【大紀元インタビュー2005年1月20日】ニュージャージー州プリンストン発- 元中国共産党総書記趙紫陽が17日逝去したことで、大紀元の記者シン・フェイ(Xin Fei)は、高名な中国学者、プリンストン大学東亜細亜研究所教授ペリー・リンク(Perry Link)氏にインタビューを行った。
リンク氏はハーバード大学で中国史を専攻、博士号を取得、米国の中国学者の中でも第一人者とされています。1972年に米国の卓球選手団が訪中した際、通訳を務め、89年6月4日の天安門広場虐殺事件当時は、米国国立科学アカデミー中国事務所理事として中国に滞在。英語版では“The Truth of the Chinese June 4th Event”として知られている”天安門ドキュメント”の3人の編集者の一人として、中国政府の入国拒否ブラックリストに記載された。
Xin: 中国問題の権威として趙紫陽氏をどう評価しておられますか?
Lin: 手短に言うのは難しいのですが、80年代初頭地方での改革を進め、農民が自分の土地を開拓することを許したのは、非常に大きな貢献です。次に1987年から89年6月4日にかけての1年半で中共が権力の座について以来、最も開放的な時期を作ったと思われます。彼が党の総書記だったことと関係があります。彼は6月4日以後、追放されましたが、彼は学生を支持し暴力に反対しました。これも大きな貢献です。
Xin: 貴方は趙氏と他の中共指導者達との違いは何だとお考えですか
Lin: これら二つの貢献は極めて明らかです。他の指導者が好いとは言い難いですね、特に江沢民、胡錦涛については。彼等には趙が持っていたような貢献、人格、歴史的イメージが欠けていますから。
Xin: 党の最高指導者が党によって弾圧され、これだけ長年の自宅監禁のみならず発言の自由も奪われるということをどうお考えですか?
Lin: 党指導者たちはいくつかの問題に関心を持っています。其の中でも最も重要なのが彼らの権力です。これこそ最重要課題です。彼が自由だったとして、趙が何をやっても関心はないのですが、彼らの権力基盤が揺らぐことが最大の関心事なのです。ですから自宅監禁したのです。これは全く非開明的な処置なのですが、中央集権体制にとって、物事はそういったやり方で機能するのです。
Xin: 中共は趙の追悼式を行うことをためらっており、まだ決められないようですが、この問題をどうお考えですか?
Lin: これは彼らの権威の問題に関わるので慎重です。趙氏が死去する前、まだ重体が伝えられていたころ、この問題について討議を始めていたでしょう。難しい問題です。なんと言っても趙氏は総書記だったのですから。追悼式をやらなければおかしな話です。元政治局委員宋任窮(SongRenqing)がその数日前、96歳で亡くなった時、中共は大々的な追悼式を行い、政治局委員9人と江沢民も出席しました。数日後に趙氏が死亡しました。宋任窮に較べれば趙氏の貢献ははるかに大きい。ですから追悼式を行わないということは常識に欠けるということに成るでしょう。
Xin: ある情報によると、党の内部で趙氏の名誉回復と、天安門事件の再評価を提議している者がいるということです。これをどうとらえますか?これによって党内が分裂するということは有り得るでしょうか?
Lin: そう思います。私の見るところ分裂は水平または垂直に起こりえます。縦の視点では高級指導者の間で89年に起こったような分裂が起こりえるでしょう。横の視点では常に表面的な認識と深層での認識に乖離があります。多くの人が趙紫陽氏の改革に同情していますが、その事を公表することは控えています。
劉賓雁(LiuBinYan)は、89年において北京の共産党員の70%が学生運動に同情的で反対派は少数だったと推定しています。それは当たっていると思います。現時点でも多くの党員が全体主義に不満を持っており、政治改革を期待していると考えられます。しかし、それが日の目を見ることは難しいでしょう。
Xin: なぜ中国共産党はこれほど長く存続できたのでしょうか?
Lin: これは大きな問題です。楊建利(YangJianLi)の随筆を読んだことがありますか?かれはこの問題を好んで分析しています。一つの要素は暴力、もう一つは虚言、第三は官僚制度です。官僚は、その中にあって自分の意志に反しても指示に従い、それ自身の利益の為に組織に従います。三つの要素にそれぞれの役割を果たしています。
Xin: あなたは温家宝と胡錦涛が、中国を民主と法治制度において変革するとお考えですか?
Lin: 彼らがその方向へ導くとは考えられません。2年前我々は皆彼らが何か主体的な行動を取ると期待していました。今では既に明らかです。特に胡錦涛です。彼の視野は狭く、極めて保守的で、想像力も欠けています。彼は中国共産党教育から生まれました。それが彼の教養です。ですから彼には出来ません。外部圧力もしくは人民の蜂起があれば受動的にやるかもしれませんが。彼が上から人民に与えることはありません。これが私の見解です。
Xin: 現在、中国国内に多くの抵抗運動がありますが、これについてのご見解は?
Lin: 現在主力になっているのは知識層によるものではありません。現在の主力は農民、失業者および法輪功学習者です。私は継続的な抵抗を支持します。
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