【生活に活きる植物】32・翁草(オキナグサ)

【大紀元日本4月15日】オキナグサは日本をはじめ、中国、朝鮮に分布するキンポウゲ科多年草。山地の日当りのよい草原や河川の堤防に多く自生していました。4~5月、暗赤紫色の花がうつむきに咲きはじめ、後に上向きに咲きます。全体が白毛におおわれていて、花後は白く長い綿毛がつくため、その姿を老人の頭にたとえて翁草と言ったようです。近縁のヨウシュオキナグサはヨーロッパに自生し、園芸種として栽培され、黄、白色など多色な花も出回っています。有毒植物ですが、中国産ヒロハオキナグサの根を乾燥したものは白頭翁(はくとうおう)と呼ばれる生薬で、日本のオキナグサが代用されます。

【学名】Pulsatilla cernua
【別名】オバガシラ、オジノヒゲ、ユウレイバナ、猫草
【成分】プロトアネモニン、ヘデラゲニンなどの有毒成分

【薬用効果】白頭翁は胃、大腸経に働き解熱解毒作用を有し、熱性の下痢に有効です。一日量は乾燥物9~15gを煎服します。外用には適量を使用します。また、根はすりおろして痔のいたみに、葉の絞り汁はたむしに効き目があります。

【余談】誤食すると、腹痛、嘔吐、血便、痙攣、心停止に至ることもあるので注意する必要があります。有毒ながら古くから親しまれ、万葉集にもすでに詠まれています。かつてはあちこちに自生していた山野草ですが、今では絶滅危惧種とされています。オキナグサが減少した大きな要因として、園芸目的の採集があげられます。美しくかつ珍しい植物の多くが、このような採集の対象になっています。もう一つの理由として、オキナグサが生育していた草地が管理放棄により別の植生へ変わってしまったことや、草地そのものの開発によって自生地が少なくなったことなどが考えられています。

(文/写真・ハナビシソウ)