中共が西側諸国パイロットを引き抜き 「ファイブ・アイズ」が警告
中国共産党(中共)が西側諸国のパイロットを引き抜き、自国の軍事訓練に利用していることについて、米国、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報共有ネットワーク「ファイブ・アイズ」は、この動きが西側諸国の戦略的優位性を脅かし、将来的に衝突する可能性を増大させていると警告した。
中共は以前から西側のパイロットを招聘し、軍事訓練に従事させてきたが、最近になってその取り組みを強化している。「ファイブ・アイズ」が6月5日に出した報告書によれば、中国軍は西側の退役パイロットの技術と経験を取り入れ、空戦能力の向上を図っている。
同報告書には、中共が南アフリカと国内の民間企業を介して、西側出身の元戦闘機パイロット、エンジニア、空中作戦の専門家を採用し、自国の海軍と空軍のパイロット育成にあたっていると記されている。
台湾の国防安全研究院の助理研究員である鍾志東博士は、ファイブ・アイズが中国への対抗策を主導する西側諸国の核心的な存在であると述べた。中共が西側の退役軍人をターゲットにする行為は、軍事、科学技術、そして運営のノウハウを含む西側の情報を獲得するためには手段を選ばない中共の戦略を示しており、これが中共軍の戦闘力向上に寄与していると指摘した。
また鍾志東博士は「中共の狙いは、自国の軍事力を増強することだ。西側の軍事運営を学び、模倣することで、中共軍の能力を高め、同時に西側の軍事的介入への抑止力を強化している。これは、将来的に台湾海峡や南シナ海で緊張が高まる可能性がある状況において、特に重要だ」と述べた。
昨年6月、ドイツのピストリウス国防相はIISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)において、インド太平洋地域で武装衝突が発生した際には、ドイツがその地域の平和と安全に寄与する義務があると発言した。同氏はまた、中共がドイツの元軍人を募集し、中共の利益のために訓練していることに終止符を打つよう要請した。
鍾志東博士は次のように述べている。「西側諸国は、中共の影響力に立ち向かうために、政府と社会全体で対策を講じるべきだ。特に、外国の軍隊への訓練提供を、政府の許可なく行うことを禁止する法律を厳格化することが肝要だ。さらに、中共の統一戦線に対抗するための情報ネットワークを拡大することも必要だ。実際に、西側の軍人を募集することは、情報戦の一環と考えられる」
元米空軍参謀長であり、現在は米軍統合参謀本部議長を務めるチャールズ・Q・ブラウン・ジュニア氏は昨年9月、米国のパイロットたちに対して「中共軍は、あなたたちの知識と技術を利用して、自軍の軍事力の不足を補完しようとしている」と警告を発した。