誰もが毒親になり得る?!

毒親の典型例:子どもを怯えさせる虐待

 

子供のしつけはどうすればいいのか? 叱責と表現のテクニックとは? そして、怒りが生じたときはどうすればいいのか。本書は、生活習慣、教育概念、コミュニケーション、メンタリティなど、さまざまな観点から解説と提案を行い、親と子の健全で良い付き合い方を模索します!

毒親ってどんな親?

■子供を恐怖に陥れる4種類の虐待

毒親には、子どもの「恐怖心」「罪悪感」「責任感」を過剰に刺激する、という3つの代表例があります。 それぞれについて、順を追って説明します。

1つ目は、いわゆる虐待といわれる「子供への恐怖」です。 ニュースで報道される虐待事件は深刻なものが多いので、児童虐待は珍しいと思われがちですが、厚生労働省によると、過去2年間に寄せられた児童虐待の相談件数は20万件を超え、年々増加傾向にあります。 児童虐待は、大きく分けて以下の4つに分類されます。

心理的虐待

身体的虐待

ネグレクト育児放棄

性的虐待

この4つのカテゴリーの中で、最も割合が高いのが❶心理的虐待で、全体の60%を占めています。 具体的には、「お前は何もできない」「行儀よくしないと飯が食えないぞ」といった脅し文句や大声で叱るなどが虐待の特徴です。

「悪い人に連れて行かれるよ」「お前はどこかの国の拾われた子だ」など、冗談半分の発言も、真実と虚構の区別がつかない子供にとっては恐怖の対象です。

また、「そもそもお前を産むんじゃなかった」などの言葉は、子供の精神に大人になっても忘れられない傷を残すことになります。このような軽蔑的な発言は、心理的虐待の一種としてよく知られています。

それだけでなく、「どうしてお兄ちゃんみたいになれないの」「お姉ちゃんみたいに役立たずになってしまうよ」など、兄弟を比較することも心理的虐待です。子供の前で夫婦が本格的に暴力を振るう喧嘩をしたり、親が不安定になって子供に手首を切るところを目撃させたりするのも、すべて心理的虐待です。

子供を外に出しっぱなしも身体的虐待

❷「身体的虐待」は、殴る、蹴るなどによる子供への暴力や危害を加える行為で、全体の約25%を占めています。

殴る、蹴る、熱湯をかけるなどはニュースになるくらい重大なことですが、寒い時期に子供を外やロッカーに閉じ込めておくことも身体的虐待になります。 このようなしつけは非常に多く、「自分は子供を蹴ったり殴ったりしていない」と思っていても、それが虐待であることに気づいていない人がたくさんいるのではないでしょうか。

携帯電話依存症になっていませんか?

❸ ネグレクト(育児放棄)は全体の約15%を占めます。 必要な衣食住を提供しないのはネグレクトの典型ですが、子供を家や車に残して一人で外出したり、子供が病気やケガをしているのに医者に連れて行かないのもネグレクトです。

親御さんの中には、子供の病気に対して、「そのうち治るだろう」「寝ていればいい」と単純に考え、医者に行くことを拒む親もいます。それほど深刻な状況でなくても、子供は「自分は苦しんでいるのに、親は気にかけてくれない」と傷つき、悲しい思いをすることがあります。

また、近年話題になっているのが、親の携帯電話依存の問題です。 携帯ゲームを長時間したり、SNSをダラダラ見たりしている親は、子供の気持ちやニーズをないがしろにしています。 携帯に夢中で子供の世話ができない親は、ネグレクトの前兆であると指摘されています。

親自身は性的虐待を自覚しているわけではない

❹ 性的虐待とは、親が子供に対して強制わいせつ行為や性的暴行を加えることです。これはとんでもない行為で、虐待全体の1%程度であることが知られています。これは非常に少ない割合ですが、起こったときに子供が声を上げにくいことや、幼い子供は虐待がどういうものかを知らないことを考えると、実際の件数は1%よりも多いと思われます。

その他、明らかに嫌がっているのに無理やりお風呂に入れる、お風呂上がりに親が裸で家の中をうろつくなど、いずれも性的虐待に近いものです。

これら4つのタイプの行動は、子供の恐怖心を煽る毒親スタイルの典型といえるでしょう。

虐待の中には、実は当事者には気づかない行動もあります。

「虐待」と聞くと、自分には関係ないと思いがちですが、携帯電話をいじりながら、無視していることも意外と多いのです。 大人になって自分の子供時代を振り返ってみると、親が虐待しているケースが多かったことに気づきます。