ほてり・不眠と更年期 中医学がすすめる養生法

女性が更年期に入ると、体の内側から外側までさまざまな変化が起こります。不眠、ほてり、イライラが現れることもあれば、手足が冷えることもあります。中医学ではこれらの現象をどのように捉えているのでしょうか。また、どのように養生すれば心身を穏やかに移行させることができるのでしょうか。

大紀元では、代々受け継がれてきた中医師の楊暁光氏に取材し、「陰虚」体質によって引き起こされる更年期症状について解説していただくとともに、簡単に実践できる養生法をご紹介します。
 

更年期は必ず来る? 中医学が見る「陰虚」

多くの女性は更年期を恐れ、中には非常に不安に感じる人もいます。これについて楊暁光氏は、更年期は自然な生理現象であり、女性ではおよそ50歳前後から始まり、閉経と密接に関係していると説明します。

同氏は、年齢を重ねるにつれて人体の陰液は徐々に減少し、「年を取れば陰虚になる」と述べています。これは女性だけでなく、男性にも同様に見られる現象です。更年期の代表的な症状について、楊氏は次のように語ります。

「眠れない、眠りが浅い。ほてり、つまり突然熱くなる感覚が繰り返し起こる。感情が不安定になり、気分が落ち着かずイライラする。汗をかきやすくなることもあります」

中には頻繁に汗をかき、常にタオルを持ち歩いて汗を拭かなければならず、日常生活に支障をきたす女性もいます。

楊氏は、「これは陰虚による不安定な状態です」と説明します。そして、人は50~60歳を過ぎると基本的に陰虚の状態になり、「女性はこの時期になるとホルモンが半分以下に減少し、経絡全体のバランスが乱れ、体がどのように調整すればよいか分からなくなるため、さまざまな不調が現れやすくなります」と補足しています。
 

養生の鍵は「補陰」を中心に、「補陽」も兼ねること

更年期を「そのうち過ぎるもの」と考えて耐える人も少なくありません。しかし楊氏は、適切に体を整えれば、その過程はより穏やかになると考えています。

「医師に相談して調整すれば、とても穏やかで快適に移行できます。」

楊氏は自身の妻を例に挙げ、事前に体調を整えていたことやストレスが比較的少なかったことから、多少の気性の荒さや睡眠の問題はあったものの、全体的な症状は軽かったと話します。

楊氏は、更年期ケアの中心は「補陰」にあると強調します。

「補陰をしなければ、熱感が何度も込み上げてきます。これが陰虚の症状です」

ただし、補陰は一律に行うものではなく、個々の体質に応じた弁証施治が必要です。

「陰虚にもさまざまな種類があります。心陰不足、肝陰不足、腎陰不足、脾陰不足、肺陰不足などがあり、どこが不足しているかを見極めてバランスを整えることで、更年期を乗り越えやすくなります」

楊氏は、妻の体調を整えながら更年期を穏やかに過ごせた経験を次のように語っています。

「もともと妻はストレスもそれほど大きくなく、私はその都度サポートしていました。そのため症状は比較的軽かったのです」

感情面や睡眠面で更年期特有の症状は避けられなかったものの、その程度は軽く抑えられました。「その年齢に近づく前から準備を始めていたからです」
 

食養生:山芋を中心とした穏やかな補養

日常の養生として、楊氏は山芋を中心にしたスープ療法を勧めています。

「普段スープを作るときは、どんなスープでもヤマイモは欠かせません。」

特に鉄棍山薬を推奨しており、妻が冷え体質だったため、よくハスの実や芡実と組み合わせていました。鶏スープ、豚肉スープ、牛肉スープのいずれにも、この3種類の生薬をほぼ必ず入れているそうです。

さらに、状況に応じて黄精(おうせい)、首烏(何首烏)、クコの実、麦門冬、ナツメなどを加え、順番に取り入れていました。

楊氏は次のように述べています。

「人によって不調の部分が異なります。精神的に落ち着かない人には、大麦を使った甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)を勧めることもあります」

また、次の点を特に強調しています。

「補陰には非常に重要な特徴があります。それは必ず補陽と組み合わせることです。補陽を忘れてはいけません。補陰とともに補陽の生薬も加える必要があります」

補陽の生薬としては、シナモンや附子(ぶし)などがあります。

このような養生は毎日行う必要はありません。

「鍋いっぱいにスープを作り、2~3日かけて食べて、その後1~2日休んでからまた作る」

という方法で、手軽に継続しながら体を養うことができます。

デザートでは、白キクラゲのスープも適しています。ナツメ、ハスの実、ユリ根などを加えることで、陰を養い乾燥を潤す効果が期待できます。

「先ほどお話しした山芋や黄精なども加えることができます」
 

陰虚が重い場合は? 強化型の食養生

陰虚がかなり進行していて、より早く補陰したい場合には、山芋などの穏やかな食材だけでは「作用が緩やかすぎる」ことがあります。

楊氏は、ココナッツウォーター(市販の加工飲料ではないもの)を飲むことを勧めています。また、タンポポの葉や桑の葉を生のまま搾ったジュースも補陰作用があります。

ただし、タンポポの葉や桑の葉を料理として食べる場合は、主に清熱解毒の作用となり、効果が異なります。

さらに、少量の生のセロリジュースを組み合わせることで、短期間に集中的な調整を行うこともできます。

楊氏は次のように説明しています。

「陰虚の場合、一般的にはセロリジュースを1~2回、タンポポの葉のジュースを1~2回、桑の葉のジュースを1~2回飲み、その後ココナッツウォーターを数十回ほど飲めば、おおむね改善していきます。」

編集注:どのようなスープやジュースであっても、中医師の指導のもとで、患者の具体的な状態に応じて内容や量を調整する必要があります。

(翻訳編集 解問)

陶静慈