シルクロード:  遺跡の9割、潰滅の危機

2005/09/06
更新: 2005/09/06

【大紀元日本9月6日】シルクロードは、アジアを横断してユーラシア大陸に続く有名な古代の陸上商業貿易の道であった。しかし、2000年余りの古い歴史を持つシルクロードの遺跡は、大自然の風雨にさらされ、多くの岩石はすでにひどく破損している。敦煌研究院の副院長の李最雄氏は、中国の西北シルクロードの90%の古い遺跡は、すでにもとの様相を失い、壊滅的な危機に直面していると指摘している。

東は中国の古都長安(今の西安)から始まり、南アジア、中央アジアを経てヨーロッパに至る、7000キロあまりに及ぶシルクロードは、古代の東西間の経済、文化交流の重要な架け橋となっていた。古代の中国、インド、ペルシア、アラブ文化と古代ギリシャ、ローマ文化をつなぎ、東方、西方の文明交流を促進する上で大きな役割を果たしてきた。

その中、中国国内を横断する距離は4000キロあまりで、全行程の約半分以上を占めている。新華ネットは李最雄氏の話を引用して報道したところによると、シルクロードの中国国内の古い遺跡は、大きく分けて、主に、石窟寺と土で出来た建造物の2種類で、全部で1200箇所余りがあるという。これらの古い遺跡には非常に長い歴史があり、文化、科学面の内包はとても豊富であり、考古、歴史、文化、科学面においてきわめて高い価値がある。特に、その中の敦煌莫高窟は世界文化遺産に登録されている。

現在それらの石窟と土でできた建築遺跡は、深刻な岩石の風化、侵食により破損されているという。雨によって崖の斜面には多くの谷状の溝ができている。深刻な場合、崖そのものが局部的に崩れ落ちることもあって、洞穴内の壁画、塑像などの文化財は壊滅的な状態になることもあるという。

その他に、雨水が石窟の洞穴の上層部や割れ目を通って洞穴内の壁面にしみ込みひどい場合には、内部の壁画が修復できなくなっている。石窟の専門家によると水の侵食による破損は深刻で、水と岩石の長期に亘る緩慢な相互作用が、風化による破壊につながる主な原因であると指摘している。

また、大多数の石窟は砂漠の周辺に位置しているため、環境の砂漠化も石窟に極めて大きい危害を及ぼし、ここ数年来、砂漠化は日増しにひどくなっているという。

更に、人為的な破壊も非常に深刻である。李最雄氏は、一部分の露天の土で出来た遺跡は規模が大きいため、管理が大変だという。例えば、観光客が「交河古城」、「漢の長城」や「のろし」などに登って写真を撮ったり、遊んだりするが、このような人為的な遺跡の破壊は、寧ろ自然による破壊を上回っている。

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