新しい研究で、食品添加物として広く使用されている「カラギーナン」(赤い海藻由来の増粘剤)が健康リスクと関連している可能性が指摘されました。この添加物は、アイスクリームや植物性ミルクなど、さまざまな食品に含まれています。
研究では、カラギーナンを含む食品を摂取した過体重の人々において、インスリン抵抗性の増加や炎症の悪化が確認されました。
研究者たちは、「過体重の参加者では、カラギーナンの摂取が全身および肝臓のインスリン感受性を低下させることが分かりました」と述べています。この結果を踏まえ、普段何気なく摂取している食品添加物に対して、より多くの研究と注意が必要であることが強調されています。
カラギーナンがインスリン感受性低下や炎症と関連 研究結果
11月26日にBMC Medicine誌で発表された研究によると、食品添加物「カラギーナン」が健康に悪影響を及ぼす可能性があることが示されました。研究では、20人の健康な若年男性を対象にランダム化二重盲検プラセボ対照試験が実施され、参加者は2週間にわたり1日2回、250ミリグラムのカラギーナンまたはプラセボを摂取しました。
主な研究結果
全体的なインスリン感受性
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を用いてインスリン感受性を測定しましたが、全体的には大きな変化は見られませんでした。
過体重の参加者における影響
BMI(体格指数)が高い人々では、以下のような影響が確認されました:
腸管透過性と炎症
カラギーナン摂取は腸管透過性の増加とも関連しており、腸内環境が乱れる可能性が示唆されました。また、白血球からの炎症性タンパク質の増加や免疫細胞の活性化も観察されました。
- インスリン感受性の低下
- 脳の炎症の増加
- 炎症性マーカー(C反応性タンパク質およびインターロイキン-6)の増加
過去の動物実験では、カラギーナンがブドウ糖不耐性や高脂肪食の悪影響を悪化させることが示されていましたが、今回の研究は人間を対象とした初期の臨床研究の一つです。これにより、カラギーナンが炎症を引き起こし、インスリン感受性や腸内環境に影響を与える可能性が初めて確認されました。
研究者たちは、カラギーナンや同様の食品添加物が長期的に健康に与える影響、特に2型糖尿病のリスクが高い人々にどのような影響を与えるかについて、さらなる調査が必要であると指摘しています。
カラギーナンを避ける方法
ニューヨークのノースウェルヘルス・ハンティンドン病院で糖尿病ケア教育を専門とする登録栄養士、ステファニー・シフ氏は、カラギーナンが多くの加工食品や乳製品(チョコレートミルク、アイスクリームなど)、そして植物性ミルクに広く使用されていると指摘しています。
シフ氏は、「カラギーナンを避けるには、自然な状態に近い全粒食品を中心にした食事を心がけることが最善です」と述べています。加工食品に含まれる聞き慣れない成分や発音が難しい成分は、カラギーナンを含む可能性が高いとされています。
クリーミーな食感やとろみが特徴の包装食品にはカラギーナンが含まれる場合があります。そのため、購入する際にはラベルを確認し、成分表にカラギーナンが記載されていないか注意を払うことが重要です。
カラギーナンの代替として、次のような添加物が挙げられます:
- ジェランガム
- キャロブガム
- グアーガム
- キサンタンガム
これらはカラギーナンに比べて健康リスクが少ないとされています。
シフ氏によると、有機食品だからといって必ずしもカラギーナンが含まれていないわけではないため、購入時には成分表を確認することが必要です。米国農務省(USDA)は、有機食品へのカラギーナンの使用を許可していますが、国家有機基準委員会(NOSB)はこれに反対しています。
典型的な西洋の食事では、カラギーナンの摂取量が1日あたり250ミリグラムから2~4グラムに達することがあり、特にクローン病の小児患者が多く摂取している食品添加物の一つとされています。こうした背景からも、カラギーナンを避ける意識を持つことが推奨されます。
カラギーナンだけではない、注意すべき食品添加物
シフ氏は、加工食品に含まれる以下の食品添加物にも注意が必要だと指摘しています。
1. 亜硝酸ナトリウム
加工肉(ソーセージやベーコンなど)に使用される添加物で、加熱されるとがんのリスク増加と関連があるとされています。
2. 高果糖コーンシロップ
甘味料として広く使われており、体重増加や糖尿病、炎症と関連があるとされています。
3. トランス脂肪酸
水素添加油や部分水素添加油に含まれ、心疾患、脳卒中、糖尿病のリスクを高める可能性があります。食品のパッケージに「部分水素添加」と記載されている場合は注意が必要です。
4. グルタミン酸ナトリウム(MSG)
食品のうま味を引き立てるために使用される添加物で、敏感な人では以下の症状を引き起こすことがあります:
- 発汗
- 顔のほてり
- しびれ
- 動悸
- チクチクした感覚
これらの添加物は、日常的に摂取する加工食品に含まれている場合が多いため、食品ラベルを確認し、可能な限り避けることが健康を保つ上で重要です。
(翻訳編集 華山律)
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