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軽い風邪でも心臓発作のリスク! 既往歴に関係なく注意が必要

風邪をひくと、心筋梗塞のリスクを6倍に高めます。台湾の心臓内科医・劉中平氏は、新唐人テレビの番組『健康1+1』の中で、風邪をひいて呼吸困難、高熱が続く、心拍数が上がる、心臓に痛みを感じるなどの症状があれば、十分に注意するよう呼びかけています。

『ニューイングランド医学雑誌』が昨年発表した研究によると、オランダでインフルエンザウイルスによる風邪とPCR検査で診断された2万6千人以上の患者を調査したところ、心筋梗塞を発症するリスクは対照群の6倍に上りました。特に、これまでに冠動脈疾患で入院したことのない人では、心筋梗塞のリスクが16倍に跳ね上がっていたといいます。

風邪による心筋梗塞のリスク増加の理由はなぜでしょうか? 劉中平氏によれば、現在医学界ではその原因について研究が進められており、風邪によって炎症反応が起こり、それが血小板の活性化を引き起こし、血管内で血栓ができやすくなる可能性があると考えられています。

さらに、炎症反応によって末梢の血管が収縮したり、血管内皮の機能が低下したりすることで血管が詰まりやすくなるともいわれています。その他にも、風邪による交感神経の活性化や代謝異常によって、心臓の血流が不安定になり、心臓のプラークが破裂しやすくなるため、血管の閉塞が起こりやすくなるのです。

特に注意すべき人は?

劉中平医師によれば、以下のような人は、ウイルス性の風邪によって心筋梗塞を引き起こすリスクが特に高いため、注意が必要です。

● 先天性心疾患の患者

心臓の構造に異常があるため血栓ができやすく、風邪をひいた際に心臓病を引き起こすリスクが高くなります。
 

● これまで心臓病の既往がない人

前述の研究では、これまで心臓病で入院したことがない人のほうが、風邪の後に心筋梗塞を起こすリスクの上昇幅が大きいとされています。これは、すでに心臓病を患っている人が予防的に薬を服用しており、ある程度風邪による影響から守られているためです。「今まで薬を飲んだこともなく、警戒心もない人ほど、逆にリスクが高まる」と劉中平氏は指摘しています。

● インフルエンザワクチンを接種していない人

ワクチンを打っていない人は、風邪やインフルエンザにかかった際の炎症反応が強く出やすく、心筋梗塞のリスクが高まります。ワクチン接種済みの人は、炎症反応が軽く抑えられるためリスクも低くなる傾向があります。
 

● 心臓弁膜症のある人

インフルエンザで亡くなった芸能人・大S(徐熙媛)さんは、心臓の僧帽弁逸脱症を患っていました。劉中平氏によれば、僧帽弁逸脱症の患者は弁が緩く、「細菌が付着しやすい」状態にあるとのことです。そのため、細菌性心内膜炎を発症するリスクは一般の人の7倍に達します。

インフルエンザはウイルスによるものですが、細菌の二次感染が起こると、細菌が口腔内から血液に入り、心臓に感染する可能性があります。この場合、医師は抗生物質を処方するため、患者は指示通りに服用し、心臓に細菌が侵入するのを防ぐ必要があります。

さらに、僧帽弁逸脱症の患者は風邪をひくと、動悸や不整脈が起こりやすくなります。
 

注意すべき症状とは

風邪のときには、咳や発熱、だるさなどがよく見られますが、次のような症状がある場合は、心臓病の可能性があるため、早急に医療機関を受診する必要があります。

● 呼吸が苦しい

劉中平医師は、通常の風邪で喘息のような症状が出ることはあまりないと指摘しています。もともと喘息の持病がないのに、風邪の際に呼吸が急に苦しくなったり、異常な息切れを感じたりする場合は、特に注意が必要です。

●高熱が続く

また、風邪で発熱するのは一般的ですが、39度以上の高熱が3日以上続く場合、全身の細菌感染(菌血症)が疑われ、細菌性心内膜炎を引き起こす可能性があります。

● 心拍が速くなる

風邪のときは、体温の上昇により心拍数が通常よりも速くなることがあります。しかし、「ドクンドクンと強く感じる」「風邪の症状を超える不快感がある」といった場合は、心拍のリズムに異常がある心不整脈や、心臓機能の低下が疑われます。

● 胸の痛み(心臓の痛み)

最も重要なのは、風邪をひいたときに心臓に痛みを感じないことです。もし心臓に痛みを感じた場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
 

予防のための対策

● 早めの検査と受診

風邪の症状が重い場合は、インフルエンザや他のウイルス感染の可能性を確認するために、速やかに抗原検査を行い、医師の指導のもとで抗ウイルス薬を使用することを勧めます。

● 自己判断で薬をやめない

薬の飲み合わせを心配する人もいますが、劉中平医師によると、医学の進歩により薬の相互作用は少なくなっており、特に臨床でよく使われる咳止め・去痰薬は心臓の薬とほとんど影響し合いません。薬を多く服用することが不安な場合は、風邪薬を控える選択は可能ですが、心臓の薬は絶対にやめてはいけません。

なお、ステロイドや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はアスピリンと相互作用があり、アスピリンの抗血栓効果を弱めることで、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性があります。「このタイミングでアスピリンをやめたら、心臓病のリスクがさらに上がってしまいますよ」と劉医師は警告します。

● アスピリンを服用する

「そもそもアスピリンは風邪薬としても使われています」と劉医師は補足します。糖尿病、高脂血症、高血圧のある人は、風邪をひいたときこそアスピリンを服用すべきで、解熱鎮痛、抗炎症、そして心臓病予防の効果があります。

● インフルエンザワクチンの接種

劉医師は、心臓病のある人にインフルエンザワクチンの接種を勧めています。研究では、急性冠症候群の患者がワクチンを接種すると、心血管疾患の発症リスクが45%も低下することが示されています。

● 夜更かしを避ける

風邪をひいたときはしっかり休むことが大切です。劉医師は「若い人でも、風邪のときに十分な休息をとらず、免疫力が下がって軽い風邪が重症化し、肺炎や細菌感染による心内膜炎になるケースもあります」と注意を促しています。

● 風邪のときは長距離旅行を控える

風邪のときに海外旅行をするのは好ましくありません。時差や移動の疲れ、飛行機内の温度や湿度の変化によって体の抵抗力が下がるだけでなく、現地での受診も難しくなります。

劉医師は、風邪のときに次のような症状が出た場合はすぐに病院に行くよう強く勧めています。39度以上の高熱が続く、めまいや意識がぼんやりする、大きな呼吸音や喘鳴がある、心臓発作のような症状が出る、といった場合は、特に外出中であれば受診を先延ばしにしないようにしましょう。
 

(翻訳編集 華山律)

Jojo
張瑛瑜