アメリカの懐かしいアニメ『ポパイ』。主人公が危ない場面で、ホウレンソウを一口食べた途端、なぜか体に怪力が湧いてきて逆転してしまうというお話です。「野菜嫌いの子どもにホウレンソウを食べさせたい母親の切なる願いが生んだストーリー」とも言われますが、ホウレンソウには確かに、子どもにも大人にも、すぐれた「効能」がありますよ。
ホウレンソウを食べて免疫力アップと貧血予防
ホウレンソウに多く含まれるビタミンAと葉酸は、免疫力アップや貧血予防に大変有効です。もともと日本でのホウレンソウの旬は秋から冬の寒い季節ですが、今では一年中生産されていて、安価で入手しやすい野菜です。
台湾でも、ホウレンソウは体に良い野菜として位置づけられており、日常的に食べることが推奨されています。台北市にある慈済病院の栄養士・徐繍媛さんによると、栄養豊富なホウレンソウは、ビタミンAと葉酸の含有量が他の葉物野菜に比べて最も優れていると言います。
肺、気管、皮膚、および消化管には、いずれも「上皮」があります。ビタミンAには、上皮細胞の分裂を促進し、正常な組織形態とその機能を維持するはたらきがあります。同時に細胞膜の安定性を維持し、免疫力を増加するとともに、夜盲症を予防して夜間視力を維持します。
また、ビタミンAは抗酸化ビタミンで、慢性炎症の改善に役立ちます。慢性炎症とは、現代人によく見られる「亜健康」の状態であり、生活習慣病と各種のガンに共通する基盤病態であるとされています。なお「亜健康」は、「病気と健康の中間」を意味する概念として、昨今の中国や台湾で注目されている言葉です。
予防医学の専門家である、ロブサン予防医学集団のロブサン院長は、すべてのガンは慢性炎症と関係があると指摘した上で、ホウレンソウなどの抗酸化物質を豊富に含む濃緑色の野菜を積極的に食べてガンを予防することを推奨しています。
食べ合わせと調理方法に、少しご注意ください
ホウレンソウは葉酸に富み、鉄分も一定量含まれているので、血液を補い、貧血を改善する効果があります。鉄分も葉酸も、補血に必要な重要な栄養です。葉酸が欠乏すると、赤血球が正常に分裂せず、貧血を起こしやすくなります。
一方、葉酸は鉄分の吸収を抑制する作用があるため、グァバやキウイなどビタミンCを豊富に含む果物と一緒に食べると、鉄分の吸収が良くなります。
また、ホウレンソウ独特のえぐみはシュウ酸に由来するものなので、先にゆでてアクを抜く人も多いですが、ゆで過ぎると必要な葉酸が抜けてしまいます。
栄養士の徐繍媛さんは「ホウレンソウゆでる場合は、短時間でさっと火を通せば十分です。えぐみはほとんど感じないでしょう」と述べています。
ただし、腎臓結石の患者はこの限りではありません。ホウレンソウを食べる場合は、十分にゆでることと、主治医の指導に随って、食べる量に注意してください。
(文・蘇冠米 翻訳編集・鳥飼聡)
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