「消防ヤギ」の功績、チリの森林が大火から守られる

南米チリ南部の都市、サンタフアナ(Santa Juana)は数年前に、ヤギに草を食べさせて 植生の成長を抑制し、それによって火災防止ラインを作るという特別チームを立ち上げました。今年の2月に発生した森林大火の際、この「消防ヤギ」のアイデアが効果を発揮し、近くの一部の原生林が大火から免れました。

ロイター通信が5月14日に報告したところによると、サンタフアナは2017年に森林大火の被害を受け、それ以来、地元住民は「Buena Cabra(良いヤギ)」プロジェクトを立ち上げ、ヤギを消防隊員の役割に当て、森林火災に立ち向かうと共に、16ヘクタールのBosques de Chancay公園(スペイン語で森林を意味する)をその基地として設立しました。

(関連の短編映像を見るにはここをクリック)

ポルトガルとスペインでは、「戦略的放牧(strategic grazing)」と呼ばれる防火方法も使用されています。これは、放牧してヤギに草を食べさせ乾燥した草地や他の植物をコントロールし、夏季にこれらの草地や植生が森林大火を助長するのを避ける方法です。また、ヤギの糞は土壌を肥沃にし、土壌侵食を防ぐ効果もあります。

公園の共同創設者であるRocio Cruces氏によると、彼らは環境に配慮した防火手段について調査を行ってきました。その結果、「戦略的放牧」が除草剤の使用に代替し、焼却や剪定後の焼却の方法に取り替えることができることが分かりました。

Cruces氏は、今年2月に発生した森林火災で公園は炎に囲まれましたが、最終的に唯一の生き残った緑地となったと言います。

熱波と干ばつが引き起こした今回の森林大火で、チリ中南部の約44万ヘクタールの土地が焼け落ち、数十人が死亡し、数千人が負傷しました。

「火災は私たちの森林にまで広がりましたが、最初の列の木々だけが影響を受けました。それは公園の10%未満でした」とCruces氏は語ります。植生が少ないため、火は広がらなかったのです。

Cruces氏がこのプロジェクトを2017年に開始したとき、16頭のヤギしか飼っていませんでしたが、現在では150頭まで増えています。彼女はこれが他の人々を励ましてくれることを願っています。

「戦略的放牧」に精通しているチリのコンセプシオン大学(University of Concepción)の森林工学者、Francisco Di Napoli氏は、「チリでは、私たちは防火面で失敗していますが、これらの動物は私たちに非常に多くの助けを提供してくれています」と述べています。