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運を呼ぶ春の習慣

春分の養生と開運法 知っておきたい9つのポイント

「春分(しゅんぶん)」は、二十四節気の中でも大切な節目であり、季節のサイクルの始まりとされる時期です。肌寒さの残る初春から、春の陽気が感じられるようになり、花々が咲き誇る美しい季節へと移り変わります。まさに、一年の中でも貴重で心地よいひととき――それが春分です。そしてこの時期は、健康を整えたり、運気を高めたりする絶好のチャンスでもあります。

この記事では、「春分」の意味とは何か、この時期にどのように体を整え、運気を引き寄せるか、また実践する際のポイントや注意点(してよいこと・避けたほうがよいこと)を、9つの要点に分けてご紹介します。

春のエネルギーを上手に取り入れ、心身ともに整った新しい季節を迎えましょう。

一、「春分」とはどんな意味があるの?

「春分(しゅんぶん)」の「分」は、春をちょうど半分に分けるという意味があります。つまり、春分は春の中間点にあたります。さらに春分は、「昼と夜の長さがほぼ同じで、寒さと暖かさがちょうど釣り合う時期」ともされています。

春分の日は年によって少し変わりますが、例年3月20日から22日の間にあたります。この時期、太陽は赤道に対して直角に照射され、地球の北半球と南半球が等しく太陽の光を受けるため、「昼夜等分、寒暖バランスが取れている」状態になるのです。漢の時代の学者・董仲舒(とうちゅうじょ)は、著書『春秋繁露』でこのように記しています。

「春分とは、陰と陽が半々に分かれる時であり、昼夜の長さも、寒さと暖かさもちょうど等しい」。春分を過ぎると、陽のエネルギーがどんどん強まり、陰のエネルギーは次第に弱まっていきます。このころから春の日差しもやわらかく、自然が活気づく、まさに一年で最も気持ちのよい季節の始まりです。
 

二、なぜ昔の人は「春分」をとくに大切にしたの?

古代の人々は、春分を「中庸で調和の取れた気(エネルギー)」が満ちる特別な時と考えていました。そして、自然界のあらゆる命が生まれ育つには、この「調和の気」が欠かせないと信じられていたのです。

老子はこう述べています。 「天地のエネルギーの中で最も大切なのは“和”であり、“和”とは陰と陽が調和し、昼と夜がバランスよく分かれることをいう。だからこそ、春分には万物が生まれ、秋分には実る。生まれ、実るには、和の力が必要なのだ」——(『通玄真経・上仁篇』より)

昼と夜の長さ、寒さと暖かさがちょうど釣り合う春分は、自然界の陰と陽のバランスが最も取れた状態です。この「調和の気」が命の成長を後押しし、秋に実りをもたらすため、春分は古代の人々にとってとても大切な節目でした。

桜の花が咲き誇る様子(Shutterstock)

 

三、春分に運気を上げるにはどうすればいい?

春分は、自然のエネルギーが調和し、あらゆるものが力強く成長するタイミングです。この時期は、良い運気を取り入れる絶好の機会でもあります。運気を高めるためにおすすめの行動は次のとおりです。

  1. 動物や昆虫など、すべての命を慈しみ、むやみに殺生しないように心がけましょう。自然との調和を感じることが、エネルギーの循環につながります。
     
  2. 静かに過ごし、感謝の気持ちや慎みを持つことで、穏やかで思いやりのある心が育ちます。
     
  3. 草原や林の中、自然の多い場所で、裸足でゆっくり歩いてみましょう。心身をリラックスさせ、自然のエネルギーと一体になることで、体内の流れが整い、生命力が高まるとされています。(参考:後漢・崔寔『四民月令』)
     

四、春分に運気を高めるために避けるべきこととは?

