8歳の娘もエイズに感染しているという。

このような感染例が中国各地で頻発しているのを受け、近年中国当局はようやく重い腰を上げてエイズ対策に乗り出した。現在、国有の血液バンクに対し、HIVウィルスの検査が義務付けられている。