古代の米の利用は腸に予期せぬ恩恵をもたらす

米のような毎日食べる基本的な食品が、を治す鍵となるのは本当でしょうか?

米の発酵水は、特にアジア文化圏では、治療法として古代より用いられています。近年の研究では、病原性バクテリアを排除し、時に「リーキーガット」と称される腸の粘膜の損傷を癒す効果があることが示されています。

インドの統合的ライフスタイル専門家であり、影響力のある人物であるルーク・コウチーニョ氏は、「大紀元」に対し、腸の不調を訴える多くの人は、米の発酵水を食生活に取り入れることで、胃腸の改善が期待されると述べました。これは、深刻な腸の問題を除き、米の発酵水がサプリメントの代わりになることを示しています。

お米の発酵水は、お米のとぎ汁を発酵させたものとはまた少し異なります。お米の発酵水は、炊きたてのご飯に水を加えて蓋をし、一晩発酵させるものです。特別な器具や知識は必要ありません。

ただし、清潔な環境で発酵させることが重要で、発酵が進みすぎると不快な臭いや味になることがあります。また、発酵によって生成されるアルコール度数や酸度にも留意する必要があります。安全に飲用するためには、これらの点をしっかりと管理することが推奨されます。

コウチーニョ氏はこのように述べています:

「米の発酵水はコストパフォーマンスに優れた治療法です。ほとんどの家庭には米が常備されています」

「シンプルで低コストで入手できます。多くの人は、複雑さが効果に直結すると考えがちですが、それは誤りです。実際には、シンプルな方法を実践することで大きな成功を収めたケースも多いのです」

 

古代より受け継ぐ腸活

米に関する発酵食品は世界各地で食べられています。例えば、日本の「甘酒」がそうです。

甘酒(shige hattori / PIXTA)

 

ヘルスコーチであり作家でもあるコウチーニョ氏は、腸内フローラを修復するために、古代から現代までの様々な治療法を検討しています。その中で彼はお米の発酵水を使用した治療法を推奨しています。

「私たちに寄せられる症例のほとんどが、腸内環境に関連しています。脳機能やホルモンバランスから免疫、代謝状態、皮膚、髪などに至るまで、腸の健康は体全体と貯血しています」

「腸の健康を改善することから始めると、他の健康問題も同時に良くなることが多いのです」

コウチーニョ氏によると、インドで古くから使用されてきた米の発酵水は、単純な胃の不調から複雑な胃腸問題に至るまで、多くの症状を癒す基本的な手法だといいます。この発酵液に使ったお米はそのまま食べたり、タマネギや青唐辛子を加えて料理にしたりします。また、飲みものとしてブレンドしたり、お米を濾して少量の塩を加えて飲むこともできます。

 

マイクロバイオームの補充

マイクロバイオームとは、私たちの体の表面や腸内に存在している微生物コミュニティのことです。

発酵した米の水はプロバイオティクスとして認識されており、有益な細菌が豊富に含まれているため、健康を促進し、悪玉菌を減少させることができます。

もし膨満感、消化不良、過剰なガス、免疫力の低下などの症状がある場合、腸内フローラのバランスが崩れている可能性があります。

しかし、自然に発酵させたシンプルな食品は、共生細菌の数を増やすことができます。2024年に「Biomolecules」誌に掲載された研究論文では、異なる地域で発酵した様々な種類の米に、多くの類似した乳酸菌の存在を確認しました。この研究は、米を自然に発酵させた発酵水が大腸の壁の細胞に良い影響を与える最初のものであるとされています。

同論文は、最新の研究が乳酸菌が免疫力の向上や腸のバリア機能の強化にどのように役立つかを示しています。乳酸菌は、腸内フローラの異常、つまり病原体の増殖を可能にする微生物の不均衡を調節するのに役立ちます。乳酸菌には、健康促進に有益なラクトバチルス属とビフィドバクテリウム属の細菌が含まれます。

乳酸菌を多く含む食品(シルバーブレット / PIXTA)

 

