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遅い食事は代謝を狂わす? 体内時計と血糖コントロールの意外な関係

つい手が伸びてしまう深夜のスナックは、体の自然なリズムを乱し、血糖値やウエスト周囲径、糖尿病リスクを静かに押し上げる可能性があります。

双子を対象とした研究では、生まれつき夜型の人であっても、体内時計にとって遅い時間にカロリーの大部分を摂取すると、代謝の健康が悪化することが明らかになりました。

一部の人は、遅い時間に食べるよう遺伝的にプログラムされており、食事のタイミングのおよそ60%が遺伝によって決まっているとされています。

遅い食事が体内時計を乱す仕組み

『eBioMedicine』に掲載された最近の研究では、体内時計に比べて遅い時間にカロリーの大部分を摂取することが、インスリン抵抗性の兆候と関連し、長期的には2型糖尿病のリスクを高める可能性があることが示されました。

この研究では、46組の一卵性および二卵性の双子のデータが分析されました。研究者は、質問票を通じて各参加者のクロノタイプ(夜型か朝型か)を判定しました。早起きか遅起きかは、休日の就寝と起床の間の中間点である「睡眠中点」に基づいて判断されました。早いタイプは午前4時より前、中間タイプは午前4時から4時59分、遅いタイプは午前5時以降の睡眠中点を持つ人です。

研究者は、睡眠中点の10〜11時間前に1日のカロリーの半分を摂取している場合、それを「遅い食事」と定義しました。

たとえば、深夜0時に寝て朝8時に起きる人の睡眠中点は午前4時です。この人は、就寝の約7時間前である午後5時までに1日のカロリーの半分を摂取していることが望ましいとされます。

また、夜9時に寝て朝6時に起きる人の睡眠中点は午前1時30分です。この人は、体内時計と同期させるために、就寝の約6時間半前である午後2時30分までにカロリーの半分を摂取すべきとされています。

体内時計より遅く食事を摂ると、年齢や性別、総カロリー摂取量、睡眠時間にかかわらず、インスリン感受性の低下や空腹時インスリンレベルの上昇が見られました。また、体重増加や肥満のリスクも高まりました。1日のカロリーの大部分を早い時間に摂取していた人は、より良好な代謝指標を示し、総カロリー摂取量も少ない傾向がありました。

関連性は弱いものの、夜型の人々は体内時計上、遅い時間に1日のカロリーのより多くを摂取する傾向があることもわかりました。

また、食事の頻度も代謝の健康に影響を与える可能性があります。食事時間が長い人は、個々の食事、特に朝食や夕食の量が少なくても、1日の総摂取カロリーが多く、間食の頻度も高くなる傾向がありました。頻繁な食事は、カロリー摂取量や他の要因とは無関係に、ウエスト周囲径の増加とも関連していました。
 

深夜の代謝問題の背後にある科学

遅い時間に多くのカロリーを摂取すると、代謝が低下し、体の自然なリズムが乱れます。代謝は毎日のサイクルに従って働き、朝に最も活発で、夕方には鈍くなります。夜間になると、細胞はインスリン(食後に血糖を下げるホルモン)に対する感受性が低下します。

メラトニンは睡眠の準備として夕方に分泌が増加し、それとともにインスリンの分泌も抑制されます。メラトニンが分泌されている時間帯に食事をすると、より大きく、より長く続く血糖スパイクが生じます。これが繰り返されることで、インスリン抵抗性が引き起こされ、血糖コントロールが難しくなり、2型糖尿病のリスクが高まります。

食事のタイミングは代謝に影響を与えますが、ポーションサイズや食べる内容など、他の要因も同様に重要です。研究には関与していない登録栄養士・栄養学者で、栄養ライターでもあるMelissa Mitri Nutritionのオーナー、メリッサ・ミトリ(Melissa Mitri)氏は、エポックタイムズの取材に対して次のように述べています。

「たとえば、夜型の人すべてが起きている時間にカロリーの大半を摂っているわけではありません」と彼女は話します。「この研究や他の研究が示唆しているのは、食事習慣や食事タイミングに関する遺伝的な傾向が、単なる睡眠スケジュール以上に代謝へ大きな影響を与える可能性があるという点です」
 

あなたの遺伝子が大きな役割を果たす可能性

研究では、遅く寝るか早く寝るかの傾向に遺伝が関係するのと同様に、食事のタイミングにも同様の影響があることが示されています。

最後の食事のカロリー量、最初の食事の時間、睡眠時間、夜型か朝型かといった要素はすべて、遺伝の影響を強く受けています。

別の双子研究でも、遺伝が食品の好み特定の食品の楽しみ方に影響を与えることが確認されています。
 

タイミングの好みに基づいた食事方法

健康を改善するために食習慣を見直したいと考える場合、最近の研究では、朝のルーチンを変更するよりも、夕方の食行動を見直すほうが効果的であることが示唆されています。これは、最後の食事のタイミングは環境要因によって決まりやすく、調整が容易であるのに対し、最初の食事の時間は遺伝の影響を強く受けるためです。

ミトリ氏は、食事の時間帯(ウィンドウ)そのものを変えるのではなく、食事のバランスを調整して自然なリズムに合わせることを推奨しています。彼女は研究結果を踏まえて次のように述べています。「たとえば、夜型で、食事の時間帯が午前10時から午後8時の場合、そのウィンドウ内で食事をしても構いませんが、1日のカロリーの大部分をより早い時間に摂取することを目指してください」

たとえば、最初の食事で全体の30〜35%のカロリーを摂り、最後の食事では控えめにするという方法が考えられます。

1日の早い時間に多くのカロリーを摂取するのが望ましいとはいえ、夜にまったく食べてはいけないというわけではありません。「遅い時間に食事を摂る必要がある場合でも、夕食を軽めにすることで、1日の総カロリー摂取量の比率を抑えることができます」とミトリ氏は述べています。

食事のタイミングを調整しようとする人には、段階的に進めることが重要だと彼女は強調しています。「食事時間を早めたい場合は、数週間かけて徐々に変更していくことで、体と食欲が新しいスケジュールに慣れ、次第に早い時間に空腹を感じるようになります」と彼女は述べています。

また、ミトリ氏は、就寝前の少なくとも2〜3時間前までに食事を終えることを推奨しています。これは消化や血糖値の安定のための時間を確保するためです。プレーングリークヨーグルトのような軽くて低脂肪のスナックであれば、短い間隔でも通常は問題ありません。待ち時間は逆流や胸やけなどの症状の予防にも役立ちます。

食事のタイミングは代謝の健康を支える重要な要素ですが、食べる内容も同じくらい重要です。果物、野菜、赤身のたんぱく質、健康的な脂肪など、ホールフードを優先することが全体的な健康維持に寄与します。

(翻訳編集 日比野真吾)

執筆活動を始める前、レイチェルは神経疾患を専門とする作業療法士として働いていた。また、大学で基礎科学と専門作業療法のコースを教えていた。2019 年に幼児発達教育の修士号を取得した。2020 年以降、さまざまな出版物やブランドで健康に関するトピックについて幅広く執筆している。