日本銀行(BOJ)の植田和男総裁が2025年6月17日、東京の日本銀行本店で記者会見を行った。(写真:Kazuhiro NOGI / AFP)(写真:KAZUHIRO NOGI/AFP via Getty Images)

日銀総裁講演 中東情勢を受けた経済・物価展望と今後の金融政策運営

日本銀行の植田和男総裁は2026年6月3日、「きさらぎ会」において講演を行い、最近の経済・物価情勢と今後の金融政策運営の考え方について語った。中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰という「供給ショック」に直面するなか、日本銀行の現状認識と次なる一手への姿勢が鮮明に示された内容となっている。

2026年2月末以降の中東情勢の緊迫化を受けて、原油価格は過去のショックに匹敵する大幅な上昇を記録している。原油の9割以上を中東産に依存する日本にとって、原油高は交易条件の悪化による海外への所得流出をもたらし、景気の下押し要因となる。 一方で、物価への波及についてはこれまでと異なる動きが予測されている。現在の日本はデフレマインドが解消し、企業の価格設定行動が積極化しているため、原油高を起点とする価格転嫁のスピードは過去よりも速く、幅広い品目の値上げに波及しやすくなっているのが特徴である。

今後の日本経済について、今年度は原油高による企業収益や家計への下押し圧力により成長ペースがいったん減速するものの、高水準の企業収益や政府の経済対策、緩和的な金融環境が下支えとなり、緩やかな成長を続ける見通しである。消費者物価の前年比伸び率は今年度を中心に大きく高まり、今年度後半から来年度にかけては、基調的な物価上昇率も「物価安定の目標」である2%と概ね整合的な水準になると予想されている。

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