ペストが大流行した中世ヨーロッパに、「ペスト医師」と呼ばれる専門医が出現しました。
その姿は、黒いガウンに皮手袋、顔には「鳥のくちばしのマスク面」をつけるという異様なものでした。
「マスクが日常化した今」大きな誤解を解く
マスク先端の内側には、香りのある植物や香料を充填しました。当時はもちろん細菌やウイルスに関する知識は皆無でしたが、こうしたフィルターが医師を感染から守ると考えられていたのです。
数百年の時を経た現代。世界は今も「中共ウイルス」と呼ばれる新型コロナウイルスの、度重なる変異株に翻弄されています。
中共ウイルスがもたらす肺炎(中共肺炎または武漢肺炎)は、人類に重篤な疫病をもたらしました。人々は日常のどこでもマスクをつけて、その感染の予防に努めています。
まさに「マスクが日常化した今日」ですが、一部の人は「マスクにアロマオイル(香油)を垂らすことで、予防効果を高められる」と考えているようです。
しかし、このような方法は適切ではありません。かえって逆効果となり、健康を損なう可能性さえありますので、ぜひ避けていただきたいのです。
漢方アロマセラピーでも臨床経験が豊富な馥芊漢方クリニックの院長・李嘉菱氏は、「アロマオイルの香りは、確かに防疫にも使えます。ただし、それはマスクに直接香油を垂らすのではなく、香りを広げる器具に使うようにしてください」とアドバイスします。
マスクに香油を垂らすデメリット4つ
中世の「鳥のくちばしマスク」には、抽出された純粋な精油ではなく、各種のハーブが入っていました。
李嘉菱氏は、「純粋なアロマオイルを外科用マスクに滴下すると、4つの問題が生じます」と言います。
1、外科用マスクの構造を破壊する
外科用マスクは防水層、静電気ろ過層、吸湿肌保護層に分けられます。精油の分子自体には極性(正電荷と負電荷)があるため、防水層や静電ろ過層を破壊して、外科用マスクの有用性を失わせるのです。
2、刺激性の皮膚炎を起こしやすい
アロマオイルによる芳香療法は, 100%純粋な精油(エッセンシャルオイル)を皮膚に接触させるのではありません。基底油(キャリアオイル)を加えて希釈し、そのオイルの芳香を利用するのが一般的です。純粋なオイルをマスクに垂らして着用すると、オイルが肌に当たることで刺激性の皮膚炎を起こします。
3、神経の鈍化を起こしやすい
マスクに直接精油を垂らすことで、高濃度の精油を長時間、近距離で嗅ぐと、神経の不活性化を招きやすくなります。
不足している外科用マスクの代わりに布マスクを着用した場合、李嘉菱氏は、「精油を布マスクの外側に数滴垂らすのは可能だが、前夜に垂らして精油を揮発させ、刺激を減らすこと」を提案しています。
また別の問題として、精油にキャリアオイルを加えて希釈することにより、刺激を軽減できますが、キャリアオイルの粘性がマスクの通気を妨げて、マスクニキビなどの皮膚症状を引き起こすことが懸念されます。
4、「いつも同じ匂い」が精神面に影響を及ぼす
李嘉菱氏は、「マスクに垂らした精油によって、ずっと同じ匂いを嗅ぐことは良くありません。ずっと後になっても、その時の経験(パンデミックの経験)を思い出し、再び緊張を呼び起こすことにもなります」と指摘します。
室内にアロマオイルの芳香を広げる器具
アロマオイルの芳香を部屋などの空間に広げて使えば、濃度が低くなり、人体への刺激を軽減することができます。
アロマオイルは濃度に注意しながら香りを広げるものなので、一日中使うことはできません。しばらく嗅いでいて、気道を刺激していると思ったら、一旦中断してください。
市販されているもののなかで、よく見られる香りを広げる器具は3種類あります。その原理および長所と短所は以下の通りです。
1、アロマオイルが使用可能な加湿機
精油を水に滴下し、振動を加えた後に、霧化した水分子を噴出する方式で室内に香りを広げます。
李嘉菱氏によると、アロマオイルは水に滴下することで薄めることができますが、この噴霧方式では、どうしても室内の湿度が高くなるため、乾燥期でないときは、長時間の使用には適さないと言います。
2、香炉、アロマライト
電気やキャンドルでゆっくりと加熱し、香りを拡散させます。
アロマとライトの相乗効果でロマンティック感が演出できますが、高温になるのでオイルが劣化しやすいという欠点があります。
3、アロマディフューザー
通常はベルヌーイの原理を用いて、エッセンシャルオイルを振動させ小さな分子にして放出します。
加水や加熱が不要で、湿度上昇やオイル劣化の問題は起こりにくいですが、空気中の濃度が高くなりやすい欠点もあります。李嘉菱氏は、なるべく短時間の使用にとどめ、濃度が十分だと感じたら一時停止することを勧めています。
いま必要なのは「免疫力の向上」
エッセンシャルオイルによる防疫の役割は、人の免疫力を向上させる、その一助になることです。
李嘉菱氏は自著『中醫芳療診察室(漢方アロマセラピー診察室)』のなかで、有用な多くのポイントを紹介しています。
同氏はまた、「アロマオイルは人の免疫機能を向上させることができます。しかし、よく手を洗い、マスクを正しくつけるなどの防護措置をしなければ、いくらアロマオイルの香りを広げても感染予防にはなりません」と注意します。
新型コロナウイルスは武漢肺炎ウイルスとも呼ばれていますが、大紀元は「中共ウイルス」と呼ぶのが正確だと考えています。
このウイルスは、中国共産党の統治下にあった中国で発生したものであるとともに、中国共産党がそれを隠ぺいしたことにより、世界中にウイルスが拡散し、大流行を引き起こしたからです。
(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)
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