  1. 弔いごとやお見舞いは避ける:春分の時期は、少陽の気(成長・活力のエネルギー)がまだ十分に強くなっていないため、悲しみや病気に関わる行動は、中和の気を乱すおそれがあります。この日はなるべく控えるようにしましょう。
     
  2. 冷たい飲食物を避ける:一日の寒暖差が大きい春は、衣類や食べ物で体温調整をすることが大切です。特に冷たい食べ物や飲み物は、体の中の陽気(少陽の気)を損なう原因になるため、春分の日には避けるのが望ましいです。(参考文献:後漢・崔寔『四民月令』)
     

五、春分に体調を整えるにはどうすればいい?

古代の養生の知恵は、「病気になる前に予防する」ことを最上としています。中国最古の医学書『黄帝内経』には、「未病を治す(病気になる前に対処する)」という思想があり、晋代の葛洪も「まだ現れていない病の芽を摘むことが、最善の治療だ」と述べています。

春分の養生法は、以下のとおりです。

  1. 早寝早起きを心がける:『黄帝内経』では「夜は早く寝て、朝は早く起きる」ことがすすめられています。夜9時〜11時頃には就寝するのが理想的とされています。
     
  2. 旬の春野菜をしっかり摂る:春分の時期は、「肝を整え」「脾(ひ)を元気にし」「肺を潤す」ことが、健康を保つうえで大切なポイントです。東洋医学では、肝は五行の「木」に属し、春の季節と深く関わっています。そのため、春に旬を迎える緑色の野菜は、肝の働きを助け、気の巡りを良くし、消化を担う脾や胃の調子も整える効果があります。

また、小麦、ナツメ、ピーナッツ、ネギ、香菜(パクチー)などの、辛味や甘味のある食材には、体の内側から陽気を引き出す働きがあり、春のエネルギーとよく調和します。さらに、脾を健やかにし、肺を潤す食材を取り入れるのも、春分の養生に適しています。

次のような料理がとくにおすすめです。四神湯(ししんとう)は、体内の湿気を取り除き、消化機能を助けます。ナツメと白きくらげ、クコの実のスープ(蜂蜜入り)は、余分な湿気を取り、風邪を防ぎ、肺を潤し、目の健康にも良いとされています。

山芋とハトムギ、芡実(けんじつ)の薬膳粥は、脾の働きを助け、体力を養います(山芋200g、ハトムギ20g、芡実20g、白米200gを一緒に煮て作ります)。一方で、春分の時期に酸味の強いものを摂りすぎると、肝の働きを損なうおそれがあります。また、冷たくて粘り気のある食べ物は胃腸に負担をかけやすいため、控えるのがよいでしょう。

春になると、深い緑色の野菜を多く摂ることで、血管の通りがよくなり、血流量が増えて健康と活力が高まります。また、眼圧を下げる効果も期待できます(Shutterstock)
  1. 朝はゆったりとした運動を:朝の軽い運動は、体内の陽気の流れを促進し、春の眠気(春困)や肝の気の滞りを解消するのに役立ちます。瞑想、ヨガ、散歩、体操などがおすすめです。また、昼間に自然の中を歩いたり、花を眺めたりするのも、心を整え、春のエネルギーを取り入れるのに効果的です。
     
  2. 怒らず、奪わず、命を大切にする:『黄帝内経』では、春の心構えとして「生かして殺さず、与えて奪わず」と説かれています。これは、穏やかな心や慈しみの気持ちを持つことで、怒りや不安を抑え、肝の健康を保つための知恵でもあります。
朝の時間には、瞑想、ヨガ、散歩、ゆったりとした運動などを行うことで、心身の活力を高めることができます(Shutterstock)

 

六、春分の養生で気をつけるべきこととは?

春分は陰と陽のバランスが整う時期で、肝臓をいたわり、胃腸の調子を整えるのに適したタイミングです。しかし、生活習慣が乱れていると、かえって健康を損ねる原因にもなります。ここでは、春分における養生の3つの注意点をご紹介します。肝臓を守るためにも、次のことを避けましょう。

1. 夜更かしと過労は禁物:五行説では、春は「肝」に対応するとされています。この時期に生活リズムが乱れて夜更かしが続くと、肝臓に余分な負担がかかり、解毒機能が低下するおそれがあります。いわゆる「肝疲労」の状態です。また、過度の緊張や考えすぎも睡眠の質を下げ、肝の働きを乱す原因となります。

