アメリカでは、更年期にはおなじみの症状が伴います。ホットフラッシュ、寝汗、ブレインフォグ、大きな気分の変化などです。しかし、日本の農村部やユカタン半島の女性に尋ねると、ほとんど症状を聞かないかもしれません。
世界各地で、女性が更年期を同じように表現するとは限りません。睡眠の問題、疲労、関節痛、感情面の症状を訴える人が多い地域もあります。更年期の典型的な症状とされるホットフラッシュでさえ、集団によって頻度や重症度が異なるようです。
「更年期は誰にでも訪れますが、その経験は一様ではありません」と、女性の健康を専門とし、4つの専門医資格を持つベッツィー・グリーンリーフ医師はエポックタイムズに語りました。
なぜでしょうか。その疑問に答えるのは、初めに思われるほど簡単ではありません。
症状は場所によって異なる
更年期症状の文化による違いに注目が集まった最初の地域の一つが、日本でした。1970年代から1980年代にかけての研究では、日本人女性は北米の女性に比べて、ホットフラッシュを経験する頻度がはるかに低いと報告されました。
「違いは非常に大きいです」と、責任ある医療のための医師委員会の創設者で、ジョージ・ワシントン大学医学部の非常勤教授を務めるニール・バーナード医師はエポックタイムズに語りました。
彼は、1998年の研究で、日本人女性のうちホットフラッシュを報告した人は約15%にすぎず、症状があった人も軽度と答えていたことを指摘しました。しかし、食生活が西洋化するにつれて、その後の数十年間でホットフラッシュを報告する割合は3倍になりました。この結果を受けて、研究者はそれまでの仮説を見直し、食事や生活習慣、その他の要因が更年期の経験にどのような影響を与えるのかを調べるようになりました。
アジアの他の地域でも、症状の現れ方は異なります。中国で行われた2025年の研究では、不眠、疲労、神経過敏が最も多く報告された症状に含まれていました。インド全土の女性を対象とした全国調査を分析した2016年の研究では、関節や筋肉の痛み、疲労、睡眠障害が最も多く報告された症状に含まれていました。インドの女性にもホットフラッシュは起こりますが、アメリカのように常に主な訴えになるとは限りません。
メキシコのユカタン半島に住む228人のマヤ人女性を対象とした2001年の研究では、ホットフラッシュを報告した女性は一人もおらず、目立った更年期症状を思い出した人もいませんでした。しかし、この研究では、女性たちがなぜこれほど症状をほとんど報告しなかったのかは明らかにされず、重要な疑問が残されました。
違いを説明する可能性のあるものは何か
その答えを探す中で、研究者の関心はホルモンだけでなく、食事、身体活動、体重、文化的な考え方へと広がりました。いずれか一つの要因だけで違いを説明できるとは示されていませんが、それぞれが関係している可能性を示す証拠があります。
研究対象となった多くの集団で繰り返し見られた一つの傾向は、野菜、豆類、全粒穀物、加工度の低い食品を多く含む食事です。例えば、日本食には大豆が多く含まれています。大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲン受容体と結びつき、穏やかなエストロゲン様作用を示す植物性化合物です。科学者は、これらの化合物がエストロゲン値の低下に伴うホルモン変化の一部を和らげ、ホットフラッシュなどの症状を軽減する可能性があると考えています。
「イソフラボンは、要因の一つにすぎません」と、家庭医学と女性の健康を専門とするロバート・トンプソン医師はエポックタイムズに語りました。
日本食は、魚、海藻、発酵食品、食物繊維を多く含み、超加工食品が少ない傾向もあるとグリーンリーフ氏は述べました。研究者は、特定の食品だけに注目するのではなく、食事全体のパターンに目を向けるようになっています。食物繊維やその他の栄養素が豊富な食品は、血糖値の調節や腸の健康を支えると考えられており、更年期症状との関連も研究されています。
閉経後の女性604人を対象とした2025年の研究では、質の高い炭水化物や食物繊維の豊富な食品を多く食べる人は、加工食品に大きく依存した食事をしている女性に比べて、更年期症状が少なく、生活の質を示すスコアも高いと報告されました。
2023年の臨床試験では、バーナード氏と同僚が、40~65歳の閉経後女性84人を対象に、食事に関する仮説を検証しました。中等度から重度のホットフラッシュがある女性は、通常の食習慣を続けるグループと、大豆を加えた低脂肪のビーガン食を取り入れるグループに分けられました。12週間後、介入群の女性は、中等度から重度のホットフラッシュが88%減少したと報告しました。また、平均約3.6kgの体重減少、生活の質の向上、睡眠や気分の改善もみられました。
「植物性食品を中心とした食習慣が広く根付いている地域では、更年期症状が少ない傾向があります」とバーナード氏は指摘しました。
食事を超えて:言葉が捉え方を形作る
仮に食事が身体的な違いを完全に説明できたとしても、もう一つの傾向は説明できません。更年期がどのように語られるかは世界各地で大きく異なり、その捉え方は、症状をどのように経験するかだけでなく、研究者にどのように報告するかにも影響する可能性があります。
