新たに公開されたカナダ安全保障情報局(CSIS)の文書は、外国の介入はカナダ政府の各レベルで展開されていると指摘した(DD Images,shutterstock)

政府の各レベルで外国の介入が活発化=カナダ安全保障情報局

カナダの情報機関、カナダ安全保障情報局(CSIS)の新たに公開した文書は、外国の介入がカナダ政府の各レベルで展開されていると指摘した。

Global Newsが情報公開法を通じて入手したCSISの報告書は、外国からの介入がカナダの民主主義を「徐々に」弱体化させていると警告している。

「外国からの介入はカナダ全土で、政府のあらゆるレベルで活発に行われている。サイバー介入の多くは、カナダの政治・社会に深く根ざしている」と報告書は述べている。 

過去1年ほどの間、匿名の情報源によって、中国共産党(中共)が様々な手法を用いてカナダの選挙に介入していたことがわかった。先週、カナダの2019年と2021年の選挙介入を巡って、公開調査が開始された。

CSISが2022年10月31日付けで、「外国からの介入と選挙:国家安全保障評価」と題した報告書を発表した。

報告書によると、外国が介入した対象には、エクスパット(海外居住者)・グループ、マスコミ、カナダ連邦・州・市政府、先住民政府、及び「カナダ市民社会のあらゆる側面」が含まれている。 

また「選挙中、介入を通じてカナダの政治に影響を与えるなど、外国のエージェントによる敵対的活動には、1)買収しやすいと思われる人々へ秘密的に利益を供与し、2)外国政府に反対的だと思われる人物に不利益を与える、などを通じて行われる」と報告書は述べている。

報告書によると、CSISの評価は主に選挙中の外国からの介入に焦点を当てているが、カナダの民主主義モデルと選挙で選ばれた役人に対する工作は、選挙を「はるかに超えた(レベルで)」行われた。

報告書の多くは黒く塗りつぶされており、介入する国の国名は見えないが、Global Newsは、入手した他の文書では中国(中国共産党)に何度も言及していると報じた。

2023年2月24日付の「外国干渉に関する民主制度大臣への報告」と題したプレスリリースは、中国を「これまでで最も大きなな脅威」と呼んだ。 

プレスリリースには、「中国(中共)が密かに2019年と2021年の連邦選挙に影響を与えようとしていたことが分かっている 」とある。

2022年3月21日付の別のCSIS報告書のタイトルは、「中国(中共)からの外国干渉がカナダの価値観と選挙プロセスをいかに損なうか」だった。

報告書は、中共政府からの干渉が「カナダの市民社会、特に中国系カナダ人コミュニティに分裂的な影響を与えている」と指摘している。

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