何世紀ものあいだ、伝統的な治療家たちは 2 つの身近な食材を組み合わせ、強力な免疫サポート効果を持ち、料理としても親しまれる療法食を作ってきました。蜂蜜に漬けたニンニクは、プレバイオティクスとプロバイオティクスの両方が豊富で、腸内環境や全身の健康に役立つ万能な発酵食品です。
ニンニクと蜂蜜をハーバルな「液体の黄金」へと変えるのは簡単です。安全かつ効率的に発酵を進めるためのちょっとしたコツさえ押さえれば、ほんの数週間で、この甘酸っぱくてクセになる味わいを楽しむことができます。
料理と薬効が融合するとき
ニンニクは昔から、細菌を退治し免疫系をサポートする力があるとして重宝されてきました。ニンニクを潰すと「アリシン」という化合物が生成され、天然の抗生物質のように働きます。一部の研究では、アリシンが薬剤耐性菌に対しても効果を持つ可能性があると示されています。こうした特性から、ニンニクは何世紀にもわたり、風邪、インフルエンザ、その他の感染症を和らげるために用いられてきました。
健康効果を得るために生のまま食べる必要はありません。料理に加えることで風味が増すだけでなく、冬の季節に体をサポートしてくれることもあります。ニンニクをはちみつに漬けて発酵させる方法もおすすめです。この過程によって風味がまろやかになりながらも、薬効は失われません。筆者のお気に入りのレシピのひとつであり、とても簡単に作れます。
はちみつを使う理由
加熱処理されていない生はちみつには、発酵に必要な有益な細菌や酵母が自然に含まれています。はちみつの穏やかな酸性と低い水分量が腐敗を防ぎ、有害な微生物の増殖を抑えます。また、はちみつには酵母が栄養源とする天然の糖分があり、プレバイオティクスとプロバイオティクスが豊富な環境を作り出します。ニンニクと組み合わせることで、強力な免疫サポートブレンドが完成します。
完成した発酵ニンニクは、さまざまな料理に使えるだけでなく、科学的にも注目されています。2024年7月に『Food Science & Nutrition』誌に掲載された研究では、生、発酵、熟成の3種類のニンニクの抗菌および抗酸化特性を比較しました。
研究によると、発酵や熟成によって、抗酸化作用を持つ特定の植物性化合物が増加することがわかりました。これらの化合物は、細胞を損傷させる不安定な分子「フリーラジカル(活性酸素)」を中和し、体を守る働きをします。
試験にされた発酵媒体には、エチルアルコール(エタノール)や果実酢も含まれていましたが、6か月後の結果では、はちみつ発酵ニンニクが抗酸化活性で2番目に高い値を示しました。
生のニンニクは抗菌力の点で今なお群を抜いていますが、発酵ニンニクは抗酸化作用においてトップであり、免疫系を強力に支える食品として、まさに風邪やインフルエンザの季節にぴったりです。
はちみつ発酵ニンニクの作り方
はちみつとニンニクは、何千年もの間、伝統医療で重宝されてきました。中医学では、これらは体を温め免疫力を高める作用があるとされ、古代エジプトのツタンカーメン王の墓からもはちみつが発見されています。はちみつとニンニクの古代からの用途は、時代を超えて受け継がれてきました。
材料:
・ニンニクの皮をむいたもの 20〜30片
・生はちみつ 1/2カップ
・リンゴ酢(または他の酢) 蜂蜜とニンニクの混合物1カップにつき 大さじ1 — 細菌の繁殖防止のため
(分量は目安です。選んだ瓶の大きさに合わせ、ニンニクを入れて生はちみつで完全に覆うようにしてください。)
作り方:
- 約120mlの小瓶を用意します。
- ニンニクの皮をむき、汚れを取り除きます。
- 皮をむいたニンニクを瓶に入れます。
- ニンニクが完全に浸るまで生はちみつを注ぎます。必ず「生はちみつ」を使用してください。加熱処理されたはちみつは保存期間を延ばしたり結晶化を防ぐために加熱されますが、その過程で多くの有益な成分が失われてしまいます。
- 大さじ1の酢を加えます。
- 瓶のふたをしっかり閉めて発酵させます。
発酵には数週間から1〜2か月かかります。発酵が活発になると、ニンニクが泡立つように見えることがあります。その場合は、瓶の圧力を逃がすため、1日に1〜2回、ふたを開け閉めするようにします。

発酵が進むにつれて、はちみつがさらっとした液体状になり、徐々に色が濃くなりますが、これは正常です。発酵が落ち着き泡立ちが止まったら、冷暗所で1年以上保存できます。
ニンニクは柔らかくなり、風味もマイルドになるので、ローストチキンなど少し甘味を加えたい料理にぴったりです。はちみつは、イチジクやゴートチーズにかけたり、薪窯で焼いたピザにかけても美味しくいただけます。
免疫力を高め、風邪予防の自然療法として使いたい場合は、ティースプーン1杯のはちみつをお茶に加えたり、ニンニク1/2〜1片をそのまま毎日食べてみてください。
はちみつ発酵ニンニクの腸への健康効果
プレバイオティクスは腸内の善玉菌の増殖を促す食品成分であり、プロバイオティクスは腸内環境を整える微生物です。はちみつ発酵ニンニクにはこの両方が含まれています。
プロバイオティクスは非加熱の生はちみつから、そしてニンニクは抗酸化物質とオリゴ糖を提供します。この組み合わせによって、腸に優しい強力なブレンドが生まれるのです。
ボツリヌス菌から発酵食品を守るために
はちみつの穏やかな酸性と高い糖分は、発酵中に細菌が繁殖するのを防ぐ働きを持っています。しかし、ニンニクには水分が多いため、表面に細菌が発生する可能性がわずかにあります。
「ボツリヌス症」は、クロストリジウム・ボツリヌムという細菌とその神経毒によって引き起こされる稀ながら重篤な病気です。特に乳児や免疫力の弱い人に危険です。生はちみつにはこの菌の芽胞(休眠状態の種のようなもの)が含まれている場合があるため、注意が必要です。
安全のためには、発酵食品1カップあたり大さじ1の酢を加えることが推奨されます。酢を加えることで酸性度(pH)が上がり、ボツリヌス菌が生きられない環境になります。pHが4.6以下であれば安全とされ、pHメーターで最終的な状態を確認することもできます。
適切な準備と保存をすれば心配はいりません。安心して、風味豊かでプロバイオティクスを含む「はちみつ発酵ニンニク」を、健康的な常備食品として楽しむことができます。
(翻訳編集 井田千景)
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