シンプルで誰でも測定できる指標は、自分の健康状態を洞察し、寿命を縮める可能性のある問題を早期に警告してくれます。

長寿を予測する5つの健康指標

安静時の心拍数が1分間に10回増えるごとに、早期死亡リスクが上昇します。安静時心拍数は、長寿を静かに予測できる5つの指標のうちの1つに過ぎず、医師が測定していないことが多いものです。

長寿研究では、特定のバイオマーカーが症状が出る何年も前に疾患の兆候を示し、これらの数値の小さな変化が、寿命の長さと生活の質の両方を有意に延ばすことができることがわかってきています。以下に、追跡する価値のある5つの指標と、それらを改善するための方法を紹介します。
 

1. 握力

握力とは、手と前腕の筋肉が握る際に発揮する力と定義されます。

研究では、握力が全体的な健康状態、認知機能低下、全死因死亡率など、さまざまな結果を反映する重要なバイオマーカーであることが示されています。

2015年のProspective Urban Rural Epidemiology(PURE)研究(複数国・所得層を対象)のデータでは、握力が5kg低下するごとに、全死因死亡リスクが16%増加し、心血管死亡リスクが17%上昇、非心血管死亡リスクも17%上昇することがわかりました。握力は血圧よりも心血管死亡のより強い予測因子であることが証明されました。

この関係は一貫して反比例の関係にあります。握力が弱まるほど、リスクは上昇するのです。逆に握力が強いと、免疫機能、心血管の健康、認知機能の向上、そして全体的な死亡率低下と関連しています。研究者たちは、握力が全身の筋肉の健康、生物学的回復力、老化の速度そのものを表す代理指標であると考えています。

良いニュースは、握力は改善できるということです。

実践的な目標として、鉄棒に全身の体重をぶら下げて最大2分間保持する「デッドハング」に挑戦することをおすすめします。これは想像以上に難しいです。最初は数秒から始め、徐々に時間を伸ばしてください。保持できる時間は年齢、性別、フィットネスレベルによって異なりますが、この運動は全身の体重と持久力を同時に使うため、握力の向上と測定に非常に優れた方法です。

さまざまな握り方と関連筋肉を鍛える他の運動には、重い荷物を持って歩く(買い物袋を一度に全部持つなど)、ボールを握る、ハンドグリッパーを使う、登る、冒険心があるなら腕相撲などがあります。

自宅で握力を測定したい場合は、オンラインで電子式握力計を購入できます。小型の装置で、デジタル表示でポンドまたはキログラム単位で握力を測定します。
 

2. 安静時心拍数

私たちがどれだけ健康に長生きできるかを予測する重要な指標の一つが、安静時心拍数、つまり安静時の1分間あたりの心拍数です。

マグヌス・T・イェンセン博士は、デンマークの心臓専門医、教授、研究者であり、安静時心拍数に関する研究で知られています。複数の大規模で長期にわたる研究を通じて、イェンセン博士とその同僚らは、一貫して安静時心拍数の上昇が死亡の独立したリスク因子であることを発見してきました。これは、糖尿病、心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、その他多数の慢性疾患など、さまざまな理由で心拍数が上昇する可能性があるためです。

「それは身体的ストレスだけでなく、心理的ストレスのマーカーにもなり得ます」とイェンセン氏はエポックタイムズに語りました。「したがって、これは非常に非特異的なマーカーですが、心拍数を測定する本人に、今の健康状態について何かを教えてくれるものです」

2013年の研究で、イェンセン氏と同僚らは、安静時心拍数の上昇が体力の低下を反映したものなのか、それとも早期死亡の独立したリスク因子なのかを調べました。この研究では、健康な中年男性2,798人を16年間追跡し、安静時心拍数、体力レベル、生活習慣要因を測定しました。研究者らは、心拍数が高いほど時間とともに死亡リスクが高くなることを発見しました。この関係は段階的であり、心拍数が上昇するごとにリスクが高まることを意味します。

1分間50回未満の非常に低い心拍数の男性と比較して、90回/分を超える心拍数の男性は死亡リスクが約3倍でした。最終的に、研究者らは安静時心拍数が10回/分増加するごとに死亡リスクが約16%上昇することを発見しました。著者らが体力、身体活動、その他のリスク因子を調整した後も、この関係は変わりませんでした。つまり、同じ体力レベルを持つ人々の間でも、安静時心拍数が高い人は早期死亡リスクが高いことがわかりました。

イェンセン氏の研究は遺伝的側面も明らかにしました。4,282組の一卵性および二卵性双生児を対象とした研究で、安静時心拍数は約23%が遺伝的であることがわかりました。双生児同士の比較でも、心拍数の高い双生児の方が先に死亡する可能性が高いことが確認されました。

