上川外務大臣 は、フィアメ首相兼外相を表敬し、同首相主催昼食会に出席した(外務省)

上川外相、サモア初訪問 関係強化を確認

現地時間2月10日、サモア独立国を訪問中の上川陽子外務大臣は、フィアメ・ナオミ・マタアファ・サモア独立国首相主催の昼食会に出席した。

上川大臣は、半世紀以上に亘るサモアでのJICA海外協力隊の活動など両国の「キズナ」に触れつつ、昨年、日・サモア外交関係樹立50周年を迎え、長年にわたり友好協力関係を築いてきたことを再確認した。これに対し、フィアメ首相は、サモア国立大学保健学学部整備に対する支援を含め、サモアに対する長年にわたる協力について日本政府・国民の支援に対する謝意を述べた。

また、世界が歴史の転換点にある中、地域の一体性や結束を重視し、日本とサモアなど太平洋島嶼国地域が共有する原則や価値に基づく信頼関係を強化していきたいと表明した。PALMプロセスやその発展の方向性につき議論した。フィアメ首相も地域の一体性の重要性に触れ、PALM10への期待を表した。上川大臣は、日本は太平洋島嶼国地域の「2050年戦略」を強力に支持し、二国間の取組や太平洋・島サミット(PALM)プロセス等を通じて、サモアへの協力を実施していると説明した。

ALPS処理水の海洋放出に関して、上川大臣は先日公表された海洋放出開始後初のIAEA報告書に言及した。今後とも、IAEAの継続的な関与の下で実施されるモニタリング結果の提供など、科学に基づく丁寧な説明を積み重ね、安心感を高めていくと述べた。

「女性・平和・安全保障」(WPS)に関しても意見交換を行った。昨年3月にサモアにおいて、「世界津波の日」に向け、女性の視点を重視した津波防災計画を策定するリーダーシップ研修が国連訓練調査研究所(UNITAR)主催で開催されたことに触れた上で、ムリポラ大臣の女性や子どもを含む社会全体の発展に向けた取組に敬意を示した。防災や災害対応という太平洋島嶼国との共通課題に関し、WPSの視点を含めた協力の方向性を議論した。

同日午後3時50分、太平洋気候変動センター(PCCC:Pacific Climate Change Centre)を視察し、同施設の活動について説明を受けた。

PCCCは、サモアに本部を構える国際機関「太平洋地域環境計画事務局(SPREP)」傘下で、太平洋島嶼国地域における気候変動関連分野の人材育成、情報収集及び技術共有等を行っているセンターである。日本は、2019年のPCCCの設立を支援したほか、その後も専門家の派遣を通じて、PCCCの機能強化を図っている。

説明を受けた上川大臣は、PCCCをハブにして島嶼国の人材育成が進み、地域の気候変動対策の情報や技術共有の拠点としてますます発展していくことを期待していると述べた。

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
中国共産党に対して強硬な姿勢を示してきた垂秀夫前駐中国大使は以前、都内の会合で「中国共産党と中国国民は違うというアプローチを中国共産党が最も嫌う」と指摘。民主派の中国人が東京に集まっている現状についても見解を述べた。
邦人男児刺殺事件について、中国共産党は容疑者の動機などについて日本側が情報共有を求めるも、口を閉ざしたまま。事件の真因とは何なのか。
2024年9月13日に掲載した記事を再掲載 香港紙・星島日報は中国遼寧省にある大連海事大学が沖縄関連の研究を目 […]
中国・広東省深圳の深圳日本人学校の男児(10)が通学中に刺殺された事件は、今日で1カ月になる。拘束された容疑者(44)について、中共当局は「捜査中」として動機をいまだ明らかにしておらず、事件の背景は未解明。