タンポポは、子供にも馴染み深い野原やあぜ道、土手、道端のコンクリートの隙間まで、春になるとどこでも見かけます。清熱解毒と利湿作用があり、皮膚の瘡から、 肝臓と胃の炎症まで治すこともできます。その他、髪を黒く保つ効果があります。
地面に広がり、謙虚な姿勢をとっているタンポポは、大地から土の気を十分に取り入れます。一見平凡で特別なものはありませんが、それは実際には地の徳を厚く保持しています。薬草としての価値は大きく、万物の母のようで、女王のようで、かつて民の安康を保護していました。
胃の熱を除去し、肝の火を清め、湿気と濁りを解き、生命力を回復する
『本草新編』はタンポポを「極めて冴えないながら大きな功績を持つ」と絶賛しています。歴代の医師たちは奇妙な薬草だと考えています。一般的な解熱解毒薬は、大抵は寒性や涼性で、脾胃を傷つけやすく、陽気を損なう可能性があります。しかし、タンポポの寒性はいき過ぎず、脾胃を傷つけることはありません。
タンポポを摂取する際に、肝、脾、腎経から入ります。肝を清め、目を明るくし、安神(心を安定させ)除煩(イライラを改善)、脾胃の湿熱と濁った気を除去し、脾胃の運化(運搬と消化)の力を回復させる効果があります。経絡が正常に動くようにし、生命力を回復させます。
中医学では、脾と胃は気血を化生する源であり、気血を作り、生きるための後天的な根本となります。したがって、脾と胃は五行で土に属し、大地の徳を持っています。自然界では土地の湿気や熱気が凄まじすぎると、木の根が腐り、草木が生えず、または枯れて元気がなくなります。脾と胃も同じで、栄養分を生成するのが難しく、栄養失調を引き起こし、病気にかかりやすくなります。
現代人の子供たちは甘いものや、脂っこいもの、揚げ物が好きで、脾と胃の湿熱を引き起こします。まるで夏の暑さの中、風通しの良くない部屋にいるようなもので、湿度と熱のために経脈と気機がふさがり、運化が順調に行えず、汚れが溜まりやすくなり、口臭も感じられるかもしれません。脾と胃は湿った臭い、酸っぱい土壌のようになってしまいます。
そのため、胃は湿熱が過剰な状態にあり、精神的に落ち込み、免疫力が低下しやすいのです。この場合タンポポは熱を取り除き、湿気を除去し、毒を解き、濁ったものを取り除くことができます。これにより、気滞った経脈と気機が軽やかで健康な状態に戻ります。胃の熱が解消されると、五臓が安定し、気血が通じ、体が軽くなり、健康になります。
腫れやむくみを解消し、固くなったできものを取り除き、乳がんの予防や治療、女性にとって優れた薬
中医学では脾は肌肉を司ると認識し、五行では土に属します。つまり、人体の筋肉は、建物の泥壁に例えられます。脾胃が熱を溜め込むと、それが皮膚に閉じ込められて散らずに、膿んだ潰瘍や疼痛を引き起こします。
タンポポは葉を地面に拡げ、大地に広がり、地の気を十分に吸収し、日光を浴びます。花は黄色で、五行では土に属します。これが天と地の気を程よく調和させ、脾胃の気を調節するのに最適です。
脾胃の湿熱と粘ついた気をきれいに取り除き、経脈の気の正常な流れを回復します。外用薬として、熱毒による潰瘍を治療できます。人体の「肉壁」の腐敗部分を修復し、腫れものやむくみを消し、毒を排除し、生命力を回復します。だから、タンポポは「黄花地丁草」(地面を補修する黄色い花)とも呼ばれます。
『本草正義』には、「タンポポは、冷ます性質を持ち、あらゆる潰瘍、腫れ、赤く腫れた熱毒の症状を治療します。内服も外用もよく用いられ、特に乳腺炎や硬結に適しています」と記されています。
女性の乳房は胃経が管理し、乳首は肝経が管理します。胃経は女性の乳房部位を通り、肝経は乳首を通っています。タンポポは肝胃の二つの経脈に入り、特に急性化膿性乳腺炎の治療に適しています。乳房の硬結を解消し、乳がんの予防にも非常に効果的です。また、乳を出す効果もあります。乳房の固くなったできものをやわらかくして取り除くので、乳がんの予防にも非常に効果的です。
黒髪を生やし、筋骨を強壮にし、肝臓と腎臓を補う
『本草綱目』には、タンポポが「黒髪を生やし、筋骨を強壮にする」と記載されています。
「本草述」では、「甘平の薬(甘くて中性の薬効があり)、肝臓と腎臓を補える。この味から、胃に入りつつ肝臓と腎臓にも入ることがわかる。さもなければ、どうやって血液を冷やし、髪を黒くし、衝脈と任脈の気と合流させることができるのか」と述べています。
これは、タンポポが腎臓に入り、奇経八脈の衝脈と任脈と連絡することを指しています。衝脈は人体の五臓六腑十二経の海であり、任脈は五臓の経脈の海、すなわち血の海とも呼ばれます。ですから、すべての経脈の気血に対して調節作用を持つことができます。
タンポポは人体の胃と肺の熱を、前身の任脈と背面の陽経を通じて腎経に流し込み、腎陽を温めることができるとよく指摘されます。胃と肺の無用な熱を利用して、寒くなりがちな腎部を、温熱を必要とする部分に導くということです。
この効果こそがタンポポの穏やかで救世的な偉大な功績です。つまり性質は穏やかでありながら、熱を除去し、毒を解き、血を冷やし、凝結を散らすことができ、正気を損なうことなく、任脈と衝脈を通じて廃熱を腎部に補い、気血を調和させることができます。そのため身体に優しく、非常に有益な効果です。 その名の「薬草の女王」は、まさにその通りです。
『本草綱目』には、「タンポポの若い芽は食べられ、生で食べることで感染性の病気に特に効果がある」とあります。中国清代の名医・陳士鐸は、自著の『本草新編』で嘆いています。「タンポポは、見かけによらず非常に効果があるのに、世の中の人々はその使い方を知らないのが残念だ」。
私たちは天からの恵みを無駄にしてはいけません。宝物を雑草と見なし、排除して満足するだけでは、本当にもったいないことです。春の三月は、タンポポの若葉を食べるのにちょうど良い時期であり、消化器を調整し、肝の火と熱毒を取り除き、人体の生命力を回復する最適な時期です。絶対に見逃さないでください。
タンポポの食べ方
■生食: タンポポの若い茎と葉を洗い、水切りした後、ソースをつけて食べるか、サラダドレッシングで和えます。
調理法:沸騰した水で1分間湯がいた後、冷まして余分な水分を絞り取ります。その後、香油、酢、にんにく、甘辛ソースなどで混ぜ合わせます。また、タンポポの若葉を湯がいてから細かく刻み、肉の餡に加えて餃子や包子(中華まん)にすることも可能です。
■野菜の粥:タンポポを湯がいてから細かく刻み、それを米と一緒に粥にすると、とてもフレッシュで美味しいです。特に、熱毒によるニキビや肝熱が盛んで目が赤い人には、良い調整作用があります。
もちろん、現代人は薬を多く摂取しており、体に重大な病状があったり、慢性的な病気があったり、体質が非常に弱っている場合は、適切かどうか考慮する必要があります。そのため、注意深く摂取するか、医師の指示に従ってください。
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