成人の安静時心拍数は通常60〜100回/分ですが、イェンセン氏によると、健康的な安静時心拍数は非常に個人差が大きいものです。

「自分自身が基準です」と彼は言います。「たとえば普段60回の人は心拍数が上がったら、何か起きているとわかりますよね?」

しかし、イェンセン氏によると、結果を最もよく予測するのは夜間の安静時心拍数です。おそらく日常活動やストレスに影響されず、より安定しているためでしょう。

安静時心拍数を下げる最も効果的な手段は? 運動です。

「私たちは何かできるのです」とイェンセン氏は言います。「私たちは自分自身の主人です。健康に関しては、ある程度自分の運命を手にしています」

喫煙、飲酒、身体的・心理的ストレスなど、他の生活習慣要因も影響すると彼は付け加えました。

安静時心拍数は誰でも簡単に測定できるため、健康と長寿の有用な指標であるとイェンセン氏は言います。

「誰でも自分の心拍数を測ることができます」と彼は言います。「手首、首、またはウェアラブルデバイスで測れます。だから非常にアクセスしやすいのです。」
 

3. ウエスト身長比

長年にわたり、体組成の指標として医学界で標準的に使われてきたのは体格指数(BMI)でした。しかしBMIには根本的な欠点があります。筋肉と脂肪を区別できず、脂肪が体内のどこに蓄積されているかを示さないのです。この区別は非常に重要です。なぜなら、内臓周囲に蓄積される内臓脂肪は、他の部位に蓄積される脂肪よりもはるかに危険だからです。内臓脂肪は炎症、インスリン抵抗性、心血管疾患、早期死亡と強く関連しています。

老年医学と老年学の専門家であるフランチェスコ・ランディ博士は、2025年に高齢者のウエスト身長比と身体機能の関連を調べた研究を発表しました。

「Longevity Check-up 8+プロジェクト内の研究で、中央性肥満を反映する人体測定指標、特にウエスト身長比が身体機能と関連していることがわかりました」とランディ氏はエポックタイムズへのメールで述べています。「比率が高い人は機能的な結果が悪くなる傾向があり、中央性脂肪分布と身体機能の早期低下の関連を示唆しています」

「ウエスト身長比は体格に対する腹部脂肪の割合を反映しており、代謝リスクと密接に関連しています。中心性肥満は心血管疾患、糖尿病、機能低下と関連しており、これらはすべて長寿に影響を及ぼします」

イギリスの栄養科学者マーガレット・アシュウェル氏は、ウエスト身長比を世界的に認められた健康と長寿の指標にするのに大きく貢献しました。彼女の研究では、男性、女性、すべての民族グループ、5歳以上の子供において、BMIよりも死亡率の優れた予測因子であることが示されています。

内臓脂肪がこれほど有害な理由には、はっきりとした仕組みがあるとアシュウェル氏はエポックタイムズに語りました。

「炎症物質を直接血流に送り込み、肝臓や心臓に届けるのです」と彼女は言いました。

測定はこれ以上簡単なものはありません。紐を使って肋骨の下、骨盤の上部のウエストを測り、次に身長を測ります。目標はウエスト周囲径が身長の半分未満であることです。アシュウェル氏の目標とするウエスト身長比は0.4〜0.5の範囲です。

アシュウェル氏は「長年の疑問に対する答えはここにあります。紐の長さは? 健康でいたいなら、身長の半分未満です!」と言いました。

アシュウェル氏は身長とウエスト周囲径に基づいた理想的な範囲のチャートも作成しており、以下に示します。

(イラスト:The Epoch Times、Shutterstock/著作権者マーガレット・アシュウェル博士(OBE)のご厚意により掲載。www.ashwell.uk.com)

もしこの範囲から外れていたり、ウエスト周りを少し引き締めたいと考えている場合、そのための方法は、他の種類の脂肪を減らす場合とまったく同じだとアシュウェル氏は言います。

「消費するカロリーよりも摂取するカロリーを減らし、健康的でバランスの取れた食事制限を心がけてください」と彼女は言いました。「実際、内臓脂肪はまず最初に落ちるという証拠もあります」
 

4. コルチゾール

コルチゾールは、身体的・感情的ストレスに反応して分泌されるステロイドホルモンです。短時間だけ分泌される分には健康的かつ必要なものであり、集中力を高め、最も必要なときにエネルギーを与えてくれます。しかし、コルチゾールの値が慢性的に高い状態が続いたり、うまく調整されなかったりすると、体に長期的な摩耗、いわゆる「アロスタティック負荷」を引き起こすことがあります。

その先に生じる影響は深刻なものになり得ます。コルチゾールが常に高い状態が続くと、テロメア(DNAの末端を保護するキャップ状の構造)が短くなり、慢性的な炎症を引き起こし、免疫機能を抑制し、筋肉を分解し、血糖値を上げ、内臓脂肪を増やし、脳の老化を早めることで、神経変性疾患にかかりやすくなる可能性があります。2017年に『Neurology』誌に掲載された研究では、持続的かつ長期的にコルチゾール値が高い状態が続くと、症状が現れる最大6年前の段階でアルツハイマー病を予測できることが示されました。

同じくらい重要なのは、コルチゾールの値がどれだけ高いかだけでなく、1日の中でどのように変動するかという点です。健康的なパターンでは、コルチゾールは朝にピークを迎え、徐々に低下し、深夜0時ごろに最も低い値になります。不健康なコルチゾールのパターンとは、1日中低いままであったり、夜間に上昇してしまったりする状態を指します。

