中国四大銀行、支店長ら42人海外に集団逃亡

2005/10/13
更新: 2005/10/13

【大紀元日本10月13日】中国共産党政権成立第56回の記念日を目前に、中国四大国商業銀行の支店長等42人が、海外に集団逃亡するという重大事件が発覚した。当事件は、最低740億人民元と22.3億米ドルの不正流用に関連しており、中国共産党執政以来最大の金融スキャンダルとなる。香港政情専門誌「争鳴」10月号記者田穂が報道した。

10月1日連休の前に、中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行など四大国有銀行の支店長および副支店長42人は、香港金融機関の視察・研修を理由に、それぞれグループで香港に渡り、その後休暇を口実に香港から海外に出国し、そのまま逃亡した。逃亡先はオーストラリアや、ニュージーランド、カナダ、アメリカ、西ヨーロッパなどと見られ、逃亡者の家族の多くはすでに現地で待っていたという。

今回の金融汚職事件は、その規模及び範囲の点で共産党執政の歴史で最大であり、金融機関上層部にある者による組織的かつ計画的犯行であると言う点で異例である。初期の試算では、不正に持ち出された資金は、最低740億人民元と22.3億米ドルに上ると見られている。

事件(略称「05-9事件」)発覚後の9月14日、国務院および中央政法委の指示により、合同の「05-9事件」特別調査チームが組織され、この史上最大の金融汚職案件の調査をはじめている。

特別調査チームは、中国紀律委員会副書記・張樹田氏(兼任中央軍部の紀委委員会書記、総政治部常務副主任)をリーダーに、中国紀律委員会、監察部、検察院、公安部、銀行監察委員会などの関係者で構成されている。 

中国金融業界は以前から問題が山積していた。1993年11月に当時の朱鎔基首相は自ら中国人民銀行の総裁に就任し、金融改革を宣言した。しかし当時彼が人事刷新するために任命した17人の上層部は、今日、天津市市長の戴相竜氏、中国人民銀行総裁・周小川氏、香港中銀の広北氏の3人しか残っておらず、ほかの14人は皆、金融犯罪の波に飲み込まれていった。

前中国人民銀行総裁・李貴鮮氏は、金融業界の保守派と批判され、辞職に追い込まれたが、李氏は政治の場で再三、「全面の金融体制と監督、審査制度を設けずに、一方的に改革を断行することは、金融腐敗と混乱を招く根源である」と訴え続けてきた。

2003年温家宝総理が就任早々、更に力を入れて金融システムを整備し、国際金融市場に適応する金融体制の構築を明言。そのため彼は9回も金融機関を査察している。

今年8月国家審計署の審計長・李金華氏が国務院に提出した関連報告書では、「全国金融業界の不良債権を審査したが、正確な数字の提示が困難である。各金融機関の会計が非常に不透明で、資金の不正流出が継続しており、それに各共産党政府機関の裏口座の残高が上昇している」と記されていた。報告を受けた温家宝総理は、原因究明のための徹底調査、法的責任の追及を命じ、全力で資金の不正流出を食い止め、金融機関の法律遵守を徹底させると宣言した。一説では、汚職金融官僚らは、このような情勢を察知し、集団で海外逃亡に及んだという。

2005年8月、中国人民銀行と銀行監察委員会により提出された報告によれば、2004年12月末まで、国有4大商業銀行の累計不良債権額は、32654億人民元(1元=14円)に達しているという。中国人民銀行は2000年5月から2004年11月までに、7回にわたって国からそれぞれ22250億人民元の資本注入を受けた。当報告書での計算は、不良債権額は、預貯金総額の24.8%を占めているという。また、報告書は、4大商業銀行の73の支店は、2004年度の審計報告書すら提出していないという。

今回の特別調査チームはどれだけの成果を挙げられるのかは、関係者らは楽観視していないようだ。