生でも加熱しても美味しいトマトは、胃腸の働きを助け、夏バテを防ぎ、シミを薄くする効果、そしてアンチエイジング(老化防止)に効果が期待できます。
今日は、甘酸っぱくて食欲をそそり、リコピンがたっぷり含まれているトマトをご紹介しましょう。トマトは胃腸の働きを助け、肌を明るくし、心を養って落ち着かせ、血管の老化を防ぎ、塞栓症などを軽減する効果が期待できます。
効果1:心に栄養を与え、血をサラサラに!
トマトは赤く、赤は漢方の五行説によると「火」であり、心を養うとされています。確かによく熟れたトマトを見ていると、穏やかで優しい気持ちになりますね。
形は形を補うという言葉があるように、トマトを半分に切ると心臓に良く似ていることがわかります。これがきっと、心と相性が良いと言われている理由でしょう。
しかし、実際の薬効も優れたもので、トマトにはリコピン(「カロテノイド」に分類される赤色の天然色素)が豊富に含まれており、肌の老化、血管の老化、血管塞栓を防ぐ働きがあります。
そのため、心血管疾患を予防できると言われています。色が赤いほどリコピンが多いので、真っ赤なトマトほどリコピンが豊富に含まれているとされています。
リコピンが多いトマトは、冷蔵庫よりも常温に置いて、自然熟成させた方が美味しくなると言われていますよ。こういう何気ない智慧が大事ですね。
効果2:熱を取り、体内の「火」を下げる
暑いときにトマトを食べると、のどの渇きを癒すことができます。適度な液体成分が、皮膚や粘膜に栄養を与え、内臓に栄養を届けます。極めつけは、この液体成分が関節の潤滑油となると言われているのです。
関節には滑液包(かつえきほう、英: synovial sacは、関節や腱等の組織や構造を保護し、摩擦を減少させる役割を果たす包囲構造)があり、この滑液包が潤滑油となっています。それによって、関節が柔軟に動くのですよ。
また、若い人は、夏に火照りやすい、火照りが大きいほど、体の水分が早く失われ、口が乾きやすく、体が疲れやすくなります。この時トマトを多く食べると、火照りを抑えることができますよ。体の倦怠感を抑えることができると言われているのです。
効果3:アンチエイジング(抗老化)、シミ防止
トマトは非常に強力な抗酸化作用を持っています。シミが増えるのを防いで、老化に負けない若々しい肌を手に入れることができるとされているのです。女性の肌はだんだん抗酸化力が落ちることにより、メラニンが沈着しやすくなり、顔のシミがかなり増えてきます。
そんな時は、昼食後にミニトマトを5~10個補ってみてください。気を付ける点は、完熟した真っ赤なトマトを食べることですよ。
効果4:胃を丈夫にし、食欲不振を改善する。
トマトは胃腸の働きを助け、食欲を増進させる効果があります。中国の金、元両王朝時代(1115‐1367)の四大名医の一人、李東垣は.《脾胃論》で「脾胃の内傷は万病のもとなり」と書いています。
「脾胃は中央にあり、ちょうど東南西北の四臓である肝・心・肺・腎を灌流するように、中央にある脾胃は他の四臓を灌流できる」
つまりこの意味は、脾臓と胃が体内で中央に位置しており、体内の四つの主要な臓器である肝臓、心臓、肺、腎臓といった臓器に、エネルギーや血液を供給しているという考え方に基づきます。脾臓と胃は他の四つの臓器に、エネルギーや栄養を供給する役割を果たしているとされているのです。
これは脾胃を大切にすれば、病気になりにくいということですね。脾胃が弱い方には、次のような料理がおすすめですよ。
豚バラ肉のトマト煮込み:
まずは豚バラ肉250gを食べやすい大きさに切ります。次に水500ccを加え、弱火で8割ほど火が通るまで煮込み、スライスしたトマト150gを加え、さらに生姜と塩を加えて火が通るまで煮込みます。
冷めないうちに1~2回に分けて食べるようにしましょう。この料理は、脾胃の弱りや、目の調子が悪い人に適しています。
肝臓が弱っていると、目が疲れやすく、はっきり見えずらくなります。寝ている間にヨダレが出る人は脾虚(ひきょ:消化器系の調子が悪く、食物をエネルギーにうまく変換できない状態のことを指します。脾とは胃や腸のことです)のサインなので注意が必要です。豚バラ肉でトマト煮込みを作ると、改善されることがあります。
もちろん、おなじみのトマトボロネーゼのパスタも、老若男女問わず食欲をそそられますね。
生と加熱、どっちがいい?
