(続き)
ある日、楊延昭は再び小さな建物に住むようになり、翌朝、夜明け前に急いで起きて戦闘用の鎧を着ました。
すると、護衛兵が訪ねて来て楊延昭に言います。「こんなに早くにどこへ行かれるのですか?」
楊延昭は答えました。「遼の兵士がくる。急いでみんなを起こしてくれ!」
そのことを聞いた護衛兵は、どのように遼の兵士が来ることを楊延昭は知ったのかと疑問に思います。
楊延昭はそのわけを語ります。「目を覚ましてから寝台に寄りかかっていたら、遠くの方で馬の蹄鉄の振動が聞こえ、農場のアヒルとガチョウが落ち着きなく叫んでいたので、遼の兵士に違いないと思ったのだ」。
すると、護衛兵は楊延昭が話したことが奇跡に聞こえ、急いで階下に降りて全員を起こしました。楊延昭も展望台に上って偵察すると、確かに遠くに100人ほどの兵を引き連れた遼軍の姿が見えました。彼は階下に行き、軍曹に直ちに隠れるよう指示し、遼の兵士を生きたまま捕える準備をするよう命令を出しました。
遼の兵士は劉荘にたどり着くと六郎閣を目にし、巡回中の軍曹に出くわすのを恐れ、遠回りをすることにしました。その途中で逃げ出した数羽のアヒルとガチョウに遭遇しました。すると、その近くの農場で、気配に気づいたアヒルとガチョウが鳴き始めました。これを見た遼の兵士たちは、それらを捕らえて戻ってから食用にするのも良いと考え、農場に駆けつけました。
遼の兵士が農場の土壁を横切ると、そこは白一色に覆われ、数えきれないほどの、数千羽のアヒルとガチョウでいっぱいでした。遼の兵士たちは目を輝かせて、次々と馬から飛び降りてそれらを捕まえようとしました。おびえたアヒルとガチョウは逃げ出し、農場の門が開いていたこともあり、アヒルとガチョウは白洋淀の方角へと一斉に飛び出しました。
(つづく)
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