手足が冷たいのはなぜ? 中医学が見る「冷え」の原因

現代の生活では、冷たい飲み物や冷食はすでに日常習慣となっています。しかし、手足の冷えや寒がり、さらには疲労感や無気力といった症状に悩まされる人も少なくありません。いったい「冷え」はどこから来るのでしょうか。同じように冷たい物を食べても、平気な人と不調を訴える人がいるのはなぜでしょうか。カナダ・ブリティッシュコロンビア州中医鍼灸管理局の中医師であり、鍼灸博士でもある于存海医師が、中医学の視点から「寒体質」が形成される原因とその影響について詳しく解説しました。

欧米人が氷水を飲めるのは 幼い頃から鍛えられているから

北米に住む人々は、子どもから高齢者まで氷水を飲む習慣があります。バンクーバーの冬でも、ベビーカーに乗った子どもがアイスクリームを持っていたり、通勤途中の若者がアイスコーヒーを飲んでいたりする姿をよく見かけます。彼らは冷たい食べ物を摂っても胃腸を壊さないように見えますが、于存海医師は、その違いは人種ではなく、長年の習慣によって形成された体質にあると指摘します。

彼によると、欧米人は乳児の頃から冷たい食べ物や飲み物に接しており、「生まれた時から冷蔵庫から出した冷たいミルクを飲んでいる」といいます。そうして体が徐々に冷たい刺激に適応していくのです。一方、アジア人は母乳や温かい食べ物で育てられることが多いといいます。

于存海医師は臨床経験から、欧米人の赤ちゃんであっても、冷たい食べ物に対しては本能的に拒否反応を示すと話します。彼は次のような例を挙げました。
「妻が出産した時、同じ病室に欧米人の母子がいました。その赤ちゃんは生まれて最初に飲んだミルクが冷蔵庫から出した冷たいミルクだったのですが、飲まないです。激しく泣いて嫌がり、ミルクを避けようとする。それでも無理やり飲まされていました。つまり、生まれた初日から“訓練”されているわけです。一方、隣にいた私の息子には温かいミルクを飲ませていましたが、とても喜んで飲んでいました」
 

冷えが体に入った場合 影響するのは胃腸だけでない

一般的には、冷たい飲食物は胃腸にだけ影響すると考えられています。しかし于存海医師は、「冷え」は全身のさまざまな部位に影響し、多くの症状を引き起こす可能性があると指摘します。

冷えが小腸にある場合:栄養吸収に影響する

冷えが気管支にある場合:気管支炎を引き起こす可能性がある

冷えが肺にある場合:咳が出やすくなる

さらに彼は、人体の動脈と静脈は全身に張り巡らされており、冷えは特に静脈系にたまりやすいと説明します。「弱い部分ほど問題が起こりやすい」のです。

于存海医師は、「欧米人は冷たい食べ物に慣れているから問題が起きない」というわけではないと話します。ある欧米人の患者が咳で診察に来た時のことです。

「脈を診た瞬間、『お腹の中がどうしてこんなに冷えているのですか。まるで氷の塊のようです』と言いました。一緒に来ていた人によると、その患者は何日も温かいものを一切口にしておらず、温かい料理も温水も飲まず、室温のものさえ食べず、すべて冷たいものばかりだったそうです。夜寝る時も冷房をつけていました」

その患者は翌日に大事な公演を控えており、「せめて舞台の間だけでも咳を止められないか」と相談してきました。于存海医師は体を温める薬を処方し、「舞台に上がる前に1杯、終わった後にもう1杯飲みなさい」と指示しました。

「通常なら2杯で十分ですが、念のため3杯飲めば完全によくなります。ただし、冷たいものを再び食べてはいけません。完全に回復してから、少しずつ冷たいものを再開する必要があります」

また彼は、欧米人の中にも薄毛、不妊、若い女性の生理痛、中高年以降の高血圧、糖尿病、脳卒中、心臓病などが多く見られ、「これらの多くは体内の過度な冷えと関係している」と述べています。

さらに于存海医師は、冷えによって30代から太り始める人もいると指摘します。「冷えによって脂肪が蓄積する」のです。

彼によると、人体が長期間にわたり冷たい食べ物を摂り、不規則な生活を続けると、脾胃の機能が低下し、栄養の吸収力が落ちます。その結果、栄養をエネルギーに変換できなくなり、使われなかった栄養が脂肪として体内に蓄積されるのです。
 

年齢を重ねるほど 冷たいものを避けるべき

于存海医師は、アジアの方であれ欧米の方であれ、年齢を重ねるにつれて冷たい飲食物を徐々に減らすべきだと注意を促しています。

彼によれば、欧米人は長年の習慣によって寒さへの耐性は比較的高いものの、中年以降には代謝異常や心血管疾患など、さまざまな慢性的問題が現れる可能性があります。一方、アジア人は幼少期からの適応が少ないため、特に保温や食生活の調整に気をつける必要があるとしています。

(翻訳編集 解問)

陶静慈