トマトは生で食べた方がいいのか、それとも加熱した方がいいのか、という質問が多いのですが、実は、どちらもおいしいんです。それぞれ効能が違います。 風邪を引きやすい人、肌荒れやシミが気になる人は、生で食べるのがいいでしょう。ビタミンCを摂取したい場合は、ミニトマトをおススメします。
リコピンを多く摂りたい場合は、リコピンは油溶性なので、大玉トマトを使い、調理するとよいでしょう。リコピンを増やすために、必ず油で炒めましょう。
そうすることで、吸収率が2~3倍にアップします。炒めることでトマトの甘みが出て、渋みも抜けるので、さらにおいしくなりますよ。
★リコピンたっぷりのトマト入りスクランブルエッグ
リコピンたっぷりの一品で、主材料はほんのり酸味のあるトマトとなめらかな卵の2つだけです。トマトはスクランブルにすることでリコピンを大量に放出し、卵には脂肪の代謝や血管をきれいにするレシチンやタンパク質が含まれています。特に、昨今のトマトは甘くて、酸味が全くないことがあるので、酢を少し加えるとおいしくなります。
トマトと卵の比率が重要になります。トマト1個、卵2~3個の割合で作ってみましょう。それが一番おいしいんです。スクランブルエッグにするときは、油をさっと熱して、卵がトロトロになるようにします。夏の暑いときに、甘酸っぱいトマトと卵の組み合わせは、食欲をそそられますね。
参考;
リコピンは多くの健康効果があるとされており、以下のような特性があります。
抗酸化作用
リコピンは活性酸素種に対抗する強力な抗酸化物質であり、細胞を酸化ストレスから保護し、細胞ダメージや老化を減少させる可能性があります。
心臓の健康
リコピンの摂取が心臓の健康に有益であるとされています。血管の健康を維持し、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を減少させ、心臓病のリスクを低減する可能性があります。
がん予防
リコピンはがん予防にも関与するとされており、特に前立腺がんのリスクを減少させる助けになる可能性があります。
皮膚の健康
リコピンは紫外線からの皮膚の保護に寄与し、日焼けや皮膚の老化を防ぐ助けになることが研究で示されています。
なんでもそうですが、逆に良く効く薬を取りすぎると毒になります。たとえば、
トマト食べ過ぎによる悪影響
①体が冷える。
②胸焼けを起こしやすくなる。
③消化が悪くなる。
④胆石や結石になる可能性も
⑤花粉症の悪化の原因に
リコピンの取りすぎによる悪影響
① :アレルギーや過敏症
② :腹痛や下痢
③ :皮膚の変色
④:低血圧
というような、何事にもネガテイブな側面がありますが、それが出てきてしまうのですね。気を付けましょうね。
トマトを食べてはいけない人は?
トマトは生で食べると少し冷たい性質がありますから、冷え性の人には不向きですよ。冷え性の人とは? 手足が冷たく、下痢をする傾向があるタイプの人です。また、生理痛に悩む人も、生理中は食べるのを避けたほうがよいでしょう。
トマトを賢く食べよう!食べ過ぎに注意
ミニトマトは手軽に食べやすく、皮が薄くジューシーで、甘みが強いため食後のデザートなどに最適です。
ただ、空腹時にトマトを生で食べるのは禁物です。胃酸過多になって膨満感や腹痛を起こす場合があり、食後に食べるのがおススメですからね。
熟していない青いトマトには、トマトの他の部分、特に葉や茎には、トマトの植物に固有の成分であるトマチンという物質が含まれており、大量に摂取すると体に害が及ぶ可能性があります。
〈編集者:白玉熙、番組「胡乃文の講義 – 名医が健康維持について語る」の内容をもとに編集しました〉
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