民主化デモ

香港「雨傘運動」から1年 占拠地で集会

香港の民主化を求めた昨年の大規模デモ「雨傘運動」から1年たつ。9月28日、運動の拠点となった政府本部庁舎前に、数千人の香港市民が集まり、一周年記念集会を開催した。参加者は昨年同様、シンボルであった黄色い傘を並べたり、「真の普通選挙」「全国民が圧政に反対」と書かれたメッセージボードを掲げた。

演説の舞台は、市民の雨傘運動に対する思いを綴った数万枚にも及ぶメッセージが貼られた壁、レノンウォール香港のすぐそばに設けられた。登壇したのは、雨傘運動のリーダー戴耀廷氏、陳健民氏、朱耀明氏、学民思潮と、香港大学生連合会のリーダー黃之鋒氏、羅冠聰氏。香港歌手のアンソニー・ウォン、デニス・ホーも姿を見せた。

昨年のデモでは、警察当局が参加者を解散させるため、催涙弾を発射した。デモ隊と市民たちは黄色い傘をさしながら、催涙弾が放たれたのと同じ時刻に、15分間の黙とうを捧げた。

催涙弾の被害者

教師のクイニーさんは昨年の催涙弾の被害者だった。「当時、目や皮膚に強い痛みが発生し、催涙弾に使用された毒ガスにより3日間、胃が痛くて本当に辛かった。催涙弾は人体に無害だと警察側は説明したが、それは嘘だ。心から憤りを感じた」と述べた。当時の混乱について、「多くの人が倒れた。みんな催涙弾から懸命に逃げた。周囲の人々は『気をつけろ』『早く歩こう』と互いに励まし合い、逃れた人たちは興奮し、泣いていた」と、クイニーさんは当時の様子を話した。

今年、クイニーさんは「市民に傷害を負わせた警官7人の拘束を要求」というスローガンを掲げ、夫と子どもを連れて集会に参加した。香港には、真の民主主義が必要であることを子供たちに伝えると同時に、市民に被害を加えないよう警察に要求したかったという。「政府に間違いを指摘しなければ、永遠に横暴な政治のもとで生きていかなければならない」とクイニーさんは話した。

戴耀廷氏「民主化運動の道しるべ」

中環占拠を発起した戴耀廷氏は、「昨年の雨傘運動は、香港の民主化運動の道しるべとなり、香港人は民主主義を要求する決心をした」と述べた。また、この運動はスタートにすぎず、将来はネットワークを広げて、勢力を強める必要があると強調した。

朱耀明氏は、雨傘運動から1年が経った今、香港の「異様な空気」を感じているという。それは、中国政府の香港連絡事務局トップ・張暁明主任が、香港行政長官の権力が三権を超えると主張していることに起因する。

中国共産党の歴史を振り返ると、多くの国民が、独裁政権の失政で命を落とした。「人民を押さえつけるいかなる圧力もすべて制止する。香港人が力を尽くして、人権、民主、自由と法治を守れば、民主主義を必ず迎える日が来る」と朱氏は熱弁をふるった。

黄之鋒氏「20万人の参加は奇跡」

雨傘運動の参加者はピーク時に20万人に達した。このことに対し、学民思潮発足人の黄之鋒氏は「奇跡だ」と述べた。「9・28」のみならず、香港市民が積極的に公民運動に参加するよう呼びかけた。「来年の『9・28』には、香港の政界に明らかな変化が現れるよう願っている」と話した。

多くの泛民主派(パン・デモクラシー・キャンプ)の議員も発言した。泛民会議発足人の何秀蘭議員は、「雨傘運動は制度の改革において成果を上げられなかったが、多くの市民を目覚めさせることができた。雨傘運動に参加した人々が昨年の経験から教訓を得られるように願っている」と述べた。

募金で雨傘運動を支援

夜7時頃、約2時間半続いた集会は終わった。「全国民反政治鎮圧運動」のスポークスマン・黄潔瑩氏は、「将来、雨傘運動に参加した中心人物が政府に告訴される可能性があり、その時は引き続き支援しなければならないだろう。これから募金活動を始めたい。正義を貫く人をサポートしていこう」と述べた。

おわりには、短編映画『傘の下のガールズロック』の鑑賞とカトリック教の祈祷会が行われた。

(翻訳編集・張ミョウ、玲子)

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