パッションフルーツは健康果実「日本でも作ってます!」

パッションフルーツ(中国語:百香果)という南国の果物があります。南米のブラジルが本場ですが、台湾など、気候の温暖な国では世界中で広く生産されています。

よく知られた和名がないので、日本ではあまりなじみがない果物ですが、鹿児島沖縄ではかなり以前から栽培されています。

花の形が時計に似ているので、植物としては「トケイソウ」と呼ばれます。その果実はクダモノトケイソウと言うそうですが、日常の店先で、その名前はあまり見かけないようですね。

東京では、聞かないな」と思ったのは、こちらの勉強不足でした。東京都内では島嶼部の小笠原村などで、また、おとなりの千葉県でも、このパッションフルーツは「名産品」として多く作られています。

ハウス栽培ではなく、露地栽培で育てられているそうです。千葉県のホームページを見ると、南房総市、館山市、鴨川市、木更津市などを中心に、年間13トンほどが生産されていると言います。

ちなみに同ホームページによると、パッションフルーツが完熟して一番おいしい時期は夏の7~8月ですが、この果物は収穫時期が長いため、年が明けてからの2~3月まで、その味を楽しめるのだそうです。

さて、日本をふくむ世界各地で生産されるパッションフルーツですが、その人気の理由はどこにあるのでしょうか?

パッションフルーツは水溶性と非水溶性の食物繊維を含み、腸の健康にも有益です。(Shutterstock)

香り高く、甘酸っぱい、さわやかな味が好まれることはもちろんですが、もう一つの理由は、栄養価が高く、抗酸化物質や食物繊維を豊富に含むところから、その健康効果が実証されているからではないでしょうか。

球形の実をナイフで割ると、コロイド状の果肉がぎっしり詰まっています。ザクロのそれに似ているようにも思いますが、パッションフルーツの果肉は黄色です。スプーンですくって、黒い種もいっしょに食べることができます。

パッションフルーツの果肉の黄色は、ビタミンAβカロチンフラボノイドなど、健康に有益な物質によるものです。これらは主に、視力回復や炎症を抑える効果を発揮します。

具体的に言いますと、ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を維持し、免疫システムの調節に役立つ物質です。また、涙液の分泌を正常にして眼球に潤いを保ち、眼精疲労の軽減や、夜間視力を保ちますので、ドライアイや夜盲症の予防には最適のフルーツです。

またフラボノイドは、すぐれた抗酸化作用と抗炎症作用を持ち、免疫力を高めるポリフェノールの一種です。

今の時期、日本ではまだ、ミカンやリンゴが食卓やコタツの上に乗ることが多いかと思いますが、たまには気分を変えて、「これ、パッションフルーツって言うのよ」とご家族に薦めてみてはいかがでしょうか。

ちょっと珍しい南国の味に、ご家族みんなで楽しいひと時を過ごせることでしょう。

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)