舌を見るだけでわかる 体の不調サイン

小学生が肘のアトピー性皮膚炎で中医クリニックを受診しました。医師のYingta Lee 氏は舌を診察し、表面に不規則な斑紋——地図状舌——があることに気づきました。

「臨床の現場では、子どもに比較的多く見られます」と、彼はエポックタイムズに語っています。「一般的に、消化機能の低下や免疫機能の低下と関連していることが多いです」

Lee 氏は消化機能を整える中薬を処方し、一定の治療期間を経て、子どもの皮膚炎は改善しました。

中医学では、内臓の状態は外見に反映されると考えられています。内臓の変化は皮膚だけでなく、舌——特に色、形、舌苔——にも現れます。
 

舌:内臓健康の鏡

現代医学とは異なり、中医学では診断において全体的なアプローチを重視します。中医師は、望診・聞診(声や呼吸、咳などの音を聞く)・問診・切診という「四診」を基に判断し、舌診は2000年以上にわたり、望診の重要な一部とされてきました。

鏡で定期的に舌をチェックすることで、微妙な変化に早く気づき、体からのサインを見逃しにくくなります。特定の舌のパターンには、体内の不均衡を整えるための対処のヒントが含まれていることがあります。

 

舌の色

健康な舌は淡いピンク色で、色の変化はさまざまな体の状態を示唆します。以下は、比較的よく見られる舌のパターンです。

赤みがかった舌

舌が明らかに赤い、または暗い紅色で、黄色く乾燥した舌苔を伴う場合、体内に熱がこもっている状態を示すことがあります。このようなとき、ほてりや落ち着かなさを感じやすくなります。体に熱が蓄積すると血管が拡張し、余分な熱を放出しようとするため、舌が通常より赤く見えることがあります。

このパターンは、感染や炎症反応と関連する場合もあります。

紫色の舌

舌が紫色の場合、中医学では血瘀や寒のパターンを示すとされ、いずれも血行不良と関係すると考えられています。肩や首のこり、腰痛を伴うことも少なくありません。

体を温め、軽い運動で血行を促すことが勧められます。紫色が長期間続く場合は、念のため医師に相談し、他の健康問題がないか確認することが大切です。

また中医学では、血瘀体質の人は血流が滞りやすく、しこりができやすいと考えられています。一方で、冷えやすい体質の人は免疫機能が弱まりやすく、健康リスクが高まる可能性があるとされます。

2016年の研究では、がん患者の舌が健康な人に比べて紫色を帯びやすい傾向が報告されています。

なお、紫色の舌は中毒など特定の状態で見られることもあります。

白っぽい舌

中医学では、白い舌は体内バランスの乱れ、特に冷えや消化機能の低下を示す重要な手がかりとされます。

一方、現代医学では、線状やレース状、厚い白い斑が見られる場合、真菌感染や炎症、場合によっては前がん状態のリスクと関連する可能性が指摘されています。
 

舌の形

健康な舌は丸みがあり、左右対称です。形の変化は、体の内側の状態を反映していることがあります。

舌の端に残る歯形

舌が腫れ、縁に歯形がくっきり残る場合、中医学では陽気不足を示すことが多いと考えられています。陽は体を温め、活動を支えるエネルギーで、不足すると冷えが強まり、消化機能の低下や体液代謝の停滞につながります。その結果、食欲不振、手足の冷え、むくみなどの症状が現れることがあります。

歯痕が見られる人は、飲酒を控え、味の濃い食品や高脂肪・高糖の食事を避けることが勧められます。
 

舌下静脈の怒張

舌の裏にある静脈が腫れ、青紫色に見える場合、中医学では血瘀パターンのサインとされます。血行不良を示唆し、心血管系の問題と関連する可能性もあるため、注意深く観察することが大切です。

2023年の研究では、健康な人に比べて糖尿病患者では舌下静脈が暗く、舌が赤みを帯びる傾向があり、高血糖による微小循環の停滞と関連している可能性が示されました。また、舌裏の画像を用いた糖尿病診断の平均正確率は93.38%と報告されています。中医学では、長期の糖尿病は血瘀と関係すると考えられています。

血糖や脂質の管理のためには、全粒穀物、野菜、果物、魚、有機大豆製品などを取り入れ、食物繊維やオメガ3脂肪酸の摂取を増やすことが勧められます。
 

舌表面のひび割れ

舌の表面に亀裂が見られる場合、中医学では血虚パターンと関連づけられることがあります。この状態は栄養不足と関係し、貧血を伴うケースも少なくありません。
 

舌苔

日本の中医学師・甄立学氏はエポックタイムズに対し、健康な舌苔は薄く均一な白色で、適度な湿り気がある状態だと語っています。一方で、注意が必要な舌苔の変化には、次のようなものがあります。

厚く黄色い舌苔

厚く黄色い舌苔は、食べ過ぎや早食いの傾向を示し、消化不良や体内の余分な湿気と関連することがあります。こうした状態では、胃腸の不調、下痢、便秘などを経験しやすくなります。また、黄色い舌苔は、細菌の増殖、脱水、喫煙、特定のビタミン摂取と関連する場合もあります。乾癬や黄疸によって舌が黄色く見えることもあります。

このサインが見られる場合は、脂肪分や糖分、味の濃い食品を控え、植物性タンパク質を含む野菜や豆類を増やし、有酸素運動で代謝を促すことが勧められます。

薄い舌苔

薄い舌苔は気血不足を示すことがあり、体力低下や疲労感と関連します。食事量の不足や消化機能の低下が背景にある場合もあります。

光沢のある舌

舌苔がほとんどなく、表面がつるっと光沢のある舌は、脱水や体内の過熱状態を示すことがあります。中医学では、陰(潤し冷やすエネルギー)が不足し、陽(熱)を十分に抑えられない状態と考えられています。

地図状舌

地図状舌(良性移動性舌炎)は、白や灰色の縁取りを伴う滑らかな赤い斑として舌に現れます。アトピー性皮膚炎、喘息、糖尿病のある人は、この状態が見られる可能性が高いとされています。

乾燥した舌苔

舌苔の湿り気は体液代謝の状態を反映します。湿った舌苔は唾液分泌や体液循環が比較的良好であることを示し、乾燥した舌苔は体液代謝の乱れを示唆します。

黒い舌苔

黒い舌苔は、体内の陰陽バランスが大きく乱れている状態を示すことがあります。また、特定の抗生物質を長期間使用した場合に、口腔内の微生物バランスが崩れて現れることもあります。

舌の微妙な変化——色、形、舌苔——に注意を向けることで、症状がはっきり現れる前に体内のバランスの乱れに気づきやすくなります。舌の観察は医療の代替ではありませんが、日常的なセルフチェックとして、体の調和を取り戻し、長期的な健康を守るための一助となります。

(翻訳編集 日比野真吾)

Ellen Wan
2007年から大紀元日本版に勤務しており、時事から健康分野まで幅広く携わっている。現在、記者として、新型コロナウイルスやコロナワクチン、コロナ後遺症、栄養学、慢性疾患、生活習慣病などを執筆。