気温の上昇とともに、水遊びをする人が増えていく中で、毎年夏になると、子どもが水中で溺れる事故が発生しています。
6月26日(日)にも、米国カリフォルニア州レイクエルシノアの埠頭付近で9歳の少年が遊泳中に溺死する事故が起こりました。
では、実際に溺れたときには、どのような救命方法をとるのが良いのでしょうか。また、泳ぐ際の注意点は何でしょうか。
ウォームアップとテスト
ブレイク・スイミングスクール(Blake Swim School)の責任者であるブレイク氏は、ベテランの水泳コーチで、USAスイミング協会の水泳とライフガード関連の免許を取得しています。水上スポーツに取り組む前、けいれんを起こさないように「ウォーミングアップ」の運動をすることが大切だといいます。
水中で息が続くか、補助なしで25メートルを泳げるかを試してからの方が一番安全です。または浅い区域を泳ぎ、立ち泳ぎ1分間で浮くことが可能なら深水区に移動しても良いことになります。
「一番大事なのは、自分のレベルを判断して、能力が不足している人はあまり深い所に行かないことです」とブレイク氏は言っています。
水泳は良い運動であり、他のスポーツに比べて怪我も少ないため、体力向上のために患者に勧める医師も多いです。しかし、水泳は高負荷なスポーツなため、例えば呼吸器系の疾患や高血圧、さらに脳卒中やてんかんの既往がある場合は、自分の体力や健康状態を考慮することも必要です。
水害時の自助姿勢について
ブレイク氏は「溺れているときは、息切れしたり緊張したりするのは仕方のないことですが、そんな時こそ冷静でなければなりません。体の力を抜いて、沈まないように水に逆らわず、そして何より体力を温存して、できるだけ長く水の中にいて、誰かが助けに来てくれるのを待つべきです」と言っています。
また、泳げない人でも自救できる、水中での簡単なセルフレスキュー方法を紹介しました。
溺れてしまった際は、頭を両手で抱え、仰向けの状態になるよう体を返し、顔、あご、胸が水面から出るようできるだけあごを上げて、足を動かせる場合は、水を蹴ってみると良いそうです。
心配な子供の水遊び
またブレイク氏は「子どもたちがプールで遊んでいて、押し合いへし合いをしているうちに、息が切れて窒息してしまうというケースもあります」と言いました。このようなときは、窒息している人を動かさず、医療の専門家に助けてもらうことが大切です。アメリカでは、厳しい規制があり、プールでもビーチでも、医療知識を持ったライフガードの有資格者がいるのが当たり前だそうです。
夏は屋外に出て水遊びをする人が多いので、水泳の危険性が高まります。「5〜6歳の子どもは、たとえ浅い水であっても大人が付き添うべきです」と話すブレイク氏。ライフガードが見ていても、親はもっと自分の子どもに気を配る必要があるとのことです。
潮時を確認する
ブレイク氏の経験では、溺水事件は岸辺よりも水深の深いところで起こりやすいといいます。海岸の地形と潮の満ち引きの関係で、慣れないと岩礁に引っかかったり、満潮時に海から浸水した深い水たまりに落ちたりする恐れがあるのです。
「潮の流れを知っている人は暗礁を避けることができますが、初心者や海に不慣れな人は暗礁を見つけられないかもしれません。ですから、ビーチで泳ぐときは、潮の満ち引きに注意し、潮が満ちてくる前に岸に戻るようにすることが大切です」
「ただし、干潮時なら安全というわけではなく、潮の引きが強く、満潮時なら岸から引き離され、岸に戻るのに苦労することもあります。そのため、海水浴に行く場合は、まず満潮と干潮の時間を確認しておくと、潮の満ち引きがよくわかり、危険性を軽減することができます」とブレイク氏は言っています。
ブレイク氏によると、コロナの注意期間を経て、人々は外に出るようになり、夏休みにはプールや海水浴場が過密状態になったと言います。その一方で親の家計に響いたのか、水泳教室に通う生徒が少し減ったそうです。
しかし夏に泳いだり、水遊びをする人の数は減ってないため、水遊びをするときは怪我のリスクを減らすために、相変わらず十分な警戒が必要でしょう。
(翻訳編集 春野瑠璃)
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