秋分の頃は、空気がひんやりとし始め、冬瓜と豚肉の煮込みをいただくと、肺の乾きを潤し、胃腸を守ってくれます。
秋分の季節 乾きは肺を傷め、湿気は脾を悩ませる
秋分には「三候(さんこう)」と呼ばれる節気の変化があります。初候は「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」といわれ、雷鳴が聞こえなくなる頃です。これは天地の陽気が収まり、陰気に抗う力が弱まりつつあることを示しています。そのため空気は涼しさを増し、万物が静けさを帯び始めます。
人体もまた、この自然の変化に呼応し、津液(体の潤い)が不足して乾燥が強まったり、燥熱が上にこもって不調を感じたり、あるいは湿気が脾に停滞してだるさや食欲不振を招くことがあります。こうした時季の養生は、肺を潤し乾きを防ぎ、余分な湿を取り除いて脾を健やかにし、さらに適度に温め補うことが大切です。
冬瓜 肺を潤し・腸を整え便通を助ける

冬瓜は清涼の性質を持ち、体にこもった熱を取り去り、肺を潤し、腸を整えて通便を助ける働きがあります。長く続いた夏の暑さの後は、体内の潤いが不足しやすく、湿気も内にこもりがちです。そこへ秋分の乾いた気が加わると、肺や大腸はますます乾燥し、潤いが急ぎ求められる状態になります。
冬瓜はやさしく乾きを癒し、余分な熱を取り去ると同時に、脾の働きを助けて湿を排出し、消化をスムーズにしてくれます。ただし寒涼の性質があるため、体質によっては負担になることもあり、適切な食材との組み合わせが大切です。
スペアリブ・鶏肉 からだを養う
豚スペアリブと冬瓜を合わせて煮込むのは、定番の組み合わせです。スペアリブの旨味がしっかりと溶け込み、気血を補いながらも余分な熱をこもらせないので、さっぱりとして潤いのある仕上がりになります。弱った脾胃にも負担をかけにくく、特に、夏の余熱が残り体がほてりがちな方にぴったりです。
鶏肉を使うなら、とくに母鶏や烏骨鶏が合います。こちらは脾胃が冷えて手足が冷たい人、消化力の落ちている人にはより適しています。鶏肉は中焦(消化器系の中心部)を温めて脾胃のはたらきを助け、冬瓜のさっぱりとした潤いをより穏やかに調えてくれます。
冬瓜と豚スペアリブの煮込み
材料(3〜4人分)
- 冬瓜……500g(皮をむき一口大に切る)
- 豚スペアリブ……400g(または鶏肉300gでも可)
- 生姜……3枚
- 料理酒……大さじ1
- 塩……適量
- 胡椒……少々
作り方
- スペアリブは下ゆでしてアクを取り除く(鶏肉の場合も同様に処理)。
- 鍋に水を入れ、生姜と料理酒を加え、スペアリブ(または鶏肉)を入れて約30分煮る。
- 冬瓜を加え、さらに20分ほど弱火で煮込み、柔らかくなったら火を止める。
- 最後に塩で味を調え、胡椒を少々振って仕上げる。
説明
おすすめの食べ方:昼食または夕食に温かくいただくと、脾胃(消化器官)を傷めずに養生できます。
おすすめな方:秋の乾燥で口や喉が渇きやすい人、便通が悪い人、湿気で胃腸が重だるく食欲が落ちている人。
脾胃が冷えやすい人:鶏肉を使い、胡椒を少し多めにすると、体を温めて消化を助ける効果が増します。
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