ホリデーシーズンは私たちの消化器系にとって大きな負担となりがちです。甘いお菓子や脂っこい肉料理、そして時折のアルコールを摂り過ぎることで、膨満感やだるさを感じるのは珍しいことではありません。こうした習慣は、肝臓、胆のう、腸管に相当な負担をかける要因になります。
そんなときに心強い味方となるのが、古くから消化を助けるために用いられてきたホリデーのスパイスです。消化を整える目的で、先人たちはクリスマスのガチョウ料理にヨモギを加えたり、ホリデーの焼き菓子にたっぷりとスパイスを使ったりしてきました。現代科学も、こうしたハーブ由来の消化サポートの可能性を示しています。オールスパイスからバニラまで、私たちは今も冬のスパイスを日常の料理に取り入れていますが、それらが消化の健康にどのように関わっているのかを、きちんと理解している人は意外と少ないかもしれません。
消化の働きが鈍くなると、体では何が起こるのか
通常、食べ物が消化器官を通過するまでには1〜3日ほどかかりますが、そのスピードには個人差があります。水分補給の状態、身体活動量、ストレス、そして特定の薬の使用などが、消化の進み方に影響を与えます。
消化が遅くなると、食べ物が通常より長く腸内に留まり、体が重く感じられたり、動きが鈍くなったような感覚を覚えたりします。その結果、膨満感、ガス(腸内に溜まった空気)、便秘、吐き気といった不快な症状が現れることがあります。便が結腸に長く留まるほど硬くなり、排出が難しくなり、満腹感や腹部の張り、強くいきむ感覚につながります。
こうした状態になると、楽しいはずの「ホー・ホー・ホー」という気分が、「オー・オー・オー」とため息混じりに聞こえてしまうかもしれません。そこで役立つのが、穏やかに消化を支えてくれる存在です。特定のスパイスは消化の働きを刺激し、特に食べ過ぎた後の不快感を和らげる助けになると考えられています。
スパイスが消化を促す仕組み
いくつかのハーブは「温性(体を温める性質)」を持つとされており、体が本来備えている消化の力をやさしく後押しします。具体的には、胃に温かさをもたらし、消化をスムーズに進め、こってりとした食事の後に感じやすい重さや満腹感を和らげてくれます。
また、スパイスには共通する特徴があります。芳香があり、心を落ち着かせ、にガスの排出を助けたり、けいれんを和らげたり、腸内環境のバランスを整える目的で使われてきました。それぞれのスパイスは、親しみ深い冬の風味とともに、独自の消化サポートの特性を持っています。
オールスパイス
オールスパイスは、軽い消化管のけいれんを和らげ、脂肪分の多い食事の後に腸を落ち着かせる働きで知られています。
アニス
アニスは、ほのかに甘草(リコリス)に似た香りを持ち、消化管の緊張を和らげ、消化が滞った際に起こりやすい膨満感の軽減に役立つとされています。
カルダモン
カルダモンは、甘さとハーブ調の温かみをもたらし、消化不良をやさしく和らげ、重たい食事の後に感じる満腹感を落ち着かせるためによく使われます。
シナモン
シナモンは、親しみやすく心地よい風味を持ち、吐き気を和らげる目的で用いられることがあり、冬の濃厚な料理と自然に相性の良いスパイスです。
クローブ
クローブは、甘くスパイシーな香りが特徴で、消化が鈍く感じられるときの吐き気や胃の不快感を和らげる目的で、長らく用いられてきました。
ジンジャー
ジンジャーは、はっきりとした温かな辛味を持ち、むかつきを抑え、膨満感があるときに胃を落ち着かせる働きでよく知られています。
ナツメグ
ナツメグは、やさしい甘さと温かみをもたらし、軽い胃の不調を和らげ、消化の流れをなめらかに保つために長らく使われてきました。
これらの温性スパイスを組み合わせることで、食べ過ぎた後の消化の不快感をやさしく和らげる、シンプルな冬のスパイスミルクが完成します。
ハーブ入り 冬のスパイスミルク
ホリデーシーズンにぴったりのこの心安らぐドリンクは、季節の甘さと温かさを楽しみながら、消化をやさしくサポートしてくれます。
材料
・全乳 470ml
植物性バージョンにする場合は、アーモンドミルク、オーツミルク、またはライスミルクに置き換え、ココナッツオイルを小さじ1加えてください。
・スターアニス(八角) 丸ごと1~2個。
・クローブのつぼみ 1~3個。
・シナモンスティック 1本(または粉末シナモン小さじ1/2)。
・粉末ジンジャー 小さじ1/4。
・粉末ナツメグ 小さじ1/4。
・カルダモンとオールスパイス 各ひとつまみ(好みで調整)。
オプションの追加材料
・はちみつ 小さじ1
・バニラエクストラクト 小さじ1/2
・ココアパウダー 大さじ1~2
作り方
1.小鍋にミルクを入れ、弱火で湯気が立つまで温めますが、沸騰させないようにしてください。
2.スパイスを加えたら火を止め、フタをして5~15分ほど蒸らします。好みの風味の強さに応じて時間を調整してください。
3.こし器を使って、ホールスパイスを取り除きながらカップに注ぎます。
4.好みに応じて、はちみつ、ココアパウダー、またはバニラを加えます。
やさしい温かさのスパイスミルクを味わいながら、静かなひとときを過ごしてください。柔らかなブランケットに包まれたり、馴染みのある本を手に取ったり、長い一日の終わりに心をほどく時間にぴったりです。
注意事項:活動性の胃炎、逆流症状の悪化、炎症性腸疾患の再燃、または消化管の炎症を伴うその他の症状がある方は、温性スパイスの使用を避けたほうがよい場合があります。これらのスパイスは、すでに敏感になっている消化管を刺激する可能性があるため、そのような場合には、カモミール、ペパーミント、またはプレーンな温かいミルクといった、より穏やかな選択肢のほうが適していることがあります。
アレンジ:ひとつまみのターメリックを加えることで、このドリンクを「ゴールデンミルク」にすることができます。ターメリックは、温かく土のような風味と自然な黄金色をもたらし、鎮静作用や抗炎症作用があるとされてきました。黒コショウを少量加えると、ターメリックと相性が良いとされ、風味のバランスも整います。
(翻訳編集 井田千景)
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