(続き)
糖質摂取量が少なく、
空腹感や食欲が湧きにくい「1・3・3食」
「1・3・3」は一回の食事で摂取する割合のことです。
「1」は食事1食分で摂取する「糖」(または「炭水化物」)の量のことで、糖には米やパスタなど、でんぷん質で糖分の多い食品、さらには果物や乳製品も含まれます。具体的な量は、ご飯ならお茶碗の4分の1、餃子なら3つです。
炭水化物を抜くことで満腹感が得られない場合は、他の食品の量も増やすことで解決できます。
「3」は野菜の量で、調理前は約300g、調理後はボウル1杯程度です。
かつては「野菜はご飯のお供」とされ、野菜の量が比較的少なかったため、野菜からは栄養素が取れないと考えられていました。しかし、野菜の量を増やすことで、ご飯などの糖質の量が少なくても、必要な栄養を摂れることが分かっています。
最後の 「3 」はたんぱく質の量のことで、ちょうど手のひらサイズです。たんぱく質は大豆や卵で補うのがおすすめです。男性の場合、たんぱく質は多く摂るのがいいので、肉類をすなわちお茶碗8分の1に増やしましょう。
上記の様な分量で食べると、十分満腹になります。
また1・3・3食は、食べ物の種類の比率を重視していますが、調理方法については厳しい制約はありません。
一回の食事で油を多く摂取したとしても、次の食事では油を少なくするように気をつければいいのです。
果物も同じ原理です。果物にはいろいろな糖分が含まれていますが、私たちは「糖分」の総量に注目しています。
私は、朝食に果物を「1糖分」として利用しています。
もちろん、「1・3・3ダイエット」中は、自炊で油を控えめにする、肉は脂肪分の少ないものを選ぶなど、食事のカロリーを調整しやすいので、1食のカロリーを400kcal以下に抑えることは容易です。
「1・3・3食」は高齢者にも適している
近年、「ケトジェニック・ダイエット」や「16:8ダイエット」(1日8時間食事摂取、16時間断食)などのダイエット法が話題になっています。
私見ですが、これらのダイエットは単に体重を減らすことを目的とするならば良いのですが、長期的な使用には向いていないと思います。
ケトジェニックダイエット、16:8ファスティング法、1・3・3食を比較しました。
例えば、私の友人が「16:8ダイエット」を一定期間行い、運動にもこだわっていましたが、筋肉と脂肪の検査で、筋肉量が少なすぎるという結果が出ました。
この期間中には、1日2食しか食べず、タンパク質の摂取がおろそかになりがちだったからです。実は、1回の食事でタンパク質を全量食べたとしても、体に十分に吸収・利用されることは容易ではありません。
私のクリニックでは、75歳以上の糖尿病患者がたくさんいます。薬を飲んでいる糖尿病患者が、血糖値を下げる目的で断食をするのは危険です。絶食期間中も薬が効いているため、低血糖のリスクがあります。
(つづく)
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