早起きは三文の徳 古代中国の生活

 

最近、流行した「朝活」という言葉。早朝のさわやかな空気は健康にいいし、静かでおだやかな時間は何をやってもはかどります。早起きに関しては、古代中国でも重視されていました。

中国宋代の儒学者・朱子は書いています。「一日の計は晨(あした、朝のこと)にあり、一年の計は春にあり、一生の計は少壮時(若い時)にあり」

一日のスタートは、まず早起きから始めてみませんか?

二度寝をするべからず

清代末期、様々な功績をあげた政治家の曽国藩(そう・こくはん)は、毎日4時に起床することを日課としていました。彼は家族にあてた手紙の中で、こう述べています。

「過去2世紀において、我々の祖先は常に早起きすることを日課としていた。私の曾祖父は、日の出の一時間前に起き、父は日の出と共に起きた」

「早起きし、日の出と共に起きよ。一度起きたら、二度寝してはいけない」

また、曽国藩は、早起きは単に自分自身を律するためだけでなく、子々孫々に影響を与える重要なことであると言いました。怠惰な癖をつけてしまえば、その子供たちはそれを真似し、孫の世代になれば更に堕落し、結局この一族は没落してしまうと言うのです。

「一世代が怠惰な生活を送れば、次の世代は不徳な行為にふけるようになる」

と警告しています。

早起きの大物たち

清代には、三人の傑出した皇帝が誕生しました。彼らは毎日5時に起床し、9時には朝礼が行われました。

清代の政治家で曽国藩の弟子のひとり、李 鴻章(リ・ホンチャン)も、毎朝6時に起床していました。李は手紙の中で、「朝の空気はとても新鮮です。寝室の空気は夜のうちに汚れてしまいますが、新鮮な空気を吸い込むと、清々しい気持ちになり、どんな病気にも対抗できるほど身体が活性化してきます」

李鴻章は、清朝期の外交を担って活躍した大物の政治家として知られています。

早起きはすべてを制する

中国には、人より早く行うことが重要であるということわざがあります。「先んずれば人を制す、後るれば則ち人の制する所と為る」(先手を取れば相手を抑えることができるから、何かをする時は人より先にやるのがよい。後手に回っては勝ち目がない)

早起きして人に先んじれば、余裕を持って仕事に取りかかれます。遅く来た人は、早く来た人の流れに身を任せるしかありません。早起きは、まさに三文の「得」なのです。