その他のメリット

お米の発酵水には、食品に含まれる天然の抗酸化物質であるポリフェノールの一種、フェノール酸が含まれています。

2019年に「Pharma Innovation Journal」で発表された研究では、発酵していない米の水は10種類の化合物を含んでいるのに対し24時間発酵させた水には23種類もの化合物を含んでいることが明らかになりました。フェノール酸は、抗菌作用と抗がん作用を持つ天然成分であることを研究では指摘しています。

お米の発酵水からは、体内の炎症を抑える効果がある酪酸という代謝産物が生成されます。炎症は自然な治癒過程の一環で、体の特定の部位に免疫細胞が集まる現象ですが、慢性的な炎症は多くの自己免疫疾患と関連があります。

コウチーニョ氏によると、

「炎症を抑えたり免疫力を高めたりする食品は数多くありますが、腸内環境が整っていなければ、その効果は十分に得られません」

「米の発酵水に含まれる乳酸菌は、米に含まれる抗栄養素を分解し、鉄、カリウム、カルシウムなどの栄養素やミネラルの吸収率を大幅に向上させます」

2023年12月に「Fermentation」誌に掲載されたレビューによると、発酵させた玄米は栄養価が高く、亜鉛、リン、マグネシウム、鉄、カルシウムの含有量が発酵によって増加することが確認されています。また、コレステロールを下げる効果があり、肝臓の損傷、がん、心臓病、高血圧から身体を守ることができるほか、化学療法によるダメージや血糖値の不安定、病原菌の増殖からも保護する効果があります。

 

癒しの栄養素を増やす

『The Nourishing Asian Kitchen』の著者であるソフィア・エング氏は、発酵した米を発酵キャベツにたとえています。米と同様、キャベツにも栄養素が含まれていますが、発酵させてザワークラウトを作ると、微量栄養素が増加します。

エング氏は、自著に発酵に関する章を設けており、最近ではアジアの発酵食品に関する1週間の講座を受けたばかりです。彼女は自宅の農地で土壌を豊かにするためにも乳酸菌を利用しています。

「アジア文化において、あらゆるものを発酵させることは非常に重要な部分です。これは最も経済的で、最も栄養価の高い方法であるから」と彼女は語ります。

発酵は自然に細菌を増やすプロセスです。エング氏によると、健康効果を高めるために発酵食品を食べることは合理的であるといいます。

実際、米のとぎ汁やザワークラウトの汁には、一般的なサプリメントよりも多くのプロバイオティクスが含まれていることがあります。

自家製のザワークラウト(studioworkstock / PIXTA)

 

自宅で手軽にお米の発酵水を作ろう

お米の発酵水の作り方は多岐にわたり、研究によっては12時間から24時間の発酵期間を設けるものもあります。米を浸す際の水だけを発酵させる方法もあります。

【材料】

・米:1カップ

・水:2カップ

【作り方】

1. 米をよく洗い、炊きます。

2. 炊いた米を金属製でないボウルに移し、2カップの水を加えて蓋をします。

3. 室温で12~48時間、甘い香りがするまで発酵させます。

4. 発酵水を濾し、空腹時に小さじ1から大さじ1を摂取します。

5. 次回分を作るために、約1/4カップの発酵水を残しておきます。この時、新たに米を使う必要はありません。

 

お米の発酵水のその他の活用法

米の発酵水でチーズを作ったり、希釈して土壌にスプレーすることもできます。

約1リットルの米水に約4リットルのミルクを加え、暗い場所でチーズクロスをかけて分離するまで待ちます。

 

有害な環境に対抗するシンプルな対策

エング氏によると、抗生物質やグリホサートなどの化学物質が食品に混入し、人間の腸内細菌に影響を与える現代において、米の発酵水のようなシンプルな対策は非常に重要だといいます。

「日常生活において、有害な毒素が腸内細菌を破壊しているため、サプリメントを摂る方法もありますが、お米の発酵水は日々の生活に取り入れやすく、コストもかからない方法です」

「作るのは非常に簡単で、もっと多くの人に知ってもらいたい」とエング氏は述べています。

イリノイ大学スプリングフィールド校で広報報道の修士号を取得。調査報道と健康報道でいくつかの賞を受賞。現在は大紀元の記者として主にマイクロバイオーム、新しい治療法、統合的な健康についてレポート。