西洋医学で見直されている催眠術

古い歴史を持つ催眠術は、かつて一部の人に偽科学と指摘された。しかし近年、ストレス、痛み、アレルギー疾患などに対して、催眠術は治療効果があると一部の西洋医学でも認めるようになった。催眠術の研究は、私たちに未知の世界への扉を開き、数々の謎を解き明かすだろうと期待されている。

国際催眠連盟と創造学院の主席・ストックウエル氏(Shelley Stockwell)は、2001年7月20日にカリフォルニア州ロングビーチで開催された国際会議において、催眠術を披露した。催眠術によって、被験者の体が板のように硬直した様子。(Getty Images)

催眠効果に科学的な根拠を発見

米国コーネル大学Weill医学院の認知神経学家・ラズ氏(Amir Raz)と同僚による最新研究では、催眠は大脳の特殊な領域の活性を変え、有効に認知の衝突の発生を避けることができることが分かった。この成果は米国《国家科学院学報》に発表された。

 ある実験の中で被験者は、筆跡のインクの色を言うよう求められた。赤インクで書いた「青」という字に対して、人々は「赤色」と答える時、よく間違ったり、ためらったりした。ラズ氏たちの今までの研究によると、文字の意味と色の衝突に直面した時、高度の催眠を受けた被験者の判断は他の人に比べて、いっそう正確だったという結果になった。

催眠術で前世・来世が見える?

近年、専門家たちはとてもおもしろい試験を行った。科学者たちは、催眠をかけられた被験者に対し、彼らの年齢が2百歳、3百歳、千歳、百万歳だと偽って伝える。すると、被験者たちの脳波の形にいつも変化が起きることを発見した。まるで彼らが遥か遠い未来の画面を見ることができるかのような曲線である。しかし被験者は目覚めた後、何も覚えていなかった。これをどのように解釈すべきなのか?

 たくさんの科学者たちはすでに経験しているが、人は催眠状態の下で過去と未来を見ることができる。さまざまな時代に、いろいろな情況下で遥か遠い惑星、銀河系、その他の宇宙の中で生活しているところが見えるのである。

すばらしい治療効果

催眠術を利用して病気を治そうとする試みもある。ハーバード医学センターの医者は2003年、催眠による治療を受けた骨折患者や外科手術を受けた患者の傷口が早く癒合したことを発見した。また、人は催眠を受けると、一種の麻酔物のような物質を体内に分泌させることができ、それが人の精神に恍惚とした状態をもたらすことができるので、無痛感覚を覚えることも分かってきた。

 またあるアメリカの科学者は、別の試験を行った。人工授精を受ける女性は、催眠を通じて受精すると成功率は倍以上になったのである。

 スイスバーゼル大学の研究者は、催眠術が花粉アレルギーの病気治療にとても効き目があることを証明した。この研究は、66名の花粉アレルギーを持つ患者を2組に分け、一組の方だけに催眠をかける。すると、この組はアレルギーの病状が明らかによくなった。伝統的なアレルギー薬を服用するもう一方の1組は、効果はそれほど著しくなかった。
 

(記者・徐竹思)