マリー・アントワネット&ルイ16世(AI生成、Shutterstock)
虚構が作る歴史『ベルサイユのばら』と歪められた日本人の革命イメージ

第5回:虚像が歴史を支配する時 「ベルばら革命」に警鐘を鳴らす

漫画『ベルサイユのばら』の映画版は、昨年(2024年)の秋に公開された。原作の漫画は池田理代子氏によって描かれたものであり、「少女漫画」あるいは「恋愛小説」と呼ばれるジャンルに属している。本記事はこの映画、そして原作漫画について論じる全5回シリーズの最終章第5回目の記事である。

革命史で語られる王族のイメージは、定型的なイメージ――すなわち愚かで軟弱なルイ16世と、軽薄なマリー・アントワネット――というものから抜け出せないでいる。しかし、この点に関する歴史学は大きく進展し、ルイ16世が実際には極めて複雑な状況に直面しながらも、偉大な王として職責を果たそうとしたこと、マリー・アントワネットが公共の利益に心を配っていたことが明らかにされている。

ジャン・ド・ヴィジェリーによるルイ16世の伝記や、エマニュエル・ド・ワレスキエルの『マリー・アントワネットの裁判』(邦訳も存在し、『マリーアントワネットの最後の日々』として知られる)を読めば、この現実を理解できるはずである。

▶ 続きを読む
関連記事
『論語』学而篇から治国の本質を解き明かす。晏嬰の信義、漢文帝の節約、召公の愛民という歴史的逸話を通じ、真の善政とは「無事」を極めることにあると提示。時代を超えて響く孔子の徳治思想を紐解く
東京の片隅にある8席のラーメン店。効率や規模拡大を追う現代で、「この一杯しか作れない」と職人が一生をかけて紡ぐ静かな境地とは。稲盛和夫の「敬天愛人」や儒教の「智」を通じ、真の豊かさを問う
『論語』学而篇(四)を解説。「吾日三省吾身」に秘められた内修の天機と、古代教育における「修徳開智」の本質を読み解く。単なる教訓を超え、偽善を排して真の「忠・信」を実践するための指南書となる一文
中国共産党は西側の多文化主義や対立構造をいかに利用し、自滅を加速させているのか。社会の4つの層に潜む「工作」の実態と、深い経済的依存を抱える日本固有の脆弱性を解き明かすシリーズ第4篇
孔子の『論語』学而篇・第三章「巧言令色」を現代の視点で紐解く解説記事。へつらいや目先の恭順に潜む「偽善」を警戒し、直言や道義の堅守こそが真の忠孝と仁徳に繋がるという儒家の神髄を分かりやすく明かす