1月30日、香港政府トップの李家超行政長官は、新たな国家安全保障法の早期成立を目指す方針を示した。写真は香港で2021年7月撮影(2024 ロイター/Tyrone Siu)

香港、国家安全条例の早期制定目指す 統制さらに強化へ

香港 30日 ロイター] – 香港政府トップの李家超行政長官は30日、新たな国家安全保障法の早期成立を目指す方針を示した。

香港では国家分裂や政権転覆などの行為を処罰する国家安全維持法(国安法)が2020年に施行された。今回成立を目指すのは、香港の憲法に相当する基本法第23条を立法化する「国家安全条例」。基本法第23条は、国家の安全を脅かす行為や活動を禁止する法律を香港が制定すると定めている。2003年に立法化を目指したが、平和的な反対活動を受け実現しなかった。

李長官は、憲法の規定に従い新法を成立させる責任があるとし、「できるだけ早い」制定を目指すと表明。香港社会は安全で落ち着いているように見えるが、外国の工作員がなお活動している可能性があり、警戒が必要だと指摘した。法令は国際基準に沿ったものになるとも説明した。

警察トップのクリス・タン警務処長によると、条例には国家機密、スパイ行為、反逆、扇動、コンピューターや電子システムを使った国家安全を脅かす行為に関する条項が盛り込まれる予定。

その後発表された市中協議文書では、コンピューターや電子システムを不正に使った国家安全を脅かす行為が新たな破壊罪になるとされている。

同文書は経済、科学、外交、社会分野の香港の国家機密についても定義しているが、公表されれば国家安全保障が脅かされる情報が国家機密に分類されるとしている。

外交関係者、財界、学識経験者らは、条例制定の動きを注視している。一部法律学者は、国安法で明確さを欠いていた規定が明瞭になると予想。香港大学法科大学院のサイモン・ヤング教授は「特に国家機密やスパイ活動など、既存の法律で定義があいまいだった項目に越えてはならない一線が引かれるのはほぼ確実だろう」と述べた。  

関連記事
米軍は台湾海峡を含むインド太平洋地域で分散配置を推進。HIMARSや空母を南西諸島やフィリピンに展開し、脅威に対応。3隻の空母や最新兵器を活用し、中国を牽制する動きを強化
米インド太平洋軍司令官パパロ大将は、中共による台湾侵攻は米軍の優位性により「極めて困難」と指摘。海上封鎖も突破可能と自信を示した。中共軍の台湾周辺の活動は活発化している
11月18日、イギリスのスターマー首相は、G20首脳会議出席中、中国共産党(中共)の習近平党首と会談を行った。中共の人権問題を批判し、特に拘束されている香港の元メディア大手、黎智英氏や、中共による制裁を受けたイギリス議会議員について言及した。
台風21号が去った後の台湾の町はボロボロ…
台湾国防部(国防省)は29日、フランス海軍の艦艇が台湾海峡を北方向に向けて航行したと発表した