評論:機関猿と地上猿

2005/10/22
更新: 2005/10/22

【大紀元日本10月22日】「機関は、あたかも攀じ登っている猿どもに埋め尽くされている一本の木のようなものだ。」これはいま、中国の役所などいわゆる「機関」というところで流行っている流行語で、中国の役場の生態を戯作化したものだ。

中国は、世界最大の官僚機構を持ち、国家財政で養っている国家公務員と準国家公務員の人数が7000万人を超え、官・民の人口比は1対18となっている。こういった厖大な官僚・準官僚の大軍を養っている場所は通称「機関」と言うが、この「機関」は言い換えれば、中共が独裁統制を行う執行部あるいは代行所なのだ。

一般的に、一本の木には、生えている木の葉や果物が限られ、一定数の猿にしか給食できはしない。しかし、これほど猿の大軍に「埋め尽くされて」いては、堪るものではないだろう。しかし、これは杞人の憂いだ。木の葉や果物がなくなったら木の皮をかじる。木の皮がなくなったら枝や幹をかじるだろう……。もちろん、木の幹をかじり尽してしまったら、木が倒れ、末は中国のことわざ「木が倒れると猿どもは散らばってしまう」で言う結末になるのだが。

実際はいま、この木はかじられるものが著しく減り、倒壊寸前だ。その危機感をエネルギーに、木に攀じ登っている猿らは狂ったように最後の一口をかじろうと必死だ。OECD(経済協力開発機構)によると、去年中国官僚の横領した金額は、およそ4090~6830億人民元、一昨年の前半だけでも、8300名の汚職官僚が外国に逃亡し、また6500名の汚職官僚が国内で「人間蒸発」となったという。近年来、中国の汚職官僚が国外に持ち出した資金の総額は、およそ87~500億ドル(700~4000億人民元相当)に達している。むろん、このようなことが容易にやれたのは、ものが取れない地上の猿ではなく、いずれも「一本の木」に攀じ登っている「機関猿」だったのだ。

改革開放して以来、中国は8%以上の経済の高成長率を維持し、いまや経済の大国と、自慢している。が、中共が発表した資料によると、今は中国基準の貧困ライン(年収85ドル)以下で生活している中国人はおよそ2610万人で、相対貧困の人口も増え続けているという。つまり、改革開放によって、最大の受益者は、中国の国民の大多数を占めている農民や都市部の労働者ではなく、官僚階級やその親族およびそれらの関係者で、いわば「機関猿」族なのだ。それのみならず、改革開放という名の下に、5000万の農民は土地を奪われ、都市部の何千万の従業員も職場を失った。それでも、「地上猿」は重税を納め、「機関猿」を供養しなければならないのだ。これは、「機関猿」の横柄というより、「無産階級」だった中共が「資産階級」になるために供犠が必要とされ、いわば「一部の人を先に富ませる」ための戦術だったのだ。したがって、「地上猿」にとって、嘆いても無意味で、安心立命するより仕方がないのだ。

とはいえ、近年来、中共の暴政を反抗し、自分の権力を奪回しようとし、中国各地で「地上猿」たちのデモや造反が相次ぎ、流血事件もしばしば起こる。最近の太石村のこともその一例だ。中国公安部の統計によると、去年に起きた「集団的事件」は10年前の7倍以上の74000件にも上り、300万人も参加したという。中共が「安定・団結」という剣をもってあちこち暴れた「地上猿」を脅かしつつ斬ってはいるが、その反抗は一向に衰えず日増しにエスカレートしている。

10月11日、中共第16期5中総会は幕を降ろした。その対策として、本会議では「調和社会」の建設や貧富の差を縮小するなどが提出された。しかし、花より団子、今後も引き続き「花」を「地上猿」に「団子」を「機関猿」にやるというルールでやるのか、朝三暮四でたびたび騙された「地上猿」にとって、楽観は許さない。いや、「地上猿」はいま、高嶺の花で再び誤魔化されるより、腐れ果てた中共の大木が倒壊するのを待ち望んでいるのだ。なぜなら、中共が滅亡しないかぎり、「地上猿」は永遠に果物の味が味わえないからだ。そして、中共倒壊の劇もいよいよ終盤に入り、クライマックスを迎えている。