西洋社会の多くでは、更年期はしばしば解決すべき問題として捉えられます。女性が症状について話す際には、症状の管理、ホルモンの減少、老化、若さの維持に焦点が当てられがちです。
「更年期という言葉自体が、月経の停止を意味します」とグリーンリーフ氏は述べました。「この段階を、失われたものによって定義しているのです」
一方、アジアの一部の文化では、「第二の春」という表現が使われています。
「それはまったく異なる捉え方です」と彼女は述べました。「伝えられるメッセージは、『体の機能が停止していく』ではなく、『人生の新たな季節に入っていく』というものです」
文化的な考え方は、女性が更年期をどのように経験するかだけでなく、どのように表現するかにも影響する可能性があるとトンプソン氏は述べました。
「社会が更年期を、若さや生殖能力を失うことではなく、人生の後半へと移る自然な変化として捉えている場合、女性が症状を経験し、報告する傾向も異なります」と彼は述べました。
異なる文化圏の更年期を研究する専門家は、周囲からの期待や使われる言葉が、女性がどの症状に気づくか、どの程度つらいと感じるか、調査で何を報告するかに影響する可能性があると指摘しています。これは症状が想像上のものだという意味ではありません。生物学的要因と文化的要因の両方が、経験を形作っている可能性があります。
周閉経期の栄養を専門とする登録栄養士で、認定インテュイティブ・イーティング・カウンセラーでもあるエミリー・ヴァン・エック氏は、女性が老化全般をどのように捉えるかにも、似たような影響がみられると述べました。
「老化は、アメリカで扱われているような大惨事としては捉えられていません」と彼女はエポックタイムズに語り、日本でしばしば見られる文化的な考え方に触れました。「自分の体と闘わず、更年期は自分を惨めにするひどいものだというメッセージに囲まれていなければ、経験の仕方も変わります」
代謝の健康の役割
食事や文化的な捉え方に加えて、代謝の健康も、更年期の経験に影響を与える重要な要因として注目されています。
周閉経期から更年期にかけてエストロゲンが減少すると、女性の体が血糖値を調節し、筋肉量を維持し、炎症を抑える働きに影響することがあります。こうした変化は、睡眠、活力、気分にも関係する可能性があります。
代謝機能障害と慢性疾患の予防を専門とするポール・グロス医師は、更年期におけるこの側面は、より注目されるべきだと考えています。増えつつある研究では、更年期は代謝の健康状態や、体が血糖値を調節し、インスリンを利用する仕組みの変化と密接に関係している可能性が示されています。
「肥満、インスリン抵抗性、代謝機能障害の割合が高いことは、より重い更年期症状と関連しています」と彼はエポックタイムズに語りました。
一つの仮説では、過剰な体脂肪が断熱材のように働き、ホットフラッシュが起きた際に体から熱を逃がしにくくすると考えられています。同時に、インスリン抵抗性や慢性炎症が、体温を調節する仕組みに影響し、ホットフラッシュの頻度や強さを高める可能性があります。
身体活動も、症状に重要な役割を果たす可能性があります。研究対象となった多くの集団では、農村部のマヤ人共同体を含め、女性たちは歩行、農作業、家事などを通じて、日常生活の中でより多く体を動かしていました。定期的な運動は、筋肉量の維持、インスリン感受性の向上、骨の健康の維持、気分や睡眠の調節に役立つ可能性があります。
社会的なつながりや慢性的なストレスの少なさも、女性が中年期の変化をどのように経験するかに影響する可能性があります。慢性的なストレスは、体のストレス反応を活性化させ、コルチゾール値を上昇させ、体温調節を担う脳の一部である視床下部に影響を与えます。研究では、こうした変化によって体温を調節する能力が低下し、ホットフラッシュがより頻繁に起きたり、生活への影響が大きくなったりする可能性が示されています。
慢性的なストレスは、睡眠や気分にも影響する可能性があります。周囲からの十分な支えは、女性が更年期に伴う身体的・感情的な変化に、よりうまく対処する助けになるかもしれません。
女性が学べること
食事、言葉、代謝の健康といった一つの要因だけで、更年期の経験にみられる世界的な違いを説明することはできません。また、それぞれの仮説を支える研究にも、小規模な調査、数十年前のデータ、生物学的な違いと文化による報告の違いを切り分ける難しさなどの限界があります。
それでも、一定の傾向がみられます。
野菜、豆類、穀物、加工度の低い食品を中心に食べる女性は、加工度の高い食品を多く食べる女性とは異なる症状の現れ方を報告することが多いようです。また、強い社会的なつながり、定期的な身体活動、老化に対するより肯定的な考え方を持つ集団では、更年期への移行を前向きに受け止める傾向もみられます。
「最も大きな教訓は、更年期を単なるホルモン不足ではなく、全身に関わる変化として捉える必要があるということです」とグリーンリーフ氏は述べました。
更年期は誰にでも訪れますが、その経験の仕方は一様ではありません。
(翻訳編集 日比野真吾)
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