もし2つのシンプルな発酵食品が、がんの予防や老化の進行を緩やかにし、消化生態系全体を強化する可能性があるとしたらどうでしょうか。
アジアとヨーロッパの長寿文化では、何世紀にもわたり味噌とヨーグルトが取り入れられてきました。近年、研究が増えるにつれ、この「長寿発酵コンビ」は単なる食文化にとどまらず、独自のプロバイオティクス、抗酸化物質、発酵代謝物を通じて、長期的な健康に測定可能な保護作用をもたらす可能性が示されています。
味噌の4つの主要効果
味噌は、日本人の長寿を支えてきた食品です。大豆を主原料に、米麹と塩を加えて長期間発酵させることで、タンパク質が吸収されやすいアミノ酸に分解され、多様な健康効果が期待されます。
1.アンチエイジング効果
味噌には、フリーラジカルを中和し、細胞のダメージの進行を緩やかにするとされる抗酸化ペプチドやアミノ酸が豊富に含まれています。
9万人以上の成人を対象としたBMJの研究では、発酵大豆製品の摂取量が多い人ほど全体死亡率が約10%低いことが示され、味噌のアンチエイジング作用が長寿と関係している可能性が示唆されています。
2.がんリスクを軽減
発酵大豆食品は、集団研究および実験室研究の両方において、有望な抗腫瘍作用が報告されています。
大規模なJAMAの研究では、味噌を含む大豆食品を多く摂取していた乳がん患者は、再発率や死亡率が有意に低かったとされています。これは、イソフラボンや発酵によって生じる代謝物が、ホルモンシグナルの調整や炎症の抑制、健全な免疫監視をサポートする可能性があるためと考えられています。
3.腸を養い、守る
味噌に含まれる米麹や発酵副産物は、消化や腸での栄養吸収を助け、腸内細菌叢のバランスを整え、スムーズな排便を促します。腸内環境が整うことは、免疫機能や代謝、気分の安定、全身の活力を支える土台となります。
4.ホルモンバランスを整え、骨を強化
閉経後の女性は、エストロゲンの低下により骨粗鬆症や関節トラブルのリスクが高まります。味噌はその対策の一助となる可能性があります。植物性タンパク質に加え、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどの骨形成に関わるミネラルが豊富です。また、天然のイソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きを持ち、ほてりや寝汗、動悸といった閉経期の不調を和らげ、骨量低下の進行を緩やかにする可能性が示されています。豆腐もイソフラボンとカルシウムが豊富なため、味噌汁に加えることで栄養価を高めることができます。
味噌汁の調理のコツ
味噌の栄養成分や生きた菌をできるだけ保つため、だしが十分に温まったら火を止めてから味噌を溶き入れます。長時間加熱するとプロバイオティクスが失われ、風味も損なわれやすくなります。焼き魚や野菜の味噌漬けにする場合も、調理の仕上げに近い段階で塗るのが適しています。
塩分に注意
味噌汁は健康的な食品ですが、ナトリウム含有量は高めです。塩分の摂り過ぎは胃粘膜への刺激や腎臓への負担につながる可能性があります。胃潰瘍、逆流性食道炎、高血圧、腎臓病のある方は、減塩味噌を選ぶ、量を控えるなどの工夫をしましょう。
ヨーグルト:腸を養い、がん予防に役立つ可能性
ヨーグルトは、乳酸菌によって動物性乳(主に牛乳)を発酵させて作られます。発酵過程で乳糖の多くが乳酸に変換されるため、消化時の不快感が軽減されます。これが、乳糖不耐症の人でもヨーグルトを比較的取り入れやすい理由の一つです。
古代中国では、ヨーグルトは「酪」と呼ばれていました。唐代の名医・孫思邈は『千金要方』の中で、酪について「肺を補い、大腸を益する」と記しています。現代的に捉えると、呼吸器系を養い、腸の働きを整える作用を指していると考えられます。
また、『本草綱目』でも、酪は「乾燥を潤し、腸の通りを良くし、体を強くし、熱毒を解す」と記されています。これは、体内の熱による吹き出物やニキビなどの皮膚トラブルを和らげることを意味しています。
