2025年5月7日、米国財務長官スコット・ベッセントが米国下院金融サービス委員会の公聴会に出席した(Pete Marovich/Getty Images/AFP)

イラン新指導者 ホルムズ海峡を「交渉のテコ」に 米はタンカー護衛検討

イランの新たな最高指導者に就任したモジュタバ・ハメネイ氏は、就任後初となる声明を発表し、世界の原油供給の約5分の1が通過する要衝ホルムズ海峡の封鎖を、対外圧力の交渉材料として利用し続ける姿勢を示した。イランの国営通信社イスラム共和国通信(IRNA)が報じた。一方、米国はエネルギー輸送の安全確保に向け、有志連合による船舶護衛構想を明らかにしたものの、イランへの軍事作戦が続く中で直ちに護衛を安全に実施するための軍事的条件が整っていないという課題を抱えている。

モジュタバ・ハメネイ氏は、2月28日の米国とイスラエルによる空爆で死亡した父アリ・ハメネイ師の後継として最高指導者に就任した。初の書面声明では「殉教者の血の報復を控えることはない」と述べ、長期的な報復を続ける構えを示した。さらに、国際海運への圧力を維持する戦略として、ホルムズ海峡封鎖の可能性を強調し、「ホルムズ海峡を閉鎖するというレバレッジは今後も使用されなければならない」と主張した。

これに対し米国は、エネルギー輸送の安全確保に向けた対抗策を検討している。ロイター通信によると、ベッセント米財務長官は、軍事的準備が整い次第、米海軍が国際有志連合と協力しホルムズ海峡を航行する船舶の護衛を行う方針を明らかにした。ライト米エネルギー長官も12日、供給不足による価格高騰を防ぐ観点から、軍によるタンカー護衛の試みが「比較的近いうちに実現する」との見通しを示した。

▶ 続きを読む
関連記事
対中貿易赤字と中国の過剰生産への警戒を背景に、EUが対抗措置を強めている。独仏も「貿易バズーカ」の導入を共同で要求。協力重視から経済安全保障重視へと転じるEUの対中政策と、経済対立が激化するリスクを読み解く
EUは中国製ハイブリッド車などのEU向け輸出抑制で中国側と合意。対象車の輸出台数を半分以上減らせるとするが、具体策は未公表。対中貿易赤字は1日約1773億円に上り、貿易不均衡の是正が課題となっている
ルビオ米国務長官はポルトガル訪問で、欧州諸国が重要物資を中国など特定の一国に依存すべきではないと警告した。中国資本がポルトガルの電力や金融分野で存在感を強めるなか、EUも対中依存の低減を検討
米司法省とFBIは中共政府と契約関係にある企業インテグリティ・テックが関与するサイバー攻撃について、攻撃に利用された関連ドメインの差し押さえや遮断を実施したと発表。同社が運用していた脆弱性偵察ツールの標的には日本の空港も含まれていた
米国、EU、日本など15の国・地域が、EVやバッテリー、半導体、太陽光パネルなどの過剰生産能力への共同対応を表明した。中国は署名せず、専門家は米欧が多国間で連携し、中国(共産党)への圧力を強める動きと分析