書評:『とおい ところへ いきたいな』(モーリス・センダック著)

【大紀元日本9月25日】どこか遠いところへ、行きたいと思ったことはありませんか? 言葉をおぼえる前に月の彼方を指差したことを、おぼえておいででしょうか? ようやくお母さんのことや新しく生まれた赤ん坊のことなどを、考えはじめた子どもが遠くへいきたいと思ったのです。それは10才以前の子どもが出会う、初めての心の外側であったに違いありません。

主人公のマーチンは、おかあさんに聞きたいことがありました。さあ! それはどんなことだったのでしょう? でも、お母さんは、赤ちゃんをお湯に入れるのに夢中でした。マーチンは大決断します。「ぼくが きくことに ちゃんと だれかが こたえてくれる、とおいところへ いっちゃうから。」

マーチンは「とおいところ」をさがしに出かけます。途中で知り合った年寄りの馬と、すずめに「とおいところ」ってどこか知ってるかいと聞きました。すずめは「とおい ところって、じょうひんな ひとたちが すんでいるところですわ。」と言います。馬は「とおい ところとは、うまが ゆめを みられる ところです。」と言いました。すずめも馬もそう言って泣き出し、二人とも遠いところへ行きたいと言いました。

三人が泣いているとネコがやってきて「みんな、どうして ないているの? なにが あったの?」と聞きました。ネコは「そのきもち、よくわかるわ。」と言いました。ネコの遠いところは「ねこが いちにちじゅう うたをうたっても 『うるさい!』なんて、いわれない ところ ですから。」と教えてくれました。

マーチンは知り合った友だちの話を聞いて、目指す遠いところが分かってきました。「ぼくが なにを きいても、だれもが ちゃんと こたえてくれる ところ なんだ!」と誇らしげに言いました。

ネコが「わたし しってるわ、とおいところ。」と言いました。ネコが知っている遠いところは「まちを ぐるぐる まわって、かどから ふたつめの ちかしつ。」地下室についてしばらくすると、めいめいの遠いところが食い違って喧嘩が始ってしまいました。馬が「わたしは かえります」と言いました。すずめは「ここが とおいところなら、まだまだ とおさが たりませんね。」と言い残して窓から飛んでいきました。ネコは「わたしは、あたらしい とおい ところを みつけに いくわ。」と窓からするりと出ていきました。

ひとりぼっちになったマーチンは「もう、あかちゃんの おゆも おわっただろうな。」と考えました。「でも、まだ あかちゃんに かかりきりかな。そしたら、げんかんの だんだんに こしかけて、とおるじどうしゃを かぞえていれば いいや。」マーチンは遠いところで、待つことを学びました。

マーチンはトランクをつかんで、窓から這い出すと一目散に・・・「そして まっていれば、ママは おしえてくれる。じょうひんの いみや、うまが ゆめを みる わけを。ねこが、ならいも しないのに うたが うたえる わけだって、おしえてくれる。」お母さんのところへ、走って帰っていきました。

(庚)

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