虚構が作る歴史『ベルサイユのばら』と歪められた日本人の革命イメージ
第5回:虚像が歴史を支配する時 「ベルばら革命」に警鐘を鳴らす
漫画『ベルサイユのばら』の映画版は、昨年(2024年)の秋に公開された。原作の漫画は池田理代子氏によって描かれたものであり、「少女漫画」あるいは「恋愛小説」と呼ばれるジャンルに属している。本記事はこの映画、そして原作漫画について論じる全5回シリーズの最終章第5回目の記事である。
革命史で語られる王族のイメージは、定型的なイメージ――すなわち愚かで軟弱なルイ16世と、軽薄なマリー・アントワネット――というものから抜け出せないでいる。しかし、この点に関する歴史学は大きく進展し、ルイ16世が実際には極めて複雑な状況に直面しながらも、偉大な王として職責を果たそうとしたこと、マリー・アントワネットが公共の利益に心を配っていたことが明らかにされている。
ジャン・ド・ヴィジェリーによるルイ16世の伝記や、エマニュエル・ド・ワレスキエルの『マリー・アントワネットの裁判』(邦訳も存在し、『マリーアントワネットの最後の日々』として知られる)を読めば、この現実を理解できるはずである。
関連記事
姿を見せないイラン最高指導者モジタバ。生死不明の傀儡を擁立し、誰も異論を唱えられない異様な状況を作り出すことで自らの絶対的権力を誇示する革命防衛隊バヒディ総司令官――独裁体制が抱える暗部に迫る
5年前から激変した世界情勢を保守派の視点から鋭く読み解く。カナダや中南米との関係変化、中東におけるイランの弱体化、先端技術での優位性を根拠に、アメリカが今まさに圧倒的な優位に立っている理由を論じる
増え続ける戦没者と連日の空襲に晒されるウクライナ。前線で飛び交うドローンやミサイルを支えるのは中国製の半導体や部品だ。現地キーウからのルポを通じ、中国共産党の影を告発する
ネパール大洪水の被害を拡大させたのは気候変動ではなく、それを恐れるあまり地質学的に脆い渓谷へダムや作業員を過密に投入した性急な再エネ開発だった。気候対策の暴走が生んだ人災の側面を鋭く告発する論評
スペースXがロシア軍の無許可スターリンク端末を遮断し、前線通信やドローン運用に影響が広がった。代替の衛星網「ラススヴェート」は軌道投入が難航し、ロシアの通信能力に課題が浮上している