こうした調整の乱れは、臨床的な診断が下るよりも何年も前から現れていることが少なくありません。

コルチゾールの値は生活習慣の変化によって影響を受けます。ストレスを管理し、十分な睡眠をとり、健康的な食事を心がけ、定期的に運動し、良好な人間関係を育み、こまめに水分補給をすることで(脱水は一時的にコルチゾール値を上昇させることがあるため)、自然にコルチゾールを下げることができます。

コルチゾールの値は、血液、尿、唾液から測定できます。これらの検査は通常、医療従事者が指示するものですが、自宅でコルチゾールを測定できるキットも購入可能です。多くの場合、唾液を採取する方式で、1日を通して複数回採取し値の変動を追跡します。こうした検査は、自分のコルチゾール値を把握し、医療専門家に相談すべきタイミングを見極める助けになります。
 

5. 栄養不足

長寿について語られるとき、栄養は睡眠や運動といった要因の陰に隠れがちです。しかし、ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸を含む重要な栄養素の不足は、病気にかかりやすくなったり、老化を早めたり、寿命を縮めたりする可能性があります。

長寿研究者であり病理学の教授、そして健康寿命テクノロジー企業Optispanの創業者であるマット・ケーバーライン氏は、「欠乏(deficiency)」と「不足(insufficiency)」を区別しています。真の欠乏は、臨床的に認識できる機能不全を引き起こすと彼はエポックタイムズに語りました。一方、不足、すなわち最適とはいえないものの、危機的に低いわけではない状態は、明確な診断につながることなく、何年、何十年にもわたって静かに健康を蝕んでいく可能性があります。

ケーバーライン氏によると、長寿への影響という観点からも、また多くの人が十分に摂取できていないという観点からも、注意を払うべき栄養素がいくつかあるといいます。ビタミンD、オメガ3、マグネシウムなどがそれにあたり、これらはアメリカにおいて最適とはいえない栄養状態の中でも、特によく見られ、かつ十分に裏付けのある例だと彼は述べています。

研究によれば、ビタミンDが不足するとテロメアが短くなり、加齢に伴うDNA損傷が増加することが示されており、長期にわたる欠乏がある人は、加齢関連疾患を発症するリスクや早期死亡のリスクが高まります。オメガ3脂肪酸は、生物学的な老化を遅らせ、慢性的な炎症を軽減し、心血管と認知機能の健康を改善することで、長寿を促進します。

マグネシウムはDNAの複製と修復、炎症の軽減、ミトコンドリア機能のサポート、心血管系の強化、代謝の健康維持に不可欠であり、健康で長い人生を送るうえで極めて重要です。

多くのアメリカ人は、カリウム、カルシウム、ビタミンB群も不足しがちです。また、ビタミンB12の不足は動物性食品を避ける人に、鉄分の不足は閉経周辺期の女性や思春期の若者に、それぞれ特に当てはまるとケーバーライン氏は述べています。

「目標とすべきは、食事内容やリスク要因、そして可能であれば適切なバイオマーカー検査に基づいて、思慮深くサプリメントを補うことです」と彼は言います。「ほとんどの人にとっては、多様で質の高い食事こそが最良の基盤であり、たいていのビタミンやミネラルのニーズを満たすには、それで十分です。基本的には、まず食事から摂ることを優先すべきです」

サプリメントが必要になる人もいますが、それはまず検査を受けたうえで判断するのが最善です。
 

まとめ

これらの指標のほとんどは、検査室や高価な検査を必要とせず、自宅で追跡できるものです。そしてそのすべてが、同じ基本的な対策、すなわち定期的な運動、質の良い睡眠、栄養価の高い食事、ストレス管理、そして自分の体が時間とともにどう変化しているかへの継続的な注意によって、良い方向へ変化します。

ほとんどの人にとって、全体として健康的な食事を摂っているのであれば、すべての栄養素やミネラルの摂取量を細かく追跡する必要はないとケーバーライン氏は言います。多様で、加工の少ない食事であれば、ほとんどの人のニーズを満たせます。ただし、より注意を払うべき人たちもいます。ヴィーガンの人、高齢者、特定の健康状態や吸収に問題がある人は、栄養不足のリスクがより高くなります。知っておく価値のある主要な検査には、ビタミンD、オメガ3インデックス、鉄分、ビタミンB12、そして貧血を調べるための血球数検査があります。自分にとって何が重要かは、医師が判断の助けになってくれるでしょう。

その瞬間ごとの具体的な数値よりも重要かもしれないのは、その「軌跡」、つまり健康から遠ざかり、病気へ、そして場合によっては早すぎる死へと向かっていく傾向です。症状が現れる前に問題を知らせてくれる信頼できる指標は、強力なツールです。それによって私たちは、長く健康な人生を送るための前向きな変化を起こす時間を得ることができるのです。

 

(翻訳編集 日比野真吾)

鍼灸医師であり、過去10年にわたって複数の出版物で健康について幅広く執筆。現在は大紀元の記者として、東洋医学、栄養学、外傷、生活習慣医学を担当。