1000年以上前から、人々はヨーグルトの自然な滋養作用に気づいており、その考え方は現代科学の知見とも多くの点で重なっています。近年の研究では、ヨーグルトの摂取が特定の腸腫瘍のリスク低下と関連する可能性も示されています。
『Gut Microbes』に掲載された研究では、週2回以上ヨーグルトを摂取していた人は、「ビフィドバクテリウム陽性」の大腸がんリスクが約20%低かったと報告されています。一方で、「ビフィドバクテリウム陰性」の腫瘍については有意な差は見られませんでした。過去の研究でも、ヨーグルト摂取量が多い人ほど大腸腺腫や大腸がんのリスクが低い傾向が示されています。
正しいヨーグルトの選び方
ヨーグルトの健康効果を最大限に活かすには、砂糖や乳化剤、増粘剤を含まないプレーンヨーグルトを選ぶことが大切です。研究では、フレーバーヨーグルトに一般的に使用される乳化剤や増粘剤が腸の炎症を促し、プロバイオティクスの生育環境を乱す可能性が示されています。市販のフレーバーヨーグルトの多くは糖分や添加物が多く、期待される健康効果を損なうことがあります。
タンパク質を多く摂りたい場合は、本来の製法で作られたギリシャヨーグルトを選びましょう。水分をしっかり濾して作られているためです。「ギリシャ風」と表示された製品の中には、増粘剤やクリームで濃厚さを再現しているものもあり、タンパク質量や有益菌が少ない場合があります。
シンプルな組み合わせでヨーグルトを強化
プレーンヨーグルトは、次のようなシンプルな食材を加えることで、よりおいしく、栄養価も高まります。
1.はちみつ
はちみつに含まれるオリゴ糖は、特にビフィドバクテリウムなどの善玉菌のエサとなるプレバイオティクスとして働き、腸内での増殖を助けます。また、微量のミネラルやビタミンも補えます。
研究では、はちみつが胃腸内の厳しい環境下でプロバイオティクスの生存率を高める可能性が示されており、特にクローバーはちみつでその傾向が強かったとされています。ある試験では、はちみつで甘みをつけたヨーグルトを1日2回、2週間摂取した結果、参加者の腸内ビフィドバクテリウム数が増加しました。
2.新鮮な果物
ブルーベリーやラズベリー、りんご、桃などの果物には、善玉菌の栄養源となる天然のプレバイオティクス(オリゴ糖など)に加え、ビタミンCや抗酸化物質が豊富に含まれています。
3.くるみ
くるみは、オメガ3脂肪酸をはじめとする良質な脂質が豊富で、心血管や脳の健康をサポートし、ヨーグルトの風味も引き立てます。
ヨーグルトを食べる黄金ルール
タイミング:ヨーグルトと一緒に食べる食品だけでなく、摂取する時間帯もプロバイオティクスの働きに影響します。食後約2時間は胃酸の分泌が比較的穏やかになり、有益菌にとって優しいタイミングとされています。
空腹時の摂取は避けましょう。強い胃酸によってプロバイオティクスが失われやすく、冷たい状態で摂ると消化を刺激する可能性があります。中医学では、空腹時に冷たいものを摂ると消化を担う「陽気」が消耗し、消化機能が弱まりやすいと考えられています。
冷たく食べる:ヨーグルトを加熱すると生きた菌が失われるため、電子レンジで温めるのは避けましょう。少し温度を上げたい場合は、湯煎で約40℃までやさしく温める方法がおすすめです。
味噌とヨーグルトはいずれも発酵食品で、味噌は植物性タンパク質と独自のプロバイオティクスを、ヨーグルトは動物性タンパク質と異なる菌株を提供します。長期的な健康維持のためには、週にヨーグルトを2~3カップ、味噌汁を2~3杯程度を目安に取り入れてみましょう。
腎臓病のある方や乳糖に敏感な方は、これらの発酵食品を日常的に取り入れる前に、医師や栄養士に相談することをおすすめします。
(翻訳編集 日比野真吾)
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