高速道路でひと休み? 巨大グリズリーとの思いがけない遭遇

先月、ロッキー山脈の氷河への日帰り旅行に出かけたタイラー・ウォールさんは、思いがけず巨大なグリズリーベアと出会い、一躍「熟練の野生動物写真家」のような体験をすることになりました。

「氷原を一通り見学して、それから帰る途中でした」と、ウォールさんはエポックタイムズの取材に語ります。バンフの北西にあるコロンビア・アイスフィールドを訪れるのは、今回が初めての小旅行だったそうです。

ウォールさんは、パンデミックの時期にアルバータ州の比較的緩やかなロックダウン政策に惹かれ、山あいの町・バンフへ引っ越しました。風景写真を撮ることも好きで、自然の美しさや観光地としての魅力、さらに仕事の機会があることから、バンフを選んだと話します。

観光客でにぎわうバンフ・アベニューを「まるで遊園地みたい」と感じ、次第に足を運ばなくなったウォールさんは、最近ではルイーズ湖のような、よりのどかな風景を訪れるようになりました。そんな5月のある日、氷原からバンフへ戻る途中で、人生で初めてグリズリーベアと遭遇しました。

「ハザードランプをつけて停車している車が見えたんです」と、ウォールさんは振り返ります。

車が停まっているのには何か理由があると気づき、グリズリーがいると察したウォールさんは、カメラを持っていたこともあり、これは貴重なチャンスだと直感しました。そのクマは冬眠から目覚めて間もなく、おそらく空腹でベリー類を探しているうちに、道路脇の広い草地に出てきたのでしょう。

「幸運なことに、車の中には25〜150ミリのズームレンズがあったんです」と、ウォールさんは言います。

Uターンして車を停め直した時には、すでにもう一台の車は立ち去っており、ウォールさんと恋人だけがクマと向き合う形になりました。これまでにもクマを見たことはありましたが、いつもは高速道路脇を茶色い影が横切る程度で、ここまではっきりと姿を見たのは初めてだったそうです。

アルバータ州ロッキー山脈のコロンビア氷原付近で、冬眠から目覚めたばかりのハイイログマ。(タイラー・ウォール提供)
アルバータ州ロッキー山脈のコロンビア氷原近くで、冬眠から目覚めたばかりのグリズリー。提供:タイラー・ウォール
(左)ハイイログマは落ち着いていて、車に乗っているウォールと彼のガールフレンドをほとんど無視していた。(右)写真家のタイラー・ウォールと彼のガールフレンド。(タイラー・ウォール提供)
(左)クマはリラックスしており、車内にいるウォールさんたちをほとんど気にする様子はなかった。(右)写真家タイラー・ウォールさんと恋人。提供:タイラー・ウォール
タイラー・ウォールが写真を撮っている間、グリズリーは座って休んでいた。(タイラー・ウォール提供)
クマは座って休んでおり、ウォールさんはその様子を撮影しました。提供:タイラー・ウォール

 

そのクマは彼らからわずか15mほどの距離におり、この美しい自然の瞬間を乱したくないと考えたウォールさんは、車の中から撮影することにしました。クマに攻撃的な様子はまったく見られず、何度かこちらを見たものの、特に気にする様子もなかったといいます。非常に大きな個体で、体重はおそらく1トンほどあったのではないかとウォールさんは推測します。健康そうで、草の上にのんびりと横たわり、まるで一緒にくつろいでいるかのようだったと振り返りました。

「今回の体験は本当に特別でした。ただクマがのんびりしていただけではなく、座ったり、体をかいたり、あちらこちらに寝転がったりして、ちょっと笑ってしまうような『ポーズ』を見せてくれたんです」

ウォールさんは少なくとも十数枚の写真を撮影しました。それらの写真はすぐに注目を集め、SNSに投稿すると大きな反響を呼びました。

(タイラー・ウォール提供)
提供:タイラー・ウォール
(タイラー・ウォール提供)
提供:タイラー・ウォール
(タイラー・ウォール提供)
提供:タイラー・ウォール
(タイラー・ウォール提供)
提供:タイラー・ウォール
(タイラー・ウォール提供)
提供:タイラー・ウォール
(タイラー・ウォール提供)
提供:タイラー・ウォール
(タイラー・ウォール提供)
提供:タイラー・ウォール
(タイラー・ウォール提供)
提供:タイラー・ウォール

 

バンフに移る前、ウォールさんはオンタリオ州トロントにあるヨーク大学で映画研究を専攻していました。静止画に興味を持ち始めたのは、COVID-19のパンデミック中で、オンタリオ州では他にすることがほとんどなかった時期だったといいます。その後、キャノンのT3を購入し、自然を撮影するために旅に出るようになり、最終的にカナダ西部へ移住しました。

「外に出て、探検したいんです。そして、人々が普段は目にすることのない景色を撮影したい」

グリズリーに出会う以前には、アメリカ・ユタ州のザイオン国立公園にあるブライスキャニオンで、美しい岩のアーチを撮影したこともありました。今回のグリズリーとの出会いが大きな注目を集めたことで、今後は野生動物の撮影にも、より力を入れていこうと考えているそうです。

「この写真を公開したとき、グリズリーへの反響はこれまでで一番大きかったと思います。こんなに多くの反応をもらったのは初めてでした。だから、もっと外に出て、野生動物の写真を撮るべきだと感じました」

「これだけ反応があると、『ああ、自分はちゃんとできているんだな』と思えます」とも語っています。

ウォールさんにとって、グリズリーはこれまで見た中で最も「クール」で「驚くべき」動物だったそうですが、野生動物の撮影にはやはり難しさもあるといいます。「まさに『その時、その場所にいた』からこそ撮れた、奇跡的な瞬間でした」と、取材を締めくくりました。

(翻訳編集 井田千景)

カナダのカルガリーに拠点を置くライター兼編集者。主に文化、人間の興味、トレンドのニュースについて執筆。