強制労働制度――中国人権の重石
【大紀元日本9月10日】中国政府は日ごろ、法治社会を築き上げると提唱している。実際は、強制労働と呼ばれる制度により、現在中国の多くの「受刑者」は、不法で非人道的な扱いに耐え忍んでいる。
強制労働制度は、従来の司法システムと異なり、警察は、正常な司法手続きを踏まずして、社会治安を違反したと思われる嫌疑者を任意に逮捕、監禁して刑罰を加えることができる。聞こえが良いように「人民の内部の矛盾を処理する」と称しているが、実際は、中共当局は統治を固め、反対意見を持つ民主活動を弾圧する道具としている。
強制労働制度は、1950年当時のソ連から導入し、1982年までは強制労働で無期限に人を監禁することができた。現在、中国国内に300余りの強制労働所があり、環境と条件は異なっているが、監禁されるすべての「受刑者」は必ず生産労働または肉体労働を強いられる。
現在、司法制度管轄外の特別運営体制として、強制労働所は、売春婦、麻薬者、軽犯罪者及び法律権利をすべて剥奪された政治犯罪者など、約30数万人が監禁されている。そのほか、法輪功学習者、汚職又は不法に人民の土地財産を略奪した中国政府官員を告訴した人々も監禁されている。
中国のような非民主的国家では、人々を守る法律と権利が踏みにじられることは、まったく珍しいことではない。この毛沢東時代から作り出した強制労働制度は、中国共産党をジレンマに陥れた。今、国内外から強制労働制度を改革する声が高揚している。
欧州連合(EU)は6月まで中国向け武器禁輸の解禁をしないと発表した。中国政府が中国向け武器禁輸の解禁を実現する外交目標を果たしたいならば、まず中国国内の人権問題を大々的に改善する姿勢を示さなければならないと求めた。
人権唱道者は、人権改善を示す最も有効かつ意義を持つ行動とは、強制労働制度の廃棄または、見直しであると主張した。もしかすると、今年中国政府は、強制労働制度を改革するかどうか、どのように改革するかなどについて非公式に検討するかもしれない。
強制労働制度は、中国共産党が今までに権力の維持に使ってきた主な道具であり、強制労働制度を改革することは、中共当局の社会制御システムをある程度揺れ動かすことになる。
北京大学法学院副院長・陳興良氏は、「司法改革を提唱する人士は、強制労働を軽犯罪制度に転じさせ、嫌疑者は弁護士をつけることができるようにし、司法の判決を下す前に、開廷して審理する手続きを必ず踏むようにすると考えている」、「これまで最長4年間の強制労働期間を18カ月まで短縮させる。強制労働を管轄する部門を、公安部かあら各級の裁判所に移すことは、最も重要なことである」と述べた。
「対話基金会」執行委員ジョン・カム(John Kamm)氏は、「中国共産党に強制労働制度の改革を承諾させるのは、まるで飛べない豚に空を飛べというのと同様に不可能だ」と発言した。当基金会は、中国と人権対話を行う民間団体である。ジョン・カム(John Kamm)氏は中国政府と長年交渉し、政治犯、及びすべての「反革命犯」の釈放を求めている。
北京の弁護士高智晟氏は、強制労働制度の改革を主張している。「政権を握っている者にとって、強制労働制度は非常に重要である。それは、警察が司法手続き及びそれに費やす時間を省き、直接人を投獄させることができてしまうからである」と語った。
また「中国では、権力の分配と組み合わせの構築に巨大な変革がない限り、強制労働制度は何も変わらない」とも述べた。