コロラド州でペスト感染者を確認、市民に感染拡大防止を呼びかけ

アメリカのコロラド州プエブロ郡で、ペスト患者が確認された。

9日、プエブロ郡公衆衛生局は、住民の「ヒト感染例を確認した」と発表し、感染拡大を抑えるために「潜在的な感染源を調査し、予防措置をとるよう市民に要請する」と付け加えた。

同郡は先週、予備検査の結果が出た後にペストが疑われる事例を報告していた。報道によると、感染源はまだ調査中だという。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によれば、ペストはノミを介して野生のげっ歯類に感染が広がり、人への感染は稀だという。感染しているノミによる咬刺が人への主な感染経路で、感染した動物と接触したり、感染した人や動物から咳の飛沫を吸入することによっても感染する。

ペスト菌(エルシニア・ペスティス)のヒト感染例は、アメリカでは決して珍しくはない。3月にニューメキシコ州の男性がペストで死亡している。2月にはオレゴン州当局が、ある症例について、感染した猫との関連性があるかもしれないと発表した。

ペストの症状が出た場合は、直ちに医師の診察を受けるようにと当局は述べている。

保健当局によれば、ペストの症状には、突然の高熱と悪寒、頭痛、筋肉痛、疲労、まれに皮膚のただれ、倦怠感、あるいは全身の倦怠感などがあるという。ペストによくある症状としては、リンパ節の腫れや痛みがある。

プエブロ公衆衛生環境局のアリシア・ソリス氏は、「ペストは抗生物質でうまく治療できるが、深刻な合併症や死を避けるには、速やかな治療が必要だ」と先週の報道で述べた。

同局は地元住民に対し、「自分とペットを疫病から守る」ために、人の近くに住み着くネズミを岩山、ゴミ置き場、薪の山、草むらなどから駆除するよう勧告した。さらに、ペットとベッドで一緒に寝ないこと、定期的に犬猫にノミの治療をすること、ネズミが出没する場所でペットに狩りをさせたりうろうろさせないことなどを勧めている。

CDCのデータによると、米国では毎年平均7件のペスト症例が報告されており、主に西部の州で発生している。ほとんどの症例はニューメキシコ州とアリゾナ州で発生しているという。

世界保健機関(WHO)によると、2010年から2015年の間に世界中で3,200人以上のペスト感染が報告され、ペルー、マダガスカル、コンゴ民主共和国で多く発生した。そのうち584人が死亡している。

CDCによれば、アメリカではペストのワクチンは「もはや入手不可能」で、新たなワクチンは「開発中ではあるが、当面市販の見込みはない」という。

米国でよくペストを媒介するげっ歯類として、CDCはネズミ、ハツカネズミ、リス、ウサギ、プレーリードッグ、シマリス、地リスなどを挙げている。

中世にはペストの大流行があり、ヨーロッパと中東で数百万人が死亡した。2013年には、西暦541〜750年に中東とヨーロッパを襲った「ユスティニアヌスのペスト」もペスト菌によるものであることが確認された。

ニューヨークを拠点とするエポック タイムズの速報記者。