植田和男日本銀行総裁 (Photo by Philip FONG / AFP) (Photo by PHILIP FONG/AFP via Getty Images)

日銀総裁「インフレ状態」発言に首相と認識差 物価情勢巡り政府・日銀の温度差浮き彫り

日本銀行の植田和男総裁は2025年2月4日の衆議院予算委員会で、日本経済の現状について「現在はデフレではなく、インフレの状態にある」との認識を示した。これに対し石破茂首相は同日の委員会で「デフレの状況にはないが、脱却はできていない」と述べ、インフレ状態との明言を避けるなど、政府と日銀の現状認識に差異が表れた。

植田総裁は立憲民主党の米山隆一氏への答弁で「消費者物価指数(生鮮食品除く)が2023年度以降2%を上回り続けている」と指摘。日銀が2024年7月に公表した「経済・物価情勢の展望」では、2026年度まで物価上昇率が2%以上継続するとの見通しを強調した。2024年12月のコアCPI(生鮮食品除く)は前年同月比3.0%上昇しており、物価安定目標を大きく上回る状況が続いている。

これに対し石破首相は「賃金上昇は持続せず、再びデフレに戻るリスクが排除できない」と説明。政府はデフレ脱却宣言を見送っており、「消費者の実感に乖離(かいり)がある」との慎重姿勢を示した。

▶ 続きを読む
関連記事
東京株式市場の前場で日経平均が下げ幅を拡大し、一時800円超の下落を記録。米株高後の過熱感から利益確定売りが膨らみ、植田日銀総裁の講演を前に投資家が警戒
金価格の高騰を背景に、日本への金の密輸が3年連続で急増している。片山さつき財務大臣は28日、税関で申告のない金について没収を可能とする制度改正を明らかにした。不正薬物以外の没収対象化は初めてであり、財務当局が金密輸を従来より深刻な脅威と捉えていることがうかがえる
ソニーや三菱自動車など多くの日本企業が中国で事業縮小や撤退を進行中。生産拠点は東南アジアやインドへの移転が目立つ
高市首相は、日米が南鳥島周辺海域でレアアース鉱物の共同開発を検討すると発表。経済・安全保障の強化を目的に日米が協定を締結し、中国依存脱却を目指す。
9月貿易統計では、半導体関連の輸出回復により5カ月ぶりの増加が確認されたが、輸入がそれを上回り、貿易赤字は3か月連続となった。円安進行が輸出企業の追い風となる中、高市早苗氏の政策スタンスが市場で注目を集めている。