膵臓がんに注意:見落としがちな7つの警告サイン

膵臓がんの最も恐ろしい点は、転移の速さではなく、その発症過程がいかに静かに進行するかということです。診断された時には、すでに病状が進行していることが多く、そのため膵臓がんは致死率の高いがんの一つとなっています。

そのため、膵臓がんでは早期の検査と診断が極めて重要です。ごく早期の段階で発見できれば、5年生存率は80%以上に達します。しかし、腫瘍が膵臓内にとどまっているものの進行した段階では生存率は44%まで低下し、さらに遠隔転移が起こった場合には、生存率はわずか3%にまで急落します。
 

見過ごされやすい重要なサイン

関連する症状について説明する前に、まず膵臓の役割について理解しておくとよいでしょう。

膵臓は細長く平たい臓器で、腹部の奥深く、胃の後方、小腸の近くに位置しています。消化酵素を分泌して食物の消化を助けるほか、インスリンなどのホルモンを分泌して血糖値を調節しています。

膵臓は消化機能と血糖調節機能の両方を担い、さらに多くの臓器と隣接しているため、膵臓がんによる症状は一見無関係に見えながらも、同時に現れることがあります。

1. 原因不明の体重減少

ジュピター・メディカルセンター国家膵臓財団膵臓がん卓越センターのプログラム責任者であるシャネル・バグワンディン医師によると、自分の意思とは無関係な体重減少――たとえ2~5kg程度であっても――は早期の警告サインである可能性があります。これは腫瘍によって引き起こされる初期の代謝異常が原因です。

病状が進行すると、「悪液質(カヘキシア)」と呼ばれる、脂肪や筋肉が著しく減少する状態になることがあります。この症状は膵臓がん患者の約70~80%にみられ、治療効果を低下させる可能性があります。しかし初期段階では、体重減少をストレスや食生活の変化、運動量の増加などのせいだと思い込みがちです。

2. 新たに発症した糖尿病

膵臓がんは、インスリンを分泌する膵臓の細胞を損傷し、インスリン分泌量を減少させます。その結果、血液中のブドウ糖を処理する能力が低下し、高血糖を引き起こします。

バグワンディン医師は大紀元の取材に対し、次のように述べています。

「一部の患者にとって、糖尿病は危険因子ではなく、むしろ腫瘍そのものが初期段階で示す臨床症状です。残念ながら、この症状は通常の2型糖尿病として治療され、さらに詳しい検査や評価が行われないことが少なくありません」

特に50歳以降に糖尿病と診断された場合は注意が必要で、膵臓に何らかの異常が潜んでいる可能性があります。

3. 便の変化

ヴィンチェレがんセンターの共同創設者兼外科部長であるパブロ・プリチャード医師は、大紀元の取材に対し、

「膵臓の機能障害によって脂肪の吸収不良が起こり、その結果、便が脂っぽくなったり、水に浮いたり、強い悪臭を放つようになります」

と説明しています。

この症状はデリケートで話しづらいため、医師から尋ねられない限り、患者が自ら訴えることはほとんどありません。

4. 食欲低下

少量しか食べていないのに満腹感を覚える、あるいは食欲そのものがなくなることも、膵臓がんの見逃されやすいサインです。

膵臓の腫瘍が胃や小腸の入り口部分(十二指腸)を圧迫すると、このような症状が現れることがあります。

5. 持続する背中の中央部や上腹部の痛み

この痛みは、鈍い痛みや、内側からかじられるような痛みとして表現されることが多くあります。初期には痛みが強くなったり弱くなったりを繰り返し、通常は上腹部から始まり、体の両側や背中へ広がります。

筋肉や関節の疲労、あるいは脊椎の加齢変化による痛みとよく似ているため、特に運動習慣のある人や高齢者では見過ごされがちです。

6. 黄疸

腫瘍が膵頭部に発生すると、胆汁の流れが妨げられ、「ビリルビン」と呼ばれる黄色い色素が体内に蓄積します。

その結果、黄疸が生じ、皮膚や白目が黄色くなるほか、尿が濃い色になり、便が白っぽくなることがあります。

軽度の黄疸は通常痛みを伴わないため、見逃されたり、大したことではないと考えられたりすることがあります。

7. 血栓の形成

プリチャード医師は、原因不明の深部静脈血栓症や肺塞栓症などの血栓が発生した場合、特に体重減少や腹部の不快感を伴う場合には、膵臓がんの可能性を強く疑うべきだと指摘しています。

これは、膵臓がんが凝固を促進する物質を放出して凝固因子を増加させ、血液を固まりやすくする「血液凝固促進作用」を持つためです。その結果、静脈内で血栓が形成されやすくなります。

深部静脈血栓症では脚の痛みや腫れ、発赤がみられます。また血栓が肺へ移動すると、重篤な呼吸障害を引き起こす可能性があります。
 

膵臓がんの症状が見過ごされやすい理由

バージニア・メイソン医療センターで膵臓がん治療を専門とする腫瘍内科医のヴィンセント・ピコッツィ・ジュニア医師は、大紀元の取材に対し、「膵臓がんの症状の進行は通常ゆっくりで、数か月から数年にわたることがあります」と述べています。

背中の痛み、食欲低下、体重減少はいずれも徐々に現れるため、危機感を抱く決定的な瞬間がほとんどありません。また、軽い症状は市販の鎮痛薬や胃薬で一時的に和らぐこともあり、それが診断の遅れにつながります。

さらに膵臓には非常に大きな予備能力があります。消化酵素を作る機能が90~95%失われても、明らかな症状が出ない場合があります。そのため、新たな糖尿病などの兆候が現れる頃には、膵臓はすでに大きな損傷を受けていることが少なくありません。

ピコッツィ医師は次のように指摘しています。「この病気は一般集団における発症率が比較的低いため、膵臓がんと診断される確率は非常に低く、それが診断を難しくしています」

例えば、腹痛を訴える人は数多くいますが、その中で実際に膵臓がんである人はごくわずかです。このような「基礎発症率」を考えると、医師や患者が症状をより一般的な病気によるものと考えるのは統計的には合理的です。

ピコッツィ医師は次のように述べています。「私は一般診療医に対し、腹痛に加えて、体重減少、黄疸、原因不明の膵炎、あるいは新たに発症した糖尿病のいずれかを伴う患者では、膵臓がんの可能性を必ず考慮するよう勧めています」

(翻訳編集 解問)

健康記事を担当するエポックタイムズ記者。