2026年4月28日、東京の日本銀行本店で開催された金融政策決定会合に出席する植田和男総裁(中央)ら(Photo by JAPAN POOL / JIJI PRESS / AFP via Getty Images) / Japan OUT
日銀のレポートから分かりやすく解説

中東情勢による原油高 私たちの生活や日本経済にどう影響? 日銀「展望レポート」より

日本銀行が2026年4月に公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、緊迫する中東情勢を背景とした原油高が日本経済に及ぼす影響について、詳細な分析が示された。同レポートには、マクロ経済や物価動向を理解するうえで重要な特定テーマを深掘りする「BOX」と呼ばれる項目が設けられている。本稿では、その筆頭である「(BOX1)中心的見通しにおける原油価格の前提と交易条件悪化のわが国経済への影響」をひもとき、資源の純輸入国であるわが国からの所得流出(交易利得の悪化)が、企業や家計にどのような波及経路をたどるのか、日銀の最新の情勢判断を詳報する。日頃ニュースで耳にする「原油高」が、なぜ私たちの生活に関わってくるのか、分かりやすく読み解いていこう。

2026年の初め、原油の価格は1バレル(約159リットル)あたり平均65ドル程度だった。しかし、中東の情勢が悪化したことで、3月には紛争前の約2倍の130ドルまで一気に跳ね上がった。 日銀は今後の予測として、「中東の緊張は少しずつ和らぎ、原油の供給も元に戻っていく」という前提を置いている。そのため、原油価格は4月時点の105ドルをスタート地点として徐々に下がり、ゆくゆくは70ドル台まで落ち着くだろうと予想している。

なぜ中東の原油高が日本にとって大問題なのか。それは、日本が中東のエネルギーに大きく依存しているからだ。日本が中東から輸入しているものの約9割はエネルギー資源であり、その大半を原油が占めている。この依存度はヨーロッパや韓国、中国と比べても非常に高い。 原油の値段が上がると、日本はこれまでと同じ量の油を買うために、より多くのお金を海外に支払わなければならない。これは日本全体でみると、日本から海外へお金が流出していく(損をする)ことを意味している。日銀の計算によると、原油高などによる海外へのお金の流出は、2026年度平均で原油のみでGDP(国内総生産)比0.5%、関連する輸入資源価格などを含めると同1.4%程度にも達すると見込まれている。

▶ 続きを読む
関連記事
最新の調査によると、中国で事業を展開する日系企業の数が過去最少となり、直近2年間で4千社以上が中国市場から撤退した。統計を開始した2010年以降で最も少なく、ピークだった2012年と比べて約3割減少した。
厚生労働省が10月7日に公表した「毎月勤労統計調査」の2026年8月分結果速報によると、物価変動の影響を除いた1人当たりの実質賃金は、消費者物価指数(総合)を基準にすると前年同月比1.9%増となり、9か月連続で前年を上回った
原油価格の上昇やインフレ懸念を背景に世界的な債券安が進むなか、日本国債の利回り上昇は主要7か国(G7)の中で最も小幅にとどまった。日本は国内総生産(GDP)比で200%を超える政府債務を抱える一方、政府が保有する金融資産を差し引いた純債務は粗債務を大きく下回った。
日本銀行は金融政策決定会合で、政策金利を1.25%に引き上げることを決めた。1.25%は1995年以来、31年ぶりの高水準となる。利上げは前回から3か月ぶりで、これまでよりもペースを速めて利上げに動いた形となった。
総務省は2026年8月の全国消費者物価指数(2025年=100)を発表した。価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は102.0となり、前年同月比1.7%上昇した。