人生の三分の一は睡眠に費やされています。しかし、不眠や眠りが浅いことに、多くの人が悩まされています。伝統的な漢方医にはそれに対処できる秘策があるでしょうか? この記事では、睡眠を改善する食材6種類、お茶やツボ押しマッサージの方法をご紹介します。
アメリカ在住の漢方医師であり、宮廷医師(侍医)の三代目であるJessie Huangさんは本紙「エポックタイムズ」の「健康1+1」コラムで、不眠には「原発性」と「続発性」があると紹介しました。
「原発性不眠」は独立した睡眠障害のことで、通常の治療は睡眠習慣(癖)を調整する認知行動療法という心理療法が主な方法で、必要に応じて薬を投入します。「続発性不眠」は何らかの病気が原因(不安、焦り、うつ、慢性の痛みなど)で、生じた不眠で、治療はまず原因となる病気を治します。そうすると二次障害となる不眠も自然に解決できます。
古来から伝わる漢方医の観点からみると、不眠は「内傷七情」、すなわち「喜、怒、憂、思、悲、恐、驚」に関わっているといいます。就寝する前にこのような良くない感情が現れると、睡眠を妨げることになります。そして、寝る前に食べ過ぎや過剰に飢える状態、昼間の過労、暇すぎるのも睡眠を妨ぎます。
では漢方で不眠症を改善する方法があるのでしょうか? Jessie Huangさんは、午後に「安眠茶」を飲み、夕食に睡眠促進の効果がある食材を取り入れ、就寝する1~2時間前にツボ押しマッサージをすれば、より深い睡眠が得られるとアドバイスしました。
漢方安眠茶
材料 酸棗仁(ナツメの漢方)10グラム、百合 10グラム、茯苓(ブクリョウ) 10グラム
方法 上記の材料に500ミリリットルの水を加え、30〜50分煮詰めます。午後にお茶として毎日飲みます。軽い睡眠障害の人は1〜2週間に飲めば十分ですが、深刻な睡眠問題が抱える人は長期間にわたって飲む必要があります。
効能 酸棗仁、百合、茯苓は漢方医学でよく使われる薬や食材にもなる材料です。研究によると、酸棗仁には鎮静と抗不安作用があり、心血管系を守る効果もあります。茯苓の抽出物は睡眠を促進し、深い睡眠時間を増やせます。百合には抗うつ作用があり、うつ病による不眠なら特に効果的です。
6種類の食材で不眠を緩和
安眠茶だけでなく、食事に次の食材を取り入れれば、不眠の緩和が期待できます。
1.粟
粟には脾胃(消化器)強化、精神安定、睡眠促進の効果があります、Jessie Huangさんの話によると、彼女が通っていた漢方医学学院では、100歳超えた医師がいて、毎晩粟粥を飲んでいました。
研究では、粟にはトリプトファンがたくさん含まれており、セロトニンの生成を促進し、脳の働きに役立つし、眠気を引き起こす効果もあるとわかりました。
2.龍眼
龍眼には心を養い、精神を安定させる効果があります。研究によると、龍眼に含まれている多糖(EPS)成分は抗酸化活性を通じて神経を守る機能を持っています。
3.蓮の実
蓮の実も心を養い、精神を安定させる効果があり、お粥やスープに加えて、煮込んで食べることをお推めします。研究によると、蓮の実エキスには神経の薬理活性があり、入眠を早め、睡眠の質を向上させる効果があります。
4.百合根
百合根は美味しい野菜であり、薬用材料でもあります。漢方医学の臨床ではうつ病の治療に広く使われています。
薬膳の使い方としては、生の百合根60〜90グラムを蜂蜜小さじ1〜2杯と混ぜ、蒸して寝る前に食べることです。
5.茎レタス
茎レタスには乳白色の樹液が含まれており、精神を安定させる鎮静作用があります。皮付きのままでスライスして煮込み、スープとして飲みます。特に寝る前に飲むと効果的です。
6. 蓮根
研究によると、蓮根を食べることで入眠を早め、深い睡眠の時間を増やす効果があります。
寝る前にツボ押しマッサージ
漢方医学では、人体に気血など生命エネルギーが流れる道―「経絡」が存在するとしています。鍼灸やマッサージで経絡上の特定の「ツボ」へ刺激を与えれば、エネルギーの流れをさらに円滑にできます。研究では、原発性不眠症患者のツボに鍼灸を施術してみた結果、より良い睡眠が得られました。
毎晩寝る前の1~2時間、ツボをマッサージすれば、心が落ち着き、眠りに入りやすくなります。例えば、22時に寝ようとする場合、20時か21時にマッサージを始めましょう。百会穴、四神聡、印堂穴、内関穴、神門穴という5つのツボをそれぞれ3〜5分間マッサージすると効果的です。
睡眠促進できる4つの生活習慣
1、健康的な食事
健康的な食事を維持し、晩御飯に油っこい食べ物や辛い食べ物を控え、過剰な飢餓と過食を避け、消化の悪いものを食べないようにしましょう。研究によると、精製炭水化物を過剰に摂取すれば、血糖が波ように激しく上下し、不眠のリスクが上がります。一方、野菜、果物、穀物をバランスよく摂取する人は不眠症になりにくいことわかりました。
少量のアルコールは睡眠促進の効果があるという人もいます。しかし、Jessie Huangさんは夜にアルコールを摂取すると、睡眠の途中に時々目が覚め、深い眠りに入れません。睡眠の時に呼吸困難やいびきをかく人は寝る前のアルコールを避けるべきです。酸素不足が起きる恐れがあると指摘しました。
30年にわたるある研究によると、アルコールを多く摂取する男性高齢者は、睡眠の質が悪くなり、夜中に目が覚めやすく、朝起きた時疲労感を感じやすいという結果がでています。
2、規則正しい生活
規則正しい生活を維持し、体内時計のリズムを保つことが大事です。一度生活のリズムが乱れると、調整はかなりの時間がかかります。たまに夜更かしした時でも、通常通りの時間に起きましょう。起床時間が遅くなると、夜寝る時間も遅くなりがちです。
寝過ぎもよくありません、成人は1日6~8時間の睡眠が保てれば十分です。例えば80歳の老人の場合、よく座ったり横になったりするので、夜の睡眠時間は3~4時間あれば十分です。つまり、昼寝などの休憩のとりすぎは、夜の睡眠に悪影響をもたらします。
3、ポジティブになる
楽観的でリラックスした気持ちを保ち、過剰に眠ることを避けましょう、寝つきが悪くても気にしないでください。
4、リラクゼーション活動
リラクゼーションに役立つ活動を行いましょう。リラックスできる音楽を聴いたり、瞑想(めいそう)をしたり、マッサージへ行ったりしてリラックスしましょう。
不眠症の解決は睡眠薬だけ頼らないでください。原因を見つけ出し、根本から治すべきです。皆さんが良い眠りを得られることを願っています。
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(翻訳 正道 勇)
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