2. 怒りすぎない:春は肝のエネルギー(気)が活発になる季節です。感情の波が大きすぎると、この気の流れを乱しやすく、怒りやイライラは肝臓に悪影響を及ぼすとされています。リラックスするために、深呼吸をしたり、音楽を聴いたり、自然の中で散歩するのがおすすめです。

3. 脂っこい・刺激の強い・冷たい食べ物を控える:揚げ物や焼き物、カロリーの高い食事は体に熱をこもらせ、消化機能を弱める原因になります。結果として、口の渇きやのどの不快感、吹き出物などが出やすくなります。また、生野菜や冷たい飲み物、アイスなどの冷たい食品は胃腸の働きを弱め、消化不良やお腹の不調につながることがあります。
 

七、春分におすすめの「肝を整える」養生茶とは?

春分は五行説において「肝」と深く関係する季節です。この時期は、肝の働きを整え、気の巡りを良くすることが大切です。そこで、体にやさしく取り入れやすい養生茶を2種類ご紹介します。

1. バラ茶(玫瑰花茶):肝の気を整え、気分を落ち着かせるお茶

作り方:乾燥したバラの花びら(玫瑰花)5輪、山楂(さんざし)5粒、香附子(こうぶし)12粒をカップに入れ、熱湯600mlを注ぎます。そのまま10分ほど蒸らしてから飲みます。食後に飲むのがおすすめで、肝の巡りを整えたり、お腹の張りをやわらげる作用が期待できます。

2. クコと菊花のお茶(枸杞菊花茶):肝をいたわり、目をすっきりさせるお茶

作り方:クコの実(枸杞)大さじ1、乾燥した菊花3輪を軽く洗い、カップに入れて熱湯を注ぎます。数分蒸らせば出来上がり。やさしい甘みと香りが楽しめます。

枸杞と菊花のお茶は、肝を清めて目をすっきりさせます
(蘇玉芬/大紀元)

 

八、春分に旧病をぶり返さないための、効果的なツボマッサージとは?

春分の時期は寒暖差が大きく、体調を崩しやすい季節です。過去の不調や持病が再発しやすい時でもあります。この時期にツボをマッサージして経絡(けいらく)の流れを整えることで、気や血の巡りを安定させ、病気に対する抵抗力を高めることができます。

春分におすすめの3つのツボは、いずれも肝臓に関係する「肝経(かんけい)」に属しています。おすすめの3つのツボは、百会(ひゃくえ)、三陰交(さんいんこう)、太衝(たいしょう)です。1日に3回、1回につき約5分ほどが目安です。5秒間押して1秒休む、というリズムで繰り返すと効果的です。続けて行うことで体質改善や免疫力アップが期待できます。

百会(ひゃくえ)は、頭のてっぺんにあるツボで、全身のバランスを整え、気の流れを高める働きがあります。三陰交(さんいんこう)は、内くるぶしから指4本分ほど上のすねの内側にあるツボ。女性の体調管理に役立つほか、血行や水分代謝を助ける効果があります。太衝(たいしょう)は、足の甲、親指と人差し指の骨の間をたどった先にあるくぼみ。ストレスをやわらげ、気の流れを整えるのに役立ちます。

三陰交(大紀元)

 

九、春分のマッサージに適したアロマオイルは?

春の季節に育つ植物から抽出されたアロマオイル(精油)は、爽やかで軽やかな香りが特徴で、心身をすっきりさせたいときにぴったりです。春分の時期には、以下のような精油を使ったマッサージや芳香浴(アロマディフューザーなどで香りを楽しむ方法)がおすすめです。ローズ、カモミール、ラベンダー、ローズマリー、クローブなどが特に適しています。

春分は、天地のエネルギーが調和する節目の時期です。このタイミングを活かして、心と体を整え、健康や運気を高める生活習慣を取り入れてみましょう。春の陽気とともに、健やかで心地よい日々を迎えられますように。
 

(翻訳編集 華